神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

2007-01-01から1ヶ月間の記事一覧

宮内省臨時帝室編修官幸田成友の書婬としての罪(その2)

『明治天皇紀』は、『文學界』連載の黒岩比佐子さんの「歴史のかげに“食”あり」でも活用されているところであるが、その編纂の過程では、幸田成友が諭旨免職になるなど色々騒動があったようだ。幸田は、先に紹介した日記の筆者に愚痴をこぼしていた。 大正9…

宮内省臨時帝室編修官幸田成友の書婬としての罪(その1)

幸田露伴の弟、幸田成友(しげとも)の年譜を見ると、不思議な記述がある。 明治43 (1910)年9 月慶應義塾大学部講師。 大正7 (1918)年6 月8 日宮内省臨時帝室編修官。 11 (1922)年宮内省臨時帝室編修官を病気のため辞す。 6 月16 日東京商科大学予科教授兼同…

谷崎潤一郎と石井鶴三

彫刻家・洋画家石井鶴三の日記に*1谷崎潤一郎ネタもあった。 昭和31年6月21日 中央公論社刊谷崎潤一郎集*2の中「上山草人の事[ママ]」の挿絵仕上げ後三時半わたす三枚「ファウストのスケッチ、銀座うら所見、客に来た両女」、古い印象を描いた ウィキペディ…

彫刻家国木田哲二(佐土哲二)

国木田独歩のもう一人の遺族を野上彌生子の日記*1に発見した。 昭和8年2月14日 四時うちを出る。中川一政の誕生日のおよばれ。(略) 客は幸田さん、鹿島土浦夫妻、野島夫人、中川の弟妹、千田夫妻、それに今日パリから帰つたと云ふ一寸岩倉さんににたかほの…

大正8年の朝日新聞文藝家招待会に出席した谷崎とは

『秋田雨雀日記』第1巻によれば、 大正8年5月20日 午後六時から、築地精養軒で「朝日」の文芸家招待会があった。(略)上野社長[ママ]の挨拶につれて、内田、巌谷、田中(王)、片上、長谷川、岩野、阿倍[ママ]の諸君の演説があり、最後に内藤鳴雪翁の…

高群逸枝とサンカ

『高群逸枝自伝 火の国の女の日記』(理論社、1965年6月)には、高群が子供時代に目撃したサンカが記されている。 勝太郎は山窩がお宮に避難するのを黙認しただけでなく、暴風雨の夜などには校舎まで専断で貸し与えることがあって、それが他から非難されると…

小谷野敦とサンカ

タイトルを見て、「小谷野敦は、サンカだったか!?」と思ってはいけない(笑 小谷野氏は、『軟弱者の言い分』(晶文社、2001年3月)中の「ウオッチ文芸1998.4〜2000.3」*1の1998年10月分として、 吉村昭『生麦事件』(新潮社) 三浦寛子『父・三角寛 サン…

『秋田雨雀日記』の凄さ(その4)

『秋田雨雀日記』第1巻には、国木田独歩の遺族も登場! 大正5年5月28日 午後「婦人の友」社の運動会へゆく。(略)いったときは四季行列の四つばかり前であった。白粉をつけた例の中流以上の社会の女がおおぜいテントの中にいた。女学校へゆきたての年配ぐ…

谷崎潤一郎・佐藤春夫の「小田原事件」余聞

谷崎と佐藤の間での、谷崎の妻千代をめぐって起きた「小田原事件」とか、「細君譲渡事件」というのは、谷崎を語る場合、重要なエピソードみたいだけど、私自身はあまり興味が持てない。それでも、一つ気がついたことがあるので、記録しておこう。 小谷野敦版…

 それでも三角寛は偉い!

筒井功『サンカの真実 三角寛の虚構』(文春新書、2006年10月)には、 三角が実際に接した、サンカと呼んでよい人びとは、辰三郎と、その周辺にいた、せいぜいで十数家族にすぎない。三角は、ほかの地方では、取材といえるほどのことは、ほとんどしていない*…

 セドリプア

「セドリプア」・・・セドってもセドってもカスばかりつかまされる人のこと。古本格差社会の敗者。「フルホン王子」の称号を持つ誰ぞは、「セドリッチ」というべきか。

 「黒岩涙香展」と「貸本屋鎌倉文庫展」と「小島烏水展」

横浜や鎌倉の展覧会は面白そう。日本新聞博物館(横浜市)では2月17日〜4月22日に「言葉の戦士涙香と定輔」展。黒岩涙香は知っているけれど、「二六新報」の秋山定輔は知らなかったよ。 鎌倉文学館では、4月22日までで「貸本屋鎌倉文庫とその時代」…

谷崎潤一郎『朱雀日記』の序章としての木村荘八日記

小谷野敦氏が探求している木村荘太「牽引」についての情報は持ち合わせていないが、その代わりに荘太の弟、木村荘八の日記『木村荘八日記[明治篇] 校註と研究』(中央公論美術出版、平成15年2月)を紹介しよう。 兄の荘太が頻出するのは当然として、その友人…

宮本常一と三角寛

宮本常一の日記*1によると、 昭和41年1月31日 アチックへゆく。かえりに渋谷で『木佐木日記』『岡本太郎の眼』などを買う。『サンカ物語』も。これは『サンカの社会』よりもおもしろい。私はこれほど1つのものを追いかけたことがない。 とある。『サン…

『我等』でサンカ論を読む

なぜか『我等』を読む。 大正9年10月号に森眞琴「山窩の話」なる寄稿を発見。 『歴史民俗学』20号の「サンカに関する文献110」にも記載されていないので、参考として記録しておこう。サンカの研究者が私のブログを読んでいるとは思えないが、いつか…

谷崎潤一郎の第1回支那旅行と木下杢太郎

谷崎潤一郎の第1回支那旅行は大正7年10月出発。その前に準備のため、9月上旬には上京したとされる。この時期に、満州から一時帰国していた南満医学堂教授兼皮膚科部長木下杢太郎と会っている。 大正7年9月4日 ○揚出し 上野 小糸源太郎・鏑木清方・谷崎潤一…

谷崎潤一郎も通ったか「食道楽おとわ亭」

明治43年4月から現在の北沢書店の裏に当たる神田南神保町の裏長屋に住んでいた谷崎潤一郎・精二兄弟。もしかしたら、当時、三省堂の近くにあったという「食道楽おとわ亭」(黒岩比佐子さんの教示によると、正式名称は「三銭均一食道楽おとわ亭」)に行ってい…

谷崎潤一郎ネタと石田幹之助ネタの融合

谷崎潤一郎が、昭和19年7月に限定自費出版した『細雪』上巻。配布先としては、宇野浩二、永井荷風、渋沢秀雄、志賀直哉らが知られているが、もう一人確認できた。木下杢太郎である。 「藜園雑記」中の「細雪」*1によれば、 谷崎潤一郎の「細雪」は嘗て其一部…

水島爾保布夫人、水島幸子と野上彌生子

野上の日記*1によると、 大正14年5月12日 今日珍しい人が来た。水島爾保布の妻君だ。 江木キンキン女史のことをきいてちよつとおもしろかつた。 大正14年5月26日 高野春子久しぶりの来訪。原稿二つ持ち来る。(略)水島幸子も落ち逢ふ。例の家探しのためであ…

特命セドリ師 只野書物奉行

書物奉行氏:平日はさえない図書館員、週末は特命セドリ師として古書店・古書展荒らし、なんちて。 図書館を辞めた今は、1年中せドリ師か・・・ 以上、冗談です。 今日からテレビで「特命係長 只野仁」が楽しみ。

谷崎潤一郎とパンの会

谷崎は、明治43年11月20日に三州屋で開催された「パンの会」で初めて永井荷風に出会ったことや、出席者の中に木下杢太郎などがいたことを記している(『青春物語』)。 一方、木下も同日の日記*1に「Tanizaki」と記録している。 ところで、木下の大正6年4月5…

ロシア文学者片上伸の海外逃亡?(その2)

『秋田雨雀日記』に片上伸関係の記事を見つけた(その1は12月25日参照)。 大正7年6月17日*1 夜、片上君の印象記を新聞社に寄贈。片上君はいわゆる天才の人ではなくて努力の人であるということ、あの人の悪い性癖が努力によってりっぱになっていっているこ…

美人好きで悪いか!?

「タヌキ」になって人間が丸くなったかと思っていたら、「狸寝入り」だったか? 新年早々相変わらず攻撃的で元気な小谷野敦先生。朝日新聞社のPR誌『一冊の本』1月号で新連載「美人好きは罪悪か?」を始めた(初回のタイトルは、「小説のヒロインはたいてい…

柳田國男と谷崎潤一郎のファースト・コンタクト(その2)

明治42年11月27日に開演された自由劇場の公演について、谷崎は『青春物語』で次のように記している。 自由劇場が第一回の旗挙げとしてイプセンの「ジヨン・ガブリエル・ボルクマン」を試演した時に有楽座の舞台で挨拶する小山内君を、観客席にゐて眺めたこと…

柳田國男と谷崎潤一郎のファースト・コンタクト

柳田の告別式に真紅のバラを贈った谷崎(12月15日参照)。二人の最初の出会いはいつ、どのような形であったか? 吉井勇*1によれば、 その後谷崎君の記憶として私の頭に残つてゐるのは、明治四十二年の十一月に有楽座で催された自由劇場の帰りのことである。…

芥川龍之介の死と谷崎潤一郎

昭和2年7月24日、芥川龍之介自殺。芥川の通夜・葬式における谷崎の目撃記録が残されている。 野上彌生子の日記*1には 昭和2年7月26日 お通夜で谷崎潤一郎が浴衣がけで床柱をしよひ、若造を相手に駄焔をあげてゐた。山猫といふのが彼の仇名さうなが、全く山猫…

『秋田雨雀日記』の凄さ(その3)

『秋田雨雀日記』第1巻には、変態心理の中村古峡の名前も登場する。 大正7年3月20日 本郷生田長江君の家で初心会。沖野氏が談話をした。生田、中村古峡、野村愛生、坂田、須藤、武田、福田、橋浦、涌島の諸君。 日記中に中村古峡を見つけたのは三度目(昨年…

白川静のイナバウアー

平凡社のPR誌『月刊百科』1月号の特集「追悼 白川静先生」に面白い記事があった。 津崎史「私の中の父」によると、 スポーツは相撲をみるのが好き、イチローや松井秀樹の活躍も見逃せず、フィギュアスケートのアラカワシズカは、一字違いの親しさで早朝深…

『秋田雨雀日記』の凄さ(その2)

『秋田雨雀日記』第1巻には、図書館ネタもある。 大正15年10月29日 温い。図書館の岡田健蔵、大橋君、三木君なぞがきた。また石川君の墓を訪う。墓前で撮影した。夜、商業会議所で、林、小林二新聞主筆、岡田図書係長主催の招待会にのぞんだ。非常な盛会だっ…

思わず買いそうになった『評伝シャア・アズナブル 《赤い彗星》の軌跡』

最近、評伝とか、伝記とかを読むのが好き。 そのせいか、書店で皆川ゆか 『評伝シャア・アズナブル 《赤い彗星》の軌跡』(講談社)なんてのを見かけたら、思わず買いそうになってしまった。×××××ガンダム世代のわしとしては、今でもガンダム大好き。