神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

2007-11-01から1ヶ月間の記事一覧

坪内逍遥的各種健康法

逍遥と岡田式静座法については、よく知られているけれど、逍遥は他の健康法も試している。 日記*1によると、 大正10年2月8日 自強術を山田ニ習ひはじむ 昭和5年8月15日 西式健康法をおせきに読み聞かせ、試みはじむ 6年2月16日 西式を又はじむ …

下岡蓮杖、浅草に死す

下岡蓮杖は大正3年3月3日92歳で亡くなっている。 ジョン万次郎の長男中浜東一郎の日記*1に下岡の名前が出てきた。 大正2年12月23日 浅草第五区に下岡蓮杖氏を訪ふ。九十一才なり。 3年2月25日 浅草五区に住する下岡蓮杖氏病篤しと聞き、今日午…

日本写真史に一石を投じる発見か

田辺聖子の祖父・父は写真館を営んでいたことは、NHKドラマ「芋たこなんきん」でよく知られることとなった。 田辺の「ハガとアイスクリン」(『新潮』平成9年1月号、『田辺聖子全集』第24巻)によると、 私のウチの写真館は祖父が明治三十年代後半に…

2007年の回顧と2008年の展望

2007年 遠い世界へ逝って(笑)、じゃない、行ってしまった人 「もてない男」こと、小谷野敦 21歳年下*1の人と再婚(ただし、法律婚としては初婚) 「結婚できない男」こと、阿部寛 15歳年下の人と結婚 二人で迎えるクリスマス・イヴ。TDLとかTDSとか…

遠藤周作の神秘主義

遠藤周作 昭和23年慶應義塾大学仏文科卒。25年6月フランスの現代カトリック文学を研究するため横浜港出航。 日記*1によると、 昭和26年1月26日 ぼくは、今、フロイトの本などもよみ始めているのだが、それは全く、人間のなかのほのぐらい部分をみつめたいか…

寺田寅彦と快楽亭ブラック

寺田寅彦の日記に、 明治31年1月7日 正午より沢田君来訪され、上村君を訪いて東雲座なる石井ブラック睡(ママ)眠術見物におもむく 余は倶楽部に至り小説など見る。 とある。 当時寺田は、熊本の五高の学生。 寺田先生とこっくりさんについては、8月29日参照…

李香蘭と堀田善衛

堀田善衛は李香蘭(山口淑子)のボディガードをしていたらしい。 「『戦後派」その文学的出発(1)」*1によると、 埴谷 堀田君は、八月十五日以後、どういうふうにして暮らしていたの? 堀田 ぼくのイトコに、昭和通商という参謀本部の直属会社で、蘇州で軍…

思わず岡崎武志監修かと思った「らくたび文庫」(京の学生文化を歩く ’60−’70年代グラフィティ)

「らくたび文庫」No.19(コトコト、2007年11月)は、「京の学生文化を歩く ’60−’70年代グラフィティ」。 思わず、岡崎武志氏の監修かと思ってしまった。 懐かしい書店や喫茶店、食堂などが出てくる。ナカニシヤ書店、レブン書房、三月書房、まどい、なかじま…

池田彌三郎と伝書鳩

池田彌三郎は、伝書鳩を飼っていたことがあるらしい。 『銀座十二章』によると、 さて、泰明小学校は、わたしが卒業した年(昭和二年)の暮れに、震災後のバラック建築を建て直すことになり、当時、滝山町一番地(今の西六丁目)にあった、朝日新聞社の旧館…

『江戸川乱歩小説キーワード辞典』に「比佐子」あり

『江戸川乱歩小説キーワード辞典』(東京書籍、平成19年7月)は高いので座り読み。 カフェー、上山草人、山窩、神保町、谷崎潤一郎、図書館、古本屋なども立項されている。 「鳩、ハト」を見ると、6作品に登場しているらしい。そのうち、伝書鳩として登場す…

森類の結婚前後

『森茉莉かぶれ』を読んだ。だからというわけでもないが、弟の森類の結婚前後の様子を幾つかの日記で見かけたので記録しておこう。 昭和16年1月10日 六時森類氏にまねかれ妻と行く。新婚の女、その父母(安宅安五郎夫妻)、小堀四郎、杏奴。まり同座。九時か…

山田風太郎一家の見た東京タワー

『山田風太郎育児日記』(朝日新聞社、2006年7月)によると、 昭和35年2月16日 一家ではじめて東京タワー見物にゆく(日記本文参照)。 「日記本文」とは、山田が昭和17年11月25日以来つけていた日記のことだが、この頃の分はまだ刊行されていない。『育児日…

古本大学という名の古本酒場

吉行エイスケによると、かつて道頓堀に古本大学という店があったらしい。 「享楽地漫談会」(『近代生活』昭和5年3月号、海野弘編『モダン東京案内』平凡社、平成元年11月所収)での対談によると、 吉行(エイスケ) 岡田さんは大阪の古本大学は御存知ですか…

大東亜心霊学の誕生

福来友吉博士の名前は、『リング』のお陰で再び脚光を浴びたところ。 福来については、寺沢龍『透視も念写も事実である』(草思社、2004年1月)によると、 福来友吉は昭和十五(一九四〇)年三月末に、十四年間勤めた高野山大学教授を退いた。彼はこのとき七…

宮武外骨が夢野久作批判

宮武外骨が『スコブル』第6号(大正6年4月)中の「地獄耳」で ▲杉山茂丸は其日庵と称して、時代遅れの七五調の文章で馬琴張りだと云つて喜んでゐるが、その茂丸の子が又大の駄文家で、父を真似て一日庵と称し、方々の雑誌に其の駄文を寄稿しては編輯者を弱ら…

九州文壇と夢野久作

『ドグラ・マグラ』の著者として、また、国士杉山茂丸の息子として知られる夢野久作。 日記でその名前を見るのは珍しい。 原田種夫『九州文壇日記』(叢文社、平成3年2月)を見ると、 昭和8年3月21日 山田と介春氏のところに行く。夢野久作氏が来ていた。新…

国際文化振興会の坂西志保

三省堂書店神保町本店*1のエスカレーター脇の写真パネルを見ると、坂西志保(さかにししほ)って色黒の小柄なおばさんという感じだが、戦前、アメリカ議会図書館日本部部長を務めた偉い女性。明治29年生まれ。開戦により昭和17年交換船で帰国し、外務省嘱…

人名事典としての『内田魯庵山脈』

山口昌男『内田魯庵山脈』は人名事典として使えると言ったのは書物奉行氏だったか、その友人だったか。10月22日に言及した有坂与太郎が同書に出ていた。 集古会の昭和十年の名簿『千里相識』に柳田国男、市島春城、橋本進吉、西村真次らとともに、有坂与太郎…

歴史のかげに「花外楼」あり

大阪会議といっても、日本史で習ったかなあぐらいの記憶しかない。 坂本多加雄『日本の近代2 明治国家の建設』(中央公論社、1999年1月)によると、 (前略)大久保が清国から帰国するのを待って、明治七(一八七四)年十一月、井上馨と民撰議院設立建白に…

夏目房之介と三田平凡寺

『日本の有名一族』は「へえ〜」と思うことばかりで、指摘するようなことは一つも見当たらなかったのだが、夏目房之介の母方の祖父が三田平凡寺であることが記されていないという意見も出ているらしい。わしも漱石の孫とは覚えていたが、平凡寺の孫とは知ら…

小説中の市河彦太郎

芹沢光治良は、市河彦太郎と同郷(現在の沼津市)の出身にして幼馴染であった。そのため芹沢の自伝的小説『人間の運命』には、市河やその弟妹が頻出している。 石田は知らない間に、文化事業部の第三課長に栄転していた。前任者は詩人で、日本ペン倶楽部の世…

神保町の喫茶らんぼおの終焉

神田神保町一の三(冨山房裏)にあった「らんぼお」は、林哲夫『喫茶店の時代』によると、昭和22年3月開店、潰れたのは24年4月頃という*1。『草野心平日記』第1巻を見てたら、閉店時期はもう少し後のようだ。 昭和22年9月18日 午后二時。歴程会議。神田ラン…

今日は長山靖生のこっくりさん

今日の夜10時25分からNHK教育の「知るを楽しむ」の「明治サイエンス事件帳」に長山靖生登場。見るだすよ。

宮武外骨の露探攻撃

『滑稽新聞』において激しい人物攻撃を行った宮武外骨。村井弦斎に対しては、『食道楽』のパロディを掲載するほか、それほど手厳しかったわけではなかったことについては、黒岩比佐子『『食道楽』の人 村井弦斎』に詳しい。外骨は、いわゆる「露探」について…

朝日新聞における夏目漱石の同僚

今年は、漱石が朝日新聞に入社してちょうど百年ということで、江戸東京博物館で「文豪・夏目漱石−そのこころとまなざし−」展も開催しているところ。 『村山龍平伝』によると、漱石入社後に、 明治40年7月 白仁三郎(坂元雪鳥)、生方敏郎、西村真次(酔夢)…

谷崎潤一郎を聞く二十歳の青木正美

後に反町茂雄にどつかれる青木正美が初体験を済ませ、古書店を開業することとなる昭和28年。 青木の二十歳の原点、『二十歳の日記』(東京堂書店、2003年1月)を読んだ。 昭和28年4月11日 十時だ。家でラジオの谷崎潤一郎の談話を聞いて来た。聞き手は中央公…

反町茂雄天皇の遺産

『京古本や往来』特別号のキクオ書店前田司「「古書研」の誕生」によると、 30年前の12月*1、「文車の会」会員だった臨川書店の久保田厚生*2のお膳立てにより、京都に研修旅行に来ていた弘文荘反町茂雄らと京都の若手との交流会が開催された。しかし、それは…

神保町の夕日

鹿島茂の「とある一年、小説世界にどっぷり漬かってみた〜二〇〇四年の「時評文芸」から」『鹿島茂の書評大全 和物篇』(毎日新聞社、2007年8月)に、 12月 現在、東京・神田神保町に仕事部屋を構えているが、この神保町は土曜日には不思議な街に変わる。他…

早稲田大学の角田柳作展

早稲田大学で「角田柳作展」を開催中。 角田は司馬遼太郎『ニューヨーク散歩―街道をゆく〈39〉』で紹介されたけれど、早稲田大学の前身東京専門学校出身で、コロンビア大学の日本学の祖。ドナルド・キーンが同大学で「日本思想史」を受講している。図書館人…

福永武彦とスメラ学塾

昭和17年7月から11月にかけて開催されたダ・ヴィンチ展の詳細については、書物奉行氏の教示により、埼玉県立熊谷図書館所蔵のレオナルド・ダ・ヴィンチ展覧会事務所編『アジア復興レオナルド・ダ・ヴィンチ展覧会解説』(レオナルド・ダ・ヴィンチ展覧会事務…