柳田國男
「眞山青果旧蔵資料展ーーその人、その仕事ーー」は、国文学研究資料館で平成28年12月~29年1月に開催された。この時のパンフレットに掲載されたコラム「眞山青果の蔵書印について」 *1で、故青田寿美先生が「眞山青果文庫」で確認し得た限り最多の押捺がみ…
だんだんボケてきたのと古本を買いすぎるのと両方で、どこで買ったのか思い出せない古本が増えてきた。今回紹介する杉浦翠子編集の『短歌至上主義』10巻4号(藤浪会、昭和17年4月)も、最近西部古書会館で買ったような、違うようなとはっきりしない。と思って…
神田駿河台の佐藤新興生活館については、「昭和17年民族学者杉浦健一が佐藤生活館で南方派遣者(?)向けの講演会ーースメラ学塾の南方指導者講座との関係ーー - 神保町系オタオタ日記」などで紹介したところである。今は山の上ホテルとなっていて、私もいつかは…
数ヶ月前に平安蚤の市で、田中緑紅日記と同じ出所の物という図書目録を購入。てっきり田中が主宰した郷土趣味社の図書目録と思っていた。しかし、よく見たら岡村千秋が創立した郷土研究社の図書目録(以下『図書目録』という)であった。 本書は、柳田國男「炉…
逃した獲物は大きかった。文庫櫂のガラスケース内にあった柳田國男『遠野物語』の初版は、店で売れなかったのでヤフオクに出されて売れたという。店にあることは以前から聴いていたが、手が出ない値段だろうし、今更『遠野物語』の初版を見ても新知見を得ら…
京都市寺町から大津市比叡平に移転した書砦・梁山泊に行ってきた。新たに外の壁に500円均一台ができていた。そこに1冊欲しいものがあったのだが、買うのを忘れて帰ってしまった。次に行く時まで残ってるだろうか。店内では、民俗学の棚に柳田國男『一目小僧…
寸葉さん(シルヴァン書房の矢原さん)から500円で買った絵葉書がある。兵庫県城崎郡豊岡町の郡役所前にあった豊岡印刷所から国府村の古田医院宛に送った明治40年の年賀状である。だいぶ前に買ったもので、なぜ買ったのかも覚えていない。書砦・梁山泊京都店で…
私は学生時代は左京区吉田に住んでいて、北白川に住んだことはない。しかし、友人や先輩の多くは、北白川に住んでいた。また、いつの時期の話か忘れたが、京大の先生の多くが北白川に住んだと書かれた本を読んだ覚えがある。ということで、今回は北白川と京…
財界人の日記は、作家や学者等の日記に比べて面白くない。渋沢栄一*1や小林一三*2の日記でも面白い記述は、極一部である。そのため、『平生釟三郎日記』(甲南学園)は手付かずであった。しかし、人名索引を読んでみたら絶句するような名前が幾つか出てくる。…
「柳田国男年譜」(小田富英作成)*1昭和9年8月9日の条に「新村出宛てに、葉書を書く」とある。この葉書の文面は、菊地暁「拝啓 新村出様:柳田国男書簡からみる民俗学史断章」『国立歴史民俗博物館研究報告』第165集に掲載されている。葡領東印度の親日有力者Van de…
わしには、探求書は存在しない。ただ、読んでみたい本はいくつか存在する。次のような日記群である。 堀一郎の日記(当初『堀一郎著作集』で書翰・日記編が予定されていたが、未完のまま完結) 石川達三の日記(河原理子『戦争と検閲:石川達三を読み直す』) 中…
京都古書会館で開催された京都まちなか古本市では、紐閉じされた『秋田考古会々誌』1巻2号,大正14年11月から2巻1号,昭和3年2月までを入手。福田屋書店の和本の棚を念のためチエックしたら、紛れていた。500円。秋田県立図書館が1巻1号,大正14年8月から3巻6号…
平成29年6月大阪で元「貸本喫茶ちょうちょぼっこ」の4人による古本市があった。古通豆本等を買えたが、無料本が何冊か置いてあって、その中にあった1冊。平成6年2月~3月に浜松市立中央図書館で開催された「飯尾哲爾と『土のいろ』展」の図録(浜松読書文化協力…
後に国際政経学会常務理事となる増田正雄が柳田国男の日記に出てくることは「結城禮一郎と柳田國男 - 神保町系オタオタ日記」で紹介したところである*1。その他戦前の各種の日記に名前を見つけることができるが、今回は伊藤隆・西尾林太郎が資料紹介した「水野…
大正10年5月柳田國男は横浜からアメリカ、フランス経由でジュネーブへ向かった。国際連盟委任統治委員会委員に選ばれたためである。この道中の動向は、家族や知人宛に出された葉書・絵葉書などで追うことができるので、『柳田國男全集』別巻1の年譜で詳細に…
『倉富勇三郎日記』大正10年4月に柳田國男の知人として、何やら怪しい南聡行なる事業家が登場すると「民俗学とは柳田國男そのものを研究する学問であるーー柳田と大和高取の南聡行とのあやすーぃ関係ーー - 神保町系オタオタ日記」で紹介した。一方、『柳田國…
タイトルは冗談である。しかし、猫猫先生こと小谷野敦先生言うところの「民俗学者学」になると思うが、柳田國男の人生を調べると何かと面白い。精緻な『柳田国男伝』にも出てこないような人物、例えば増田正雄、織田善雄のような偽史運動家との関係については…
平成28年12月から翌年1月まで国文学研究資料館で「眞山青果旧蔵資料展ーーその人、その仕事ーー」が開催された。残念ながら実見できなかったが、青田寿美先生から冊子をいただいた。ありがとうございます。冊子の内容は、その後一部修正の上、『真山青果とは何…
『荘内』6号(荘内社、昭和13年7月)が手元にある。発行兼編輯人は斎藤恵太郎、荘内社は東京市芝区に所在。常田書店の300円を100円に下げた値札が貼ってあるので、西部古書会館で買ったのだろう。目次を挙げておこう。 柳田國男や國分剛二が書いているので、買…
『昭和前期蒐書家リスト』がだいぶ出回ってきたようだ。研究者や好事家の皆様、一家に一冊必要ですよ。今回も、このリストを使って見よう。赤星五郎(蒐集分野:陶器に関するもの殊に朝鮮の焼物)と赤星陸治(蒐集分野:和歌、武道)という二人の赤星が載ってい…
『柳田國男全集』別巻1の年譜を読んで最も驚いたのは、次の記述。 (大正一四年) 一一月 このころの秋の一日、国際連盟で知り合いとなったオーストラリアから来日中のウィルソンが、工業が盛んな近郊の農村を見たいというので、為正を連れ八王子市内から百草…
『柳田國男全集』別巻1(筑摩書房、平成31年3月)は、小田富英氏作成の詳細年譜。ざっと読んでみた。『別冊 柳田国男伝 年譜・書誌・索引』(三一書房、昭和63年11月)も随分詳細な年譜と思っていたが、この81頁の年譜に対し今回の年譜は驚くべき5倍の415頁。追…
『柳田國男全集』34巻(筑摩書房、平成26年3月)に「旅の文反故」が収録された。三村清三郎が写しを所蔵する*1「姉上様」宛の柳田の書簡を胡桃沢友男(胡桃沢勘内の長男)が『信濃』30巻1号(信濃史学会、昭和53年1月)に発表したもの*2を収録している。解題を担当した…
「臨川書店のバーゲンセールで冨山房国民百科大辞典の禅宗関係原稿を発見 - 神保町系オタオタ日記」で戦前の『国民百科大辞典』(冨山房)の「易」に関する項目を担当した満洲国暦法顧問佐藤了翁に言及した。『日本人物情報大系』別巻11-20(満洲編被伝記者索引…
河原町で行列のできる店というと、この間までは抹茶館で、いつ見ても100人以上並んでいたものだった。その後、6月にできた生タピオカの専門店モッチャムに人の波は移った。今はやや落ち着いて、並ぶ人の数も減っている。 ところで、テレビでも紹介されたとい…
昨年移転した阪急古書のまちは、特にリーチアートが入りやすくなった。小谷方明『蔵書印の話』(和泉郷土文庫、昭和22年5月)はそこで見つけた一冊。国会図書館になし。 内容は、「日本の蔵書印」、「蔵書印の歴史」、「蔵書印の使ひ方」、「蔵書印文の種類」…
大阪古書会館の古本市で『百人一趣』上・下(土俗趣味社、昭和21年)を発見。謄写版上巻98頁・下巻108頁、非売品100部限定の本で五千円もするが、柳田國男、斎藤昌三、尾崎久弥、九十九黄人、島田筑波、頴原退蔵、田中緑紅、東條操、中山太郎らそうそうたるメ…
斎藤昌三と三田村鳶魚がどれくらい親しかったかは不明だが、三田村の日記*1には数回出てくる。たとえば、 (大正十二年) 二月九日(金) 崇文堂、斎藤某氏と挈へ来る。(略) 六月八日(金) 崇文堂、八重を一九会へ。◯斎藤昌三氏。 (大正十三年) 一月二十九日(火) …
柳田國男関係の論文抜刷をいただいたので、柳田関係のネタを。 竹内文書(竹内文献)について柳田へ語る織田善雄という人物が柳田の『炭焼日記』に登場することを最初に言及したのが、大塚英志先生である。わしがその後「柳田國男と「偽史」関係者織田善雄」…
Z書店の均一台で100円。「学者知遇記」に柳田国男登場。 柳田国男先生とはある会合のとき、自動車に同乗して以来、ときどき訪れるようになった。この先生は、わたしの祖父、父とも交流があった人で、わたしで三代目である。気むづかしい老人だが、研究慾は青…