2018-01-01から1年間の記事一覧
ついこの間出たと思っていた青木育志・青木俊造『青木嵩山堂ーー明治期の総合出版社ーー』(アジア・ユーラシア総合研究所、平成29年9月)。取り上げないうちに、1年以上経過してしまった。本書の圧巻は865点1382冊にのぼる「年次別出版物一覧」(以下「一覧」と…
先日は人文研の公開シンポジウム「1968年と宗教ーー全共闘以後の「革命」のゆくえーー」をのぞいてきました。栗田英彦先生が張り切っていて、当初司会者の予定だったのを自分もコメントしたり参加者側に回りたいとのことで、司会を對馬路人先生にお願いしておら…
買った古本を紹介する間もなく次から次へと新たな本を買って、積ん読本が溜まるばかりである。今回は、8月の下鴨納涼古本まつりで竹岡書店の均一台から拾った小冊子を紹介。均一台では、背表紙にタイトルのない本特に雑誌や本と本との間に挟まって見落とされ…
『音楽』(東京音楽学校学友会、大正5年8月)。水の都の古本展でモズブックスから購入。表紙の破れを補修した跡があって、1,000円もするので迷ったが、小林生・兼常生「夢二問答」が載っているので購入。音楽の雑誌に竹久夢二に関する対談が載っているのが面白…
文庫櫂である高額本を買ったおまけに尾原正子『和歌むそち草』(書物展望社、昭和16年3月。以下「本書」という)をもらいました。非売品、183頁。歌集なので内容はそれほど面白い本ではないが、国会図書館サーチやCiNii、「日本の古本屋」などでもヒットしない。…
古書業界で全集不人気の端的な例として、『鴎外全集』(岩波書店)全38巻が市会で1,000円でも売れないという話がある。「日本の古本屋」で揃いが結構いい値段で出品されているが、実態としては売れないのだろう。置く場所がないとか、必要な巻だけ図書館で読む…
藤堂祐範編『第二回昔の和紙展観目録』(和紙研究会、昭和15年4月)。編纂兼発行者の藤堂の住所は、京都市東山区林下町信重院内。twitterによると1月大阪古書会館で拾ったようだ。多分シルヴァン書房出品で500円位だったか。表紙にはタイトルのほか、「昭和十…
先月の寸葉会では講談社婦人倶楽部の三木章宛田中比左良(世田谷区松原町)の葉書を。田中は漫画家・挿絵画家とぐらいしか知らない。かわじもとたか『続装丁家で探す本追補・訂正版』(杉並けやき出版、平成30年6月)によれば、江戸川乱歩『恐怖王』(文藝圖…
文庫櫂で買った稗田菫平宛葉書の中に臼井喜之介のもあったはずだと探して見ると、何枚かありました。そのうち昭和49年の年賀状には、印刷(名前のみ署名)で ・月刊『京都』、俳誌『嵯峨野』、『日本の老舗』、詩誌『詩季』の四誌とともに忙しながら、つつが…
猫猫先生が十川信介人生最後の年賀状をアップされていたので、負けじと(?)文庫櫂で入手した昭森社(しょうしんしゃ)の森谷均(もりやひとし)の年賀状を。昭和44年富山県小矢部市の稗田菫平宛である*1。稗田は詩人。文面は印刷で、 ・昨年夏初めての手術…
日本橋の文庫櫂から昔の古書目録をいただきました。『雑書目録』第1号、最初で多分最後の古書目録らしい。発行年が書いておらず、店主にも分からないらしい。がむしゃらに頑張ってきたようで、そもそも開業年も20年位前とはっきりしない*1。目録中最も新しい…
『新人壇』2号(新人壇同人、昭和35年2月)と3号(同年8月)、これも知恩寺の古本まつりで竹岡書店の均一台から。創刊号は見当たらなかった。初日はさえなかった竹岡の均一台だが、日を追うごとに充実していった。同誌は実相寺昭雄や阿部昭らの同人雑誌であ…
これも東京古書会館で。斎藤昌三から東京の田中久寿(?)宛昭和36年の年賀状。中島古書店出品で1000円。宛名は手書きだが、裏面は印刷なので1000円は高いか*1と思ったが、斎藤はこの年の11月に亡くなっており、斎藤にとって最後の年賀状になるので購入。「謹…
一時期戦前の古書目録を何でもかんでも買っていたが、今は関西のそれもあまり著名でない店の物に絞っている。先日東京古書会館で購入したのは、京都市左京区丸太町川端東入(天理教前)にあった鴨東書房の『鴨東書目』第1号(昭和9年6月)である。金沢書店出…
知恩寺の古本まつりでは、初日は均一御三家の赤尾、キクオ、竹岡が白っぽい本が多くもう一つであった。結局下鴨納涼古本まつりに続いて福田屋の200円均一コーナーが一番良かった。最初から福田屋に張り付いた人はウハウハ状態であっただろう。開場前に私も含…
10月23日から25日にかけて京都新聞で「ウは「京都」のウ」という『ウは宇宙船のウ』みたいなシリーズのファイル12「UFOが見たい」が掲載された。23日が「月輪寺異聞」で、愛宕山の月輪寺の女性住職が10年ぐらい前の夜オレンジ色の光が山並みに沿ってすっと動くのを…
堂島の本おやで10月20日まで開催中の「本のヌード展」で購入した和多利月子『明治の男子は、星の数ほど夢を見た。ーーオスマン帝国皇帝のアートディレクター山田寅次郎ーー』(産学社、平成29年。以下「本書」という)。挟み込まれた説明文によると、深紅のカバ…
黒岩比佐子さんが亡くなられて7年が過ぎた。日々の雑事に追われて思い出すことも少なくなってしまった。それでも、大阪古書会館の古書展で黒岩さんを古本道に導いた中島俊郎先生にお会いすると黒岩さんのことが思い出されたりする。その他、最近黒岩さんの名…
本は人生のおやつです!!(略して「本おや」)で購入した高橋輝次『古本こぼれ話〈巻外追記集〉』(書肆艀、平成29年)は45頁で600円。高橋氏の著書の特徴として、「古本が古本を呼び」、校了直前まで追記に次ぐ追記をされることがある。本書は、『ぼくの創元社覚え書…
岡崎にブックス・ヘリングと言う古書店がある。書物蔵さんやかわじもとたかさんを御案内したことがあるが、東京の古書店を行き倒したお二人にして「案内してもらった京都の古書店の中で一番気に入った」とか「東京にはもうこのような店はない」と感心しておられた。…
京都古書会館の古本まつりでは情報収集しておいた書林かみかわの500円均一コーナーへまっしぐら。結局たいしたものは買えなかったが、何冊か出てた句集、歌集が気になりつつも白っぽい最近の本なのでスルー。翌日再度会館へ行きチェックしてみると、一冊面白い非…
私には長らく抱えている未解決の謎が幾つかある。そのうちの一つが宮本三郎のサンカ画集である。これは、サンカ研究会編『いま、三角寛サンカ小説を読む』(現代書館、平成14年8月)の佐伯修「三角寛サンカ小説を読者はこう読むーー読者アンケートよりーー」…
日夏耿之介『鏡花・藤村・龍之介そのほか』(光文社、昭和21年11月)の「炉辺子の墓に詣るの記」に天狗倶楽部の天狗塚が出てくる。日夏は、平井功の13回忌(昭和19年)に雑司ヶ谷墓地へ平井の墓を訪ねた折、泉鏡花、ラフカディオ・ハーン、島村抱月、夏目漱石の…
下鴨納涼古本まつりで竹岡書店の3冊500円コーナーから東晋太郎『夕靄』(歌集夕靄刊行会、昭和36年1月)を購入。219頁、私家版、上原専禄宛署名入り。歌集や句集には興味がないが、序文や年譜等をざっと見て面白いことが書いてあれば、買うことにしている。今…
下鴨納涼古本まつりで萩書房の1冊200円3冊500円コーナーで土屋大夢*1『夢中語:土屋大夢文集』(土屋文集刊行会、昭和6年12月)を拾った。土屋については、「天神さんの古本まつりで拾った村雲龍三『革身術』」で言及したことがあったので、名前に覚えがあった…
嵐山のロンドンブックスでだいぶ前に買った『久坂葉子の手紙』(六興出版、昭和54年9月)を読んでると、CIE図書館が出てきた。昭和25年1月26日付け川崎澄子(久坂の本名)から友好安子宛の書簡で、 (略) 今、一人の女性をかいてます。 C、I、Eで、昨日、一…
竹田篤司『物語「京都学派」ーー知識人たちの友情と葛藤ーー』(中公文庫)の31「「教職不適格」の烙印」は、昭和21年10月18日付け下村寅太郎宛高山岩男書簡の引用で始まる。 (略)遂に西谷[啓治]、鈴木[成高]両君迄災が及び、最近の適格審査会で決定致したや…
最近刊行された柳与志夫・田村俊作編『公共図書館の冒険ーー未来につながるヒストリーーー』(みすず書房、平成30年4月)第5章は河合将彦氏の「図書館で働く人々ーーイメージ・現実・未来ーー」である。ここに出納手という図書館員の職種が出てくる。 「出納手…
久しぶりに東京古書会館と西部古書会館に行ってきた。やっぱり東京の古書会館の古書展は質量共に凄いと実感。あくまで私個人の感想だが、南部、西部、東京、京都、大阪、名古屋、兵庫の順番で古書会館の古書展と相性がよい。残念ながら最下位になってしまっ…
長らく積ん読であったヘルムット・ガーンズハイム著、人見憲司・金澤淳子訳『写真家ルイス・キャロル』(青弓社、1998年2月)を読了。一つ面白い記述があった。1862年7月4日ルイス・キャロルはロリーナ、アリス、エディスの三人のリデル家の少女を連れオックス…