神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

2009-09-01から1ヶ月間の記事一覧

昭和22年3月9日、らんぼお開店す

高見順が、神保町の喫茶らんぼおの開店について書いてる*1。 昭和22年3月10日 車で「らむぼう」へ行く。昨日が招待日だったが不参。寺沢君より今日来てくれと使いがあったので行ったのだ。 らんぼおの開店日が22年3月9日であることは間違いないと思うが、黒…

牧野信一の『西部劇通信』出版記念会と里見とん

昭和5年11月27日牧野信一の最初の単行本『西部劇通信』(春陽堂)の出版記念会が、大阪ビルのレインボーグリルで開かれた。そのときの様子が、宇野浩二の日記*1に書かれている。 昭和5年11月27日 牧野君の会で里見、徳田、中戸川、小林秀雄、佐々木夫妻、秋…

「金金金金土土日」シンドローム

「月月火水木金金」は、土日返上で働くという意味を表す慣用句らしいが、週末になると古書展でシャカシャカしたくなる誰ぞの頭の中は「金金金金土土日」になっているらしい。「金」は、もちろん毎週東京古書会館で開催される古書展の初日である金曜日で、全…

徳島名物、正五角形の図書館五明文庫

誰ぞが豪語する図書館○○○500枚の中に、かつて徳島に存在した正五角形の図書館五明文庫は存在するだろうか。 鐵火鞭生「五角の図書館△四国の名物阿波の奇人▽」『読書之友』8号、大正元年12月1日から要約すると、 構造:1階が婦人閲覧室・児童閲覧室等、2階が…

市橋善之助と冬夏社

市橋善之助という人物については、一昨年5月29日に言及したところであるが、岸田劉生の日記*1にも出てきた。 大正11年5月19日 村娘かいてゐたら約束で市橋善之助君来る。冬夏社から本を出してもらひ度い様子だが云ひにくさうにしてゐる。先約が二つもあるの…

矢野暢先生の西村真治批判

なにやら矢野暢先生が再び話題になっている感じがする*1。 さて、矢野先生は戦時中の西村真治の言動を批判している。『日本の「南進」と東南アジア』(日本経済新聞社、昭和50年1月)によると、 戦時中に活躍した西村真次は、そのような擬似専門家の一人であ…

女皇道主義者川上初枝

珍らかなる女性の皇道主義者を発見。妹尾義郎の日記*1に出てくる。 昭和14年2月27日 川上初枝さんが午後二時前みえた。何年ぶりかしら、此頃皇道世界聯盟といふ運動を主として、満州支那、朝鮮地方にやってをられるとの事だ。女性としては相変らずめづらしい…

フリッツ・ルンプと柳田國男

柳田國男がフリッツ・ルンプに言及。「蔵書に埋れて本を馬鹿にする! 蔵書家漫訪(2)」『日本読書新聞』119号、昭和15年5月15日*1で、須山計一が柳田の発言として次のように書いている。 外国と云へば、最近ドイツで一寸まとまつた日本のお伽噺集が出まし…

長谷川天渓と大橋図書館

長谷川天渓の門下生だった田内長太郎は天渓の蔵書処分を托されていたという。 田内の「天渓先生の蔵書整理にあたつて」(『書物展望』11巻5号、昭和16年5月)によると、 (略)中でも、古本屋の人達からしきりに訊ねられた明治末期から大正期へかけてわが国…

長谷川天渓の門下生田内長太郎

大槻憲二の東京精神分析学研究所のメンバーだった田内長太郎の経歴が少し判明しただす。『近代文学研究叢書第46巻』の長谷川天渓の章に「翌(昭和)十六年二月、門下生長谷川浩三、大槻憲二、吉田甲子太郎、田内長太郎、柳田泉によって、遺著『国語国字及び…

戦後の枝元枝風(枝元長夫)

国木田独歩と親しかった枝元枝風(本名・長夫)。戦前に、近事画報社、東京日日新聞社に勤めていたことは判明していたが、戦後も健在だったようだ。ブンポさんから復刻された『昭和21年度版最新出版社・執筆者一覧』(同年9月発行)によると、 社名 白林書房…

東京貸出図書館という名の貸本屋

明治末期から大正初期にかけて「東京貸出図書館」という会員制の私設図書館があったらしい。「東京貸出図書館」(無署名)『読書之友』2巻11号(読売新聞読書会、大正2年11月)によると、 銀座四丁目の角なる書肆教文館に沿ふて曲ると、ガラス窓にTOKYO…

石原千秋のモテモテ・ハイスクール

石原千秋先生の高校生時代。「わが大学の先生と語る」『読書のいずみ』112号、2007年9月によると、 石原 (略)高校のときは、僕は遅刻魔だったから遅刻をすると授業に行かないで、屋上にいたということがよくあったんです。彼女と二人で屋上に上って、体育…

大東亜図書館党 明日の図書館内閣閣僚名簿

総理 書物蔵 副総理・図書館の殿堂相 谷沢永一 官房長官 友人A 大東亜博物館相 荒俣宏 奇人図書館相 黒岩比佐子 私小説図書館相 小谷野敦 京都文学館構想担当相 林哲夫 広告図書館相 南陀楼綾繁 大東亜図書館相 岡村敬二 図書館防衛相 有川浩 トンデモ図書…

柳田國男もお仕事、お仕事

宇都宮太郎の日記*1によると、 大正2年9月11日 (略)倉田隆吉(南洋事業に志し床次の紹介にて来訪、二千円の出資を願ふなり)(略)来衙。 9月29日 宮内[内閣]書記官柳田国男、床次の代を兼ね倉田の為め旅費の相談に来る。幾分は調達すべきも暫く待つべきを…

神保町の喫茶らんぼおと岩谷書店の土曜会

「土曜会」という会は幾つか『日本近代文学大事典』に出てくるが、岩谷書店が主宰した土曜会は出てこない。この土曜会は、神保町のらんぼおで開かれたものである。黒田三郎の日記*1によると、 昭和22年3月30日*2 昨日田村の所へゆくと土曜会に出ないかと云う…

良いツンドクと悪いツンドク

柳田泉もツンドク(積ん読)について書いていた。「ツンドクもまたよし」*1。最近出た『柳田泉の文学遺産第二巻』所収。 良いツンドクは しかし私は、ツンドク先生、必ずしもわるいとは思わない。それでへいぜいから新聞の書評などに注意して、好い書物を買…

宮本常一の日記から見る戦後図書館事情

宮本常一の日記*1に出てくる戦後の図書館を見てみる。 昭和21年4月15日 それより西宮に行き田岡氏とはなす。田岡氏図書館長となる。 「田岡氏」は田岡香逸、「図書館」は西宮市立図書館と思われる。 昭和22年4月21日 バスで鳥取へ出て更に若桜行のバスにのり…

秋田雨雀とエラ・ケート

平井一弘論文は、明治45年5月に有楽座で開催された後期文藝協会第三回公演「故郷」のマグダ役(松井須磨子)ら女優及び女方の振付を「ケート夫人」が行っていて、秋田雨雀が同公演を批評していることから、エラ・ケートは同年の頃には、秋田を知っていたので…

戦後新聞漢字事件簿

昭和21年11月16日「当用漢字表」が公布された。「編輯」の「輯」の字が収録されていないことから、そのことだけでも新聞社では大騒ぎがあったようだ。同年12月9日六社編輯局長会議が共同通信で開催され、「集」と「修」のいずれを「輯」の代用字として用いる…

慶応ボーイでテニスをすなる夢野久作

『ドグラ・マグラ』を代表作とする夢野久作。ドグラはうっかり読むと気が狂うという噂なので、わすも読んだことはない。この夢野だが、修猷館中学校時代には、テニス部の選手として活躍、明治44年慶応大学文学部に入学。慶応でもテニス部に入っていれば、ま…

紀元節生まれの鳩山由紀夫

鳩山一郎の日記に孫の由紀夫が出てくる。 昭和22年2月11日 今朝、安子、男児を生む。威一郎は平和になつた其日*1に生れ、其子は紀元節に生る。正に運に恵まれたる家と謂ふ可し。 24年7月26日 昨日停車場より由紀夫を自転車の後部に乗せて山荘に向ふ途中、警…

予約嫌いのオタどん

ぶらっと行くのが好きなので、予約制の資料館・記念館はパスしている。そのため、ヴォリーズ記念館、生麦事件参考館、ジブリ美術館は行ったことがない。まあ、ジブリは子供向けだろうから、予約制でなくても行かないとは思うが。旧古河邸(旧古河庭園内)も…

サントリーミュージアム天保山閉館と佐伯順子

何とまあ、サントリーミュージアム天保山が来年12月に閉館。川崎市市民ミュージアムとかに比べると、便利な場所にあるのだが、それでも状況は厳しかったようだ。1994年開館時は、「美女100年展」であった。図録には佐伯順子先生(当時、帝塚山学院…

むのたけじ氏と黒岩比佐子さん

今週の朝日新聞は、先月31日夕刊にむのたけじ氏のお元気そうな写真、昨日夕刊の「検証昭和報道」シリーズの「占領下の新聞」第1回でむの氏が敗戦の日に朝日を辞めたエピソードに言及していた。このむの氏からの黒岩比佐子さんによる聞き取りに基づいて岩波新…

八紘一宇の藤澤親雄

1日NHK教育知る楽の円満字二郎氏の「戦後日本 漢字事件簿」の第1回「禁じられた「八紘一宇」」は面白かった。 「八紘一宇」だが、巣鴨プリズン勾留中の天羽英二の日記に、藤澤親雄とともに登場する。 昭和21年1月28日 島田繁太郎取調続行(略)八紘為宇…

小谷部全一郎の再婚相手

小谷部全一郎が晩年ユダヤ人と再婚したという噂があったが、吉田巌の日記*1にも出ていた。 昭和13年7月7日 午前十時頃郵着の小谷部先生の結婚御披露状を拝読してよめる 9月2日 小谷部先生のおくさんをユダヤ人なりと東京にてのうわさ。 (参考)2006年3月10…

「課外授業 ようこそ先輩」番外編

いつか実現する日が来るかしら。NHKの「課外授業 ようこそ先輩」の番外編。 猫猫先生 「いじめっ子に仕返しをしよう」 黒岩比佐子 「あなたもノンフィクション作家になれる わけではない」*1 書物蔵 「図書館員より図書館員らしくなる」 ma-tango 「よい…

手宮洞窟の神代文字菓子

坪内逍遥の日記に面白い記述があった。 大正8年1月13日 池田より小松の鰻 北海道の神代文字菓子を、渋谷より例の飴及び凍豆腐を贈り来る 「北海道の神代文字」とは、おそらく手宮洞窟で発見された「古代文字」のことだろう。お菓子になるほど、名所になって…

新党大東亜図書館党設立宣言

館界の現状を憂う誰ぞが、たうとう立ち上がった。 大東亜図書館党マニフェスト(抄)・国会図書館長に紀田順一郎氏を招く。 ・公立図書館の無い市町村に国費で建設する。 ・図書館の規模に応じた必置の司書数を定める。 ・大東亜図書館に身を捧げた図書館員…