神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

栗田英彦・塚田穂高・吉永進一『近現代日本の民間精神療法』(国書刊行会)へ若干の補足

栗田英彦・塚田穂高・吉永進一『近現代日本の民間精神療法 不可視なエネルギーの諸相』(国書刊行会。以下「本書」という)を御恵投いただきました。ありがとうございます。井村宏次先生の「近代日本異端医療の系譜ーー維新以後の霊術家の饗宴」が『迷宮』3号(迷宮…

創業150周年の丸善が明治28年に発行した図書目録

今年が丸善150周年・実践女子学園120周年・実践国文100年記念ということで、「梶井基次郎と”神隠し”の京都展」が開催される。京都では、11月23日(土)~12月7日(土)丸善京都本店で開催。11月23日(土)には座談会(要申込・無料)もあるらしい。梶井や丸善とは無関…

書砦・梁山泊京都店の『戰前版内容見本書影輯成』

書砦・梁山泊京都店から『戰前版内容見本書影輯成』が届いた。同店が大量に所蔵する内容見本のうち、戦前分の極一部の書影をまとめたものらしい。すべてカラーの書影で17頁。頒価は千円で京都店で売ってるほか、郵送でも送料込みで千円とのこと。 内容は、 …

萩原朔太郎とまみえた「ぐろりあ・そさえて」の編集者にして早川孝太郎夫人宮崎智恵

「ぐろりあ・そさえて」という出版社については、「「ぐろりあ・そさえて」社員山田新之輔と竹内好 - 神保町系オタオタ日記」や「「ぐろりあ・そさえて」の若林つや - 神保町系オタオタ日記」などで話題にしたことがある。高橋輝次氏は『古本が古本を呼ぶ』(青弓社…

公開された吉井勇日記と所在不明の金子竹次郎日記

「吉井勇と河上肇の日記に記録された馬町空襲の真実 - 神保町系オタオタ日記」で言及した吉井勇の日記について、細川光洋先生による翻刻「吉井勇 戦中疎開日記抄」『短歌研究』73巻11号(短歌研究社、平成28年11月)を読んだ。非常に興味深い内容で、全文の刊行が…

壽岳文章にとっての瞼の詩人エドモンド・ブランデン

四天王寺秋の大古本まつりで古書クロックワーク出品の『文学会報』2号を拾ったことは、「古書クロックワークから壽岳文章「随想『手紙』」掲載の『文学会報』2号(関西学院大学文学会)を - 神保町系オタオタ日記」で紹介したところである。今回は、同誌4号(関西…

古本万歳万々歳、『支那征伐万歳節』(壮年倶楽部、明治27年)を掘り出す

最近激戦区となっている大阪古書会館たにまち月いち古書即売会の古本横丁和本300円コーナー。数ヶ月前にそこで見つけた翠葉散史『支那征伐万歳節』(壮年倶楽部、明治27年8月)、6頁。表紙に発兌元として壮年倶楽部、裏表紙に「大日本書籍行商社出版書目」の広告…

明治期の私塾正心學舎はどこにあったのか?

即位礼正殿の儀に伴い学校歴史博物館の特別展「番組小学校の軌跡ーー京都の復興と教育・学区ーー その3発展」が無料なので、見てきた。番組小学校で思い出したのが、だいぶ前に学校歴史博物館近くの三密堂書店の100円均一台で見つけた『正心學舎規則』。京都の…

故河井寛次郎先生を偲ぶ会と京都民藝協会

某古書店の好意で開催された50円均一祭で入手した「故河井寛次郎先生を偲ぶ会」の案内。内容は、「太田山荘会場案内図」、「展示作品目録」、「年譜」の4頁。発行所や発行年の記載はない。河井は、京都国立近代美術館編『河井寛次郎=KAWAI KANJIRO:川勝コレクショ…

京都スターブックス出品の戦前版『洛味』で美術記者黒田天外の没年を特定

先日台風で延期となった京都マルイ秋の古本市をのぞいてきたら、戦前版の『洛味』を発見。5巻2号(洛味社、昭和14年4月)。発行人は、宮崎小次郎。戦後版はよく見かけるが、戦前版はあまり見ない。目次を見たら、「栗田英彦論文が『近代京都の美術工芸』(思文…

夢見る京都の昭和図書館と東枝書店の東枝吉兵衛

戦前京都市中京区にあった昭和図書館については、「京都書籍雑誌商組合立昭和図書館 - 神保町系オタオタ日記」で紹介したところである。書物蔵さんが同図書館の絵葉書を持っているらしい。同図書館は、戦時中の建物疎開で岩倉に移され、戦後は岩倉農協が倉庫に…

四天王寺秋の大古本まつりで良さげな日記『撫石荘日乗』を拾う

天神さんの古本まつりも今日で終わり、次は百万遍知恩寺秋の古本まつりである。さて、今日は四天王寺秋の大古本まつり100円均一コーナーで見つけた日記の話。斎藤専吉『撫石荘日乗』上・下(耕作舎、平成14年12月)である。「日乗」に目が留まったが、背表紙に「…

戦前期における裏表紙に刷られた出版社ロゴマークの美学

爺さんなので読んだ本の数パーセントしか記憶に残らなくなった。稲岡勝先生の『明治出版史上の金港堂』(皓星社)で偽版防止用の証紙については覚えているが、出版社のマークについて言及されているのは、まったく失念していた。 明治二十年前後の図書(洋装本)…

天神さんの古本まつり100円均一台で新たな明治期教科書の証紙発見

水害や震災、残りの人生を考えるとこれ以上本を増やしたくないのだが、気が付くと今日も天神さんの古本まつりへ。初日にもあった100円均一台の和本が詰まった段ボール箱をじっくり見た。初日には和本を1冊も買わなかったが、今日はゆっくり見たせいか買いた…

戦時下に京大北門前の進々堂に通う河上肇

一昨日終了した四天王寺秋の大古本まつりの100円均一コーナーに河上肇全集(岩波書店)の端本が数冊出ていたが、誰か買っただろうか。経済学者の全集の端本では100円でも中々拾う人はいなそうだが、この全集の日記篇は実は面白い。拙ブログでも「河上肇が通っ…

四天王寺の古本まつりでみゆきから「青木嵩山堂製本之記」印のある『近世詩文幼学便覧』を発見

四天王寺秋の大古本まつりも終わり、台風が近づく中、明日からは天神さんの古本まつりである。私は、四天王寺の初日は100円均一コーナーが激混みになることを予想して、みゆき(古本横丁とも言うようだ)の和本300円均一コーナーから廻った。何冊か購入できた…

古書西荻モンガ堂で「個人名のついた研究会会誌の世界」展開催

『源氏物語』の定家本のうち、『若紫』一帖が発見され、研究者やマスコミがひと騒ぎである。特に紫式部学会では大騒ぎだろうか。同学会が戦前・戦中発行し、戦後の昭和37年11月に再発行した『むらさき』という雑誌がある。2巻7号,昭和10年7月の写真を挙げて…

吉井勇と河上肇の日記に記録された馬町空襲の真実

吉井勇の誕生日なので、吉井ネタを。吉井勇の日記が府立京都学・歴彩館に所蔵されていて、細川光洋静岡県立大学教授により、「吉井勇の戦中疎開日記(上)(中)」が発表された。吉井日記の内、特に疎開する前の日記に京都市への初の空襲である馬町空襲(昭和20年…

金港堂発行の雑誌『和国新誌』とはーー稲岡勝『明治出版史上の金港堂』のゲスナー賞受賞を祝してーー

稲岡先生の『明治出版史上の金港堂 社史のない出版社「史」の試み』(皓星社)が第8回ゲスナー賞「本の本」部門で銀賞を受賞したとのこと。おめでとうございます。同書については、「稲岡勝『明治出版史上の金港堂』(皓星社)にならい出版史料を発見 - 神保町系…

古書クロックワークから壽岳文章「随想『手紙』」掲載の『文学会報』2号(関西学院大学文学会)を

本日が初日の四天王寺秋の大古本祭りへ。例年初日が天神さんの古本まつりと重なり、ハシゴする古本者は大忙しだったが、今年は1週間ずれたので楽になった。さて、レコードに群がるファンが多い古書クロックワークに色々面白い雑誌が出ていた。そのうち『文学…

壽岳文章と芸艸堂

古書鎌田から芸艸堂(うんそうどう)の『美術図書目録』と書砦・梁山泊から本田芳太郎『私と芸艸堂』(芸艸堂、昭和58年)を入手。前者には発行年の記載がないが、「近刊だより」に山中古洞『挿絵節用』(昭和16年12月)が挙がっているので、昭和16年の発行だろう…

音楽小説にして神秘小説?の上田敏『うづまき』を読む

木股先生から『上田敏「うづまき」注釈』(甲南大学木股知史研究室、平成29年1月)を御恵与いただきました。ありがとうございます。明治43年1月から3月に『国民新聞』に連載後、同年6月大倉書店から刊行された上田敏唯一の小説『うづまき』への詳細な注釈をま…