神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

大正期に哲学堂を散歩して井上円了博士に出会う秋田雨雀

『秋田雨雀日記』の特に大正期が面白い。著名な小説家、詩人、画家、劇団員は勿論、エスペランティスト、アナキスト、宗教家、オカルティスト、求道者、奇人・変人など何でも登場する。妖怪博士の井上円了も出てくるのである。たとえば、第1巻(未来社、昭和4…

日本におけるムー大陸受容史ーー「日本オカルティズム史講座」第4回への補足ーー

「日本オカルティズム史講座」第4回の吉永進一「日本のピラミッドと超古代の夢:1930年代」を拝聴。戦前のトンデモない人物はたいてい知っていると自負していたが、未知の怪しい人達が大分出てきたので驚いた。それでも、最も驚いたのは三浦関造の上海での活動の…

明治41年京都初の映画常設館電気館で活動写真を観る青年の日記

3月4日京都新聞に、藤森照信『藤森照信のクラシック映画館』(青幻舎)の刊行記念イベントが徳正寺で開かれたという記事が載った。これまた、樺山聡記者だ。100年近く続いた新京極の映画館旧八千代館に関して、同寺住職の扉野良人氏が発見した大正2年の「大工職…

名所旧跡の写真をバコバコ買う明治初期の写真コレクター斎藤月岑

明治初期の日記は、まだ江戸時代の延長の感じがあって、私の好きな人物や事物が登場しないのであまり読んでいない。しかし、たまにはと言うことで『斎藤月岑日記』10(岩波書店、平成28年3月)を読んでみた。明治7・8年の日記である。印象に残るのは、戸長を辞…

分離派建築会と板垣鷹穂・堀口捨己編『建築様式論叢』の六文館主鹿島鳴秋(本名・鹿島佐太郞)

京都国立近代美術館で「分離派建築会100年 建築は芸術か?|京都国立近代美術館 | The National Museum of Modern Art, Kyoto」開催中。前期は2月7日までで、後期は2月9日から3月7日まで。私は前期を既に観たが、見応えのある展示で後期も行きたくなるものであ…

百合子は起つ。分離派建築会作品展と宮本百合子

野上彌生子について、分離派建築会作品展を観たとは確認できなかった*1。では、友人の宮本百合子はどうだろうか。なんと言っても、父親が建築家の中條精一郎(ちゅうじょう・せいいちろう)である。更に、現在京都国立近代美術館で開催中の「分離派建築会100年 …

大正生命主義と宮本百合子ーーあったかもしれないムー大陸と宮本百合子ーー

ヘッケル『宇宙の謎』(大正5年1月2日) スターバック『宗教心理学』(大正5年1月7日) メーテルリンク『死後は如何』(大正5年9月18日) デゼルチス『心霊学講話』(大正5年9月8日購入[同月金銭出納簿]) 加茂熊太郎『迷信と科学』(大正6年2月22日) 速水滉『現代の…

三密堂書店で槙村正直『私用文』(書籍会社、明治7年)を発見ーー「夢見る京都集書院」の世界ーー

三密堂書店で槙村正直『私用文』(書籍会社、明治7年4月)を購入。昨年から店内にあった。しかし、表紙の「槙村正直 私用文初編」だけを見て、京都府知事を務めた槙村個人の著作ではなく、京都府が作成した教科書で名義だけ槙村にしたのだろう、教科書なら幾つか…

昭和3年9月、野上弥生子は分離派建築会第7回作品展を見たか?

京都国立近代美術館で「分離派建築会100年展 建築は芸術か?」、好評開催中。展示物や映像には、何度か驚かされた。その1つが、大正9年7月白木屋で開催された第1回作品展の芳名帳に芥川龍之介の名前があったことである。 展覧会の研究は、とかく史料が残る「見…

大正期における展覧会場としての星製薬ーー分離派建築会第3回作品展も星製薬だったーー

今日から京都国立近代美術館で始まった「分離派建築会100年 建築は芸術か?」展を見てきました。聖橋、楽友会館、旧多摩聖蹟記念館、林芙美子記念館など行ったことがある建築物が分離派建築会つながりとは知らなかったので、驚いた。映像もじっくり見てたら、2…

帝国図書館御用書肆としての青木嵩山堂ーー荘門熈編『新選詩学自由自在』の発行年を探るーー

新年早々、三密堂書店から荘門熈編『新選詩学自由自在』(青木嵩山堂)を購入。巻之一の序文(越橋逸人)に明治14年5月、巻之四の奥付に発行年月日の記載はないが「東京帝国大学 京都帝国大学 高等師範学校 第一高等学校 学習院 帝国図書館 御用書肆」とあるので購…

竹内瑞穂『「変態」という文化』(ひつじ書房)に『風俗史研究指針』の森徳太郎

竹内瑞穂『「変態」という文化:近代日本の〈小さな革命〉』(ひつじ書房、平成26年3月)に、『風俗史研究指針』(中外出版、大正12年9月)の森徳太郎が出てきた。『変態心理』大正10年10月号(又は11月号)掲載の「変態心理の研究に興味を持つた動機」への投稿から「学…

九十九黄人の東洋民俗博物館でエログロ絵画・写真を見る大場磐雄先生ーー九十九黄人の伝記を期待ーー

大場磐雄『楽石雑筆』の読書も下巻*1に突入。大場は、正倉院の御物を見た後、九十九黄人(豊勝)の東洋民俗博物館へ寄っていた。 (昭和十四年) ◎十一月十一日(土)(略)それより大軌にてあやめ池下車、東洋民俗博物館へゆく、始[ママ]めてなり。九谷[ママ]豊勝氏…

大場磐雄『楽石雑筆』に酒井勝軍と上原清二ーー1月23日第4回「オカルティズム史講座」開催ーー

1月23日午後1時からZoomで第4回「オカルティズム史講座」が開催されるようだ。 吉永進一「日本のピラミッドと超古代の夢:1930年代」 ヤニス・ガイタニディス「出版スピリチュアリティ:精神世界の出版社と翻訳者」 吉永さんの日本のピラミッド関係は、特に熱の入…

京都帝国大学文学部心理学教室第三代教授岩井勝二郎の日記ーー書砦・梁山泊から貰った日記にビックリーー

書砦・梁山泊京都店の島元さんから幾つかの日記を貰った。そのうち昭和12年の日記を紹介しよう。日記に筆者名の記載はない。半分も解読できていないが、「大谷大学」や「大学」で講義をしていることは直ぐに分かった。最初は大谷大学が本務の先生と思ってしまっ…

オタどんが死ぬまでに読みたい未公刊の日記群ーー堀一郎の日記はどうなった?ーー

わしには、探求書は存在しない。ただ、読んでみたい本はいくつか存在する。次のような日記群である。 堀一郎の日記(当初『堀一郎著作集』で書翰・日記編が予定されていたが、未完のまま完結) 石川達三の日記(河原理子『戦争と検閲:石川達三を読み直す』) 中…

昭和9年鹿児島県立図書館で奥田啓市館長と会った大場磐雄と藤島武二

大場磐雄「楽石雑筆〈中〉」*1を読書中。そうしたら、奥田啓市鹿児島県立図書館長を発見。 (昭和九年) ◎一月五日(略) 九時過の列車にて別れ鹿児島着十一時少過、山田五十麿氏*2にあう、氏の遺物は図書館にありというを以て一同そこに赴く、図書館長に逢い便宜…

元台北帝国大学教授で法人類学者だった増田福太郎の教職追放ーー増田は、藤沢親雄・小島威彦・堀一郎らとムー大陸の夢を見たかーー

『国民精神文化研究所要覧:昭和十六年三月』(国民精神文化研究所、昭和16年3月)で職員の一覧を見ていると、色々考えさせられる。多くの職員が、戦後公職追放や教職追放となっている。しかし、在職中は研究に切磋琢磨し、互いに刺激しあった仲だっただろう。…

出版史料にも使える渋谷定輔『農民哀史』ーー平凡社の下中弥三郎と三浦関造ーー

一昨日の吉永さんの「日本オカルティズム史講座」第3回には、藤沢親雄、山本英輔、三浦関造、下中弥三郎など拙ブログでお馴染みの人物が多数出てきて楽しめた。下中と三浦の関係についても言及されていたので、2人が出てくる戦前の日記を紹介しておこう。渋谷…

知られざる北村小松の大衆文藝傑作文庫『空の非常線 處女よ嘆く勿れ』(艸元社書房)

『本のリストの本』の重版記念イベントがあった日に、三密堂書店で「大衆文藝傑作文庫」の『空の非常線 處女よ嘆く勿れ』(艸元社書房)を発見。未知の文庫で、かつ、北村小松執筆なので購入。124頁、400円。昭和12年10月初版、16年10月再版。青森県立図書館・青…

大場磐雄『楽石雑筆』に「信仰と迷信に関する通俗科学展覧会」ーー國學院大學博物館で「楽石雑筆展」開催中ーー

國學院大學博物館で、「企画展「楽石雑筆―神道考古学の祖 大場磐雄の記憶と記録―」 【会期:2020/11/5~】 | 國學院大學博物館 考古と神道で知る日本の文化・歴史(国学院大学博物館)縄文 土偶 埴輪 土器 神社 宗教 東京 渋谷 無料 Japanese tokyo shibuya C…

『近代の仏教思想と日本主義』(法藏館)中の名和達宣論文を読んでーー仏教関係者の公職追放についてーー

今年の瞠目すべき一冊、法藏館の石井公成監修、近藤俊太郎・名和達宣編『近代の仏教思想と日本主義』については、「『近代の仏教思想と日本主義』(法藏館)の栗田英彦「日本主義の主体性と抗争ーー原理日本社・京都学派・日本神話派ーー」への補足 - 神保町系オ…

中島俊郎先生の講演会と内田明先生により解明された寿岳文章が向日庵本で使った活字

中島俊郎先生の講演「書物・和紙・文学ーー寿岳文章の豊かな世界ーー」が12月20日(日)府立京都学・歴彩館であると、御連絡をいただきました。ありがとうございます。ちょうど1年前に長野裕子先生の講演「寿岳文章と向日庵本」があったことを思い出す。その時、ど…

今年何かと話題になった三密堂書店で見つけた粟野秀穂編『五十四年之回顧』(昭和13年)ーー西田直二郎の友人としての粟野秀穂ーー

今年の新語・流行語年間大賞は、「3密」でした。3密が話題になると、三密堂書店も何かと話題になった1年でした。しかし、幸か不幸か、客が押し寄せて3密になるような事態にはならなかったようだ(^_^;) 今回は、三密堂で見つけた粟野秀穂編『五十四年之回顧…

台湾の古書店台北堂書店(小野山三郎)の古書目録『(南支南洋)南方資源資料特集目録』(昭和16年)

先日『本のリストの本』(創元社)重版記念イベントが開催され、行ってきました。林哲夫氏所蔵の目録類の展示・販売もあり、眼福でした。私も古書目録は集めていて、ある程度集まると『日本古書目録大年表』(金沢文圃閣、平成27年1月)にも載ってないような珍し…

平楽寺書店の井上四郎宛家永三郎書簡ーー『日本仏教思想の展開』監修者としての家永三郎ーー

3年前の大阪切手まつりでシルヴァン書房の矢原さんから、家永三郎の平楽寺書店宛葉書を入手。平楽寺書店宛書簡が出回っていた頃である。中村元の書簡もあった。3枚あった家永の葉書のうち昭和31年7月5日付けは、ゲラ刷を一覧して、「道元が法然や貞慶に先行し…

京都女子大学で開催中の「京女100年の至宝展」に江戸川乱歩旧蔵の『風流東大全』(享保16年)ーー蔵書印データベースも活用した解説ーー

京都女子大学が創基100周年記念の展覧会「京女100年の至宝」を開催していたので、行ってきました。ビアズリー関連、九条武子コレクション、淀野隆三宛や佐藤春夫宛の川端康成書簡、よく知られたB5判ではなくB4判の『キンダーブック』創刊号(昭和2年11月)*1など…

『本のリストの本』(創元社)重版記念のイベントが京都市の徳正寺でーーあなたも本のリストを作ろうーー

『京王線沿線の吸血鬼伝説』 『直立魚類上・下』 『生首の正しい飼い方』 『自殺のススメ』 『古木探検』 『不思議昆虫図鑑』 『珍妙昆虫図鑑』 『陳氏菜経』 『邪馬台国は火星にあった!』 『古墳の呪的文様』 『木を巡る対立』 『海竜祭の民俗』 『加美島…

取りあえず買っておいたら役に立った『旧高田邸と国立大学町85年の物語』ーー高田義一郎と茅原華山の『内観』

茅原華山の『内観』(大正9年4月創刊)における異色の執筆者について、「知恩寺の古本まつりで三密堂書店から茅原華山の雑誌『内観』を - 神保町系オタオタ日記」で紹介した。『民本主義の論客茅原華山伝』(不二出版、平成14年12月)の著者茅原健氏は、そのうち高…

契丹古伝と竹内文献を繋ぐムー大陸幻想ーー「言説のキャッチボール」で拡大する偽史大系ーー

明日『ユリイカ』12月号の「特集偽書の世界」が出るようだ。私は一時期偽書、特に竹内文献等の超古代史物にハマっていたので、『歴史読本』の特集や原田実氏*1の著作は必ず買っていた。最近は、あまり関心もなくなり関係書もほとんど買わなくなってしまったが…