2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧
里見弓享は「『白樺』創刊の頃」で次のように回想している。 (前略)『白樺』連中は、みんな小川町の文川堂というのへ持ち込んで引き取らせていたっけ。自分の家にある本ならば、文川堂の番頭を家へ呼んで来て、これだけに取れ、というような掛合いもする。…
有島武郎の波多野秋子宛て書簡3通、秋子の武郎宛て書簡3通(うち2通初公開)、秋子の夫春房宛て遺書1通(内容は既に知られているが現物の一般公開は初めて)の公開が、7月1日から北海道立文学館で始まるとのこと。 「波多野春房」でググると猫猫先生に負…
神保町にあった東條書店と幸徳秋水に関係があったらしいことは、昨年8月19日に言及したところである。この両者の関係について、きだみのる『人生逃亡者の記録』(中公新書)に書いてあった。明治43年4月に東京開成中学に編入学したきだが、学校から帰りによ…
ナチスのイデオローグの一人アルフレート・ローゼンベルクの『ニ十世紀の神話』は、戦前三笠書房版と中央公論社版の二つの訳書が刊行されている。どっちも所蔵しているが、まあ何を言っているのかわからないような内容で読み通せるような代物ではない。しか…
『中公新書の森』の「[思い出の中公新書]アンケート」で高橋正衛『二・二六事件』を選んでいる人が多かった。同書には、三木清の年譜を引用して、昭和11年2月26日、危難の身に及ぶのを恐れて、一時三重県に避難したことが書かれている。二・二六事件当時の情…
第一書房の『セルパン』は昭和6年5月創刊。岡書院の岡茂雄は『本屋風情』で 私はかつて新村出先生からどういう機会にであったか、物の名をつける時は、ラ行音と撥音とを組み合わせると語呂のいいのができるという風なお話を聞き、同業第一書房の月刊誌『セル…
栗本薫『光の公女』(グイン・サーガ27)の「あとがき」(1987年7月10日付け)によると、 ふいに思い出したのですが、私にとってこの世で最も懐しい作家の一人である森茉莉さんがついに亡くなりました。『枯葉の寝床』の単行本をさがして狂ったように神田を…
後になると調べるのが困難になるので、今のうちから記録しておこう。 初刷 2009年5月30日 第2刷 同年6月10日 第3刷 同月15日 第4刷 同月17日 第5刷 同月19日 第6刷 同月20日 第7刷 同月22日 第8刷 同月25日追記 第9刷 同月27日 第10刷 同月30日 第11刷 7月5…
「太田宇之助日記」*1には、元北京近代科学図書館員で、国際文化振興会調査部に属する菊池租らしき人が出てくる。 昭和20年2月17日 国際文化振興会に、近日打合せの為めに帰国する菊地君を訪ふと、海軍報道部の援助月五十万元を得て、支那人獲得の為めに小集…
中央公論新社が、新書通巻二千点を記念して、夢かうつつかトンデモない企画を立てた(夢を見た・・・)。 『カラー版 日本漫画雑誌史』u-sen 『現代ノンフィクションの名著』黒岩比佐子 『ノンフィクションと教養』では数が多すぎて実際何を読んだらよいのか…
小谷野敦氏というと、『もてない男―恋愛論を超えて』がベストセラーになったため、ちくま新書のイメージが強い。しかし、新書デビューは中公新書の『夏目漱石を江戸から読む―新しい女と古い男』(1995年3月)である。この新書が、猫猫先生には痛い思い出の一…
これまた品切れ状態だが、中公新書のきだみのる『人生逃亡者の記録』(昭和47年7月)は役に立った。きだがすっぽんぽんのまま、小島威彦と初対面したことは、一昨年7月5日に言及したが、小島より前に藤澤親雄に出会っていたことがわかる。 この年*1の秋、お…
なにやら『英語青年』にも神智学が登場してるらしいので、戦前の大アジア主義者と神智学の関わりについてアップ。黒龍会の『亜細亜時論』*14巻5号(大正9年5月1日)所収の葛生能久「リシヤール・カズンズの両顧問を送る」に、 エシアン・レヴユー編輯顧問仏…
誰ぞが岡山への遠征計画で楽しそう。 わしも新しい幹線で時々散歩しに行ったことがある。西川緑道公園を歩くのが好きだった。古本にあまり興味が亡くなっていた時期だったのだろうか、古書店めぐりをした覚えはない。紀伊國屋には必ず寄ったけど。ベネッセの…
中公新書の子安美知子『ミュンヘンの小学生 娘が学んだシュタイナー学校』(昭和50年12月)。一時期、猫も杓子もシュタイナー教育と言っていた時代があった気がするが、今はどうなのだろう。本書は今でも品切扱いになっていないので、まだ人気は衰えていない…
も一つネット上では評判になっていないようだが、『彷書月刊』の「古本検定」に挑戦してみた。初級・中級・上級編とあるわけだが、初級編だけやってみた。初級といっても、絵葉書や装幀関係はほとんどわからず、86問中62問の正答であった。一応、初級レベル…
従来明治44年12月開店の銀座店がパウリスタ第一号店とされていたが、正しくは同年6月開店の箕面店だったことについて、長谷川泰三 『日本で最初の喫茶店『ブラジル移民の父』がはじめた カフエーパウリスタ物語』(文園社)に書かれている。このことは、3月1…
誰ぞやほほへほ氏、最近はu-sen氏も「通勤」するらしい古書展。東京で最初に開催された古書展については、先日も考察したところである。明治末期の古書展の状況について、幾つかの日記で開催状況を見てみよう。 八木福次郎氏によると、「日本橋の榛原の隣に…
亡くなられた栗本薫が森茉莉の影響を強く受けたことは本人が何度も書いているが、谷崎潤一郎の著作も愛好していたらしい。『翼あるもの』(文春文庫、1985年5月)の「文庫版のためのあとがき」によると、 私の中には、健全と頽廃、剣と魔法、西洋崇拝と日本…
東京における古書即売展の歴史については、日本橋の常盤木倶楽部で明治43年か44年に第1回が、45年1月に第2回が開催されたとされてきた*1。ところが、木下杢太郎の「パンの会の回想」*2に、 (その時代の空気を示す為めに一寸追記する。(明治四十三年)十一…
中公新書の図書館本というと、藤野幸雄『アメリカ議会図書館−−世界最大の情報センター』(1998年7月)、モスタファ・エル=アバディ『古代アレクサンドリア図書館−−よみがえる知の宝庫』(1991年1月)がすぐに浮かんでくるが、このほかににも、E・H・コー…
幽蘭軒*1を経営していたという本荘幽蘭だが、他にもカフェーを経営していたらしい。 村嶋歸之著作選集第1巻所収の『歓楽の王宮カフエー』(文化生活研究会、昭和4年12月)によると、 つゞいて大正四年頃になると、元松竹女優上村あや子と本荘幽蘭の経営する…
この数日、適当にググって書いたようなええかげんな日記だったので、反省して真面目路線に復帰。 永代静雄が、『不思議の国のアリス』の本邦初訳である「黄金の鍵」など*1を連載したのは、『少女の友』創刊号(明治41年2月11日)からであった。大西小生氏の…
横浜市立図書館で村上春樹『1Q84』の予約状況を見ると、1281人にもなっている。日本人は行列に並ぶのが好きらしいが、図書館本の貸出し待ちも好きらしい。後ろの方の人は、うっかりしたら順番が回ってくるのが、1〜2年後になるが、連絡があった頃…
東京大学総合図書館で「常設展 内田祥三と図書館再建80年」をやっていたらしい。終わってしもうた。常設展だから、あまりたいした規模ではなかったか。 - 今村太朗「図書館こぼれ話(2) 人物から見た図書館史−中島猶治郎−」『時計台』77号(関西学院大学図…
町田市民文学館ことばらんどで、「まちだ作家博覧会」が開催中。赤瀬川原平、片岡義男、北上次郎、国松俊英、小林清之介、沢野ひとし、翔田寛、多田茂治、辻由美、常盤新平、長谷川知子、森村誠一、吉目木晴彦、渡辺有一を紹介しているらしい。無料で、7月5…
村上春樹本がいきなり東京堂書店のベストセラー上位2位に登場。読む予定はまったくないが、昔は読んでいたことを思い出した。某女子が『羊をめぐる冒険』をある人から借りて読んでいたので、これはわしも読まねばと、同じ人から上下2巻*1を借りて、一晩で…
ヴォーリズ設計の北白川の駒井家住宅は、金曜日・土曜日が公開。わしも一度行ったことがある。邸内で座っている人達が丘浅次郎の話をしていたので、思わずわしも混ぜてほしくなってしまった覚えがある。関学(関西学院大学)の時計台(旧図書館)、中央講堂…
年をとってきて段々記憶が定かでなくなってきたが、円町にあった喫茶店ソラリスに、行ったことがあるのか、ないのかもはっきりしなくなってきた。まあ、あったとしても1回位だろう。店名の由来になったレム原作のソラリスの映画*1も、大阪で見たのか、岩波…
日本人も含めた宇宙飛行士の活躍、携帯電話やインターネットの普及、万能細胞の製造など、一昔前のSFに描かれた世界に生きている私達だが、一方で、派遣切りや食品偽装なんていう出来事が起きていると、なんとも「にぎやかな未来」と言いたくなってしまう…