神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

南方科学研究所設立に奔走する羽田亨京都帝国大学総長と民族研究所の岡正雄

大佛次郎の戦時中の日記*1に戦後奈良教育大学教授となる地理学者林宏とジャカルタの南方文化研究所が出てくることは、「戦時下ジャカルタで南方文化研究所を開設する地理学者林宏ー大佛次郎『南方ノート』からー - 神保町系オタオタ日記」で紹介したところで…

大正大学出版部最初の刊行物『華鬘』創刊号(大正15年11月)

昨年11月西宮神社で第1回えべっさん古本まつりが開催された。下鴨納涼古本まつりを意識したものであったようだ。遠方なので、初日のみ参加した。大盛況で初回から成功と言ってよいだろう。ただ、合同レジと各店レジのエリアに分かれていたのは、ややこしかっ…

『近代仏教』31号に『「日本心霊学会」研究』(人文書院)の書評(木村悠之介)

昨年5月東北大学でシンポジウム「近代仏教史とオカルト研究ー吉永進一が残した課題の可能性ー」が開催された。京都でやってくれたらのぞきに行けたが、仙台では中々厳しいものがあった。しかし、幸い先月刊行された『近代仏教』31号(日本近代仏教史研究会)…

最後まで光り輝いた金尾文淵堂の京都時代ー幻の与謝野晶子『源氏五十四帖:歌集』ー

石塚純一『金尾文淵堂をめぐる人びと』(新宿書房、平成17年5月)は、金尾文淵堂の歴史を次の4期に分けている。 第1期(明治32~37年) 第2期(明治38~43年ころ) 第3期(明治44~大正12年ころ) 第4期(大正13~昭和22年) そして、第4期について次のよう…

竹内文献の信奉者で藩札狂の前田惇と東京美術学校長正木直彦

別件で東京美術学校長正木直彦の『十三松堂日記第1巻』(中央公論美術出版、昭和40年9月)を読んでいたら、自他共に認める藩札狂だった前田惇*1らしき人物を見つけた。何回も読んだ日記だが今頃気付いた。 (大正十三年) 六月二十五日 晴 出勤 楮幣蒐集家前…

藪内清を小林信子の静坐社に連れて行った曽我了雲

近代仏教研究者で曽我量深(そが・りょうじん)を知らない人はいないだろう。一方、同じ曽我でも曽我了雲(そが・りょううん)を知る人はほとんどいないだろう。私も最近まで知らなかったが、「静坐社に参加した福田與の旧蔵書が古書市場にー吉永進一さんの…

京都大学新聞の「特集きょうの妖怪Vol.3」に「北白川の仙人『白幽子』」

臨川書店の古書バーゲンに行った帰りに、京大生協ショップルネへ寄り道。入り口脇に『京都大学新聞』の無人販売台があってふと見ると、5月1日・16日合併号掲載の「特集きょうの妖怪」の第3回が、「北白川の仙人『白幽子』」。そんな連載があったのか、しかも…

京都帝国大学の学知を支えた須磨勘兵衛の内外出版印刷ー井上書店の追悼にー

今年も無事みやこめっせの古本まつりに行けました。目録の巻頭に井上書店の井上道夫店主の追悼文が載っていて驚きました。略歴を要約すると、 昭和21年4月 今出川通吉田神社鳥居の西側に父小三郎が開業 昭和26年7月 現在地に移転 昭和28年12月 誕生 昭和52年…

唯書房から京都中心の合同古書目録『書之燈』

一昨日(5月17日)の大阪古書会館「たにまち月いち古書即売会」では、「南木」宛の葉書が挟まった雑誌『上方趣味』を発見。これは、南木芳太郎だろうとホクホクと購入。詳細は、もう少し調べてからアップします。 今回は、唯書房から500円で購入した古書目録…

河合卯之助の『窰:向日窯陶誌』から見た河合山脈ー小川千甕・川西英・寿岳文章・安田青風・山田一夫ー

特定非営利活動法人向日庵の機関誌『向日庵』7号(向日庵、令和6年3月)を御恵贈いただきました。ありがとうございます。「編集後記」では、寿岳文章を論じた記念碑的な2著として、高木博志編『近代京都と文化:「伝統」の再構築』(思文閣出版、令和5年8月…

戦時下ジャカルタで南方文化研究所を開設する地理学者林宏ー大佛次郎『南方ノート』からー

『日本民俗学大系第1巻』(平凡社、昭和35年4月)の小川徹「民俗学と地理学、とくに人文地理学との関係」は、「三 民俗学史上における人文地理学的方法」の付記として、小寺廉吉*1、林宏、山口弥一郎、千葉徳爾らの民俗学的活動に触れなかったことに言及して…

広隆寺弥勒菩薩半跏思惟像を観た京都帝国大学生の絵葉書:オールドブックス ダ・ヴィンチから

碧海寿広『仏像と日本人:宗教と美の近現代』(中央公論新社、平成30年7月)105頁に、町田甲一が戦時下に京都の寺を巡ったとある。 戦後日本を代表する美術史家の一人である町田甲一(一九一六~九三)も、東京帝国大学の学生時代に、友人と奈良に近い京都の…

古書あじあ號で買い逃した宗教雑誌?『復興』と買ってしまった婦人雑誌『日本婦人』ー日本婦人新聞社の衣川延治とはー

四天王寺春の大古本祭りが終了しました。今回古書あじあ號が目録参加のみ*1で、会場は不参加でした。体調がお悪いようです。御回復され、次回を期待しています。あじあ號というと、均一台で買い逃した本を思い出す。「買った本より買い逃した本の方がいつま…

武井武雄刊本作品友の会本会員を目指す我慢会の好古家や宝塚の女優達

先日1時間遅らせて行った京都古書会館の古本まつりで見つけたもう1枚*1の葉書。武井武雄から北海道弟子屈の木下某宛で、昭和41年6月7日付けである。文面は、 ・色々と委しい報告を拝見したこと ・近く(多分8月下旬)我慢会への特頒があり、今度のは一寸豪華…

『古本イエーZINE』8号に「京都市立絵画専門学校の関係者が結成した美術劇場とカフェーカナリヤ」寄稿

みやこめっせの古本まつりをウロウロしてたら、狂言屋こと齊藤さんの奥さんと遭遇。『古本イエーZINE』8号(狂言屋、令和6年4月)をいただいた。ありがとうございます。拙稿「京都市立絵画専門学校の関係者が結成した美術劇場とカフェーカナリヤ」が載ってま…

京都新聞THE KYOTO「京都・左京区研究」で「からふね屋印刷所」の回を希望

先日の「たにまち月いち古書即売会」(大阪古書会館)では、久しぶりに古本横丁の和本均一400円台から購入。そのうちの1冊が、杉浦三郎兵衛編『雲泉荘山誌:家蔵松会板之書目』別冊第4(雲泉荘、昭和9年7月)である。「はしがき」によれば、5月に知友に乞わ…

眞山青果日記の翻刻が進む

『大佛次郎随筆全集第3巻』(朝日新聞社、昭和49年2月)中「未刊随筆」として、「美人の町」が収録されている。ここに、真山美保が出てくる。 (略)真山美保は、真山青果の遺児で、日本全国のいなかを回って理想のある芝居を見せて歩いている特志の女性であ…

須田国太郎が表紙絵を描いた京都三中の同人誌『時計台』:橋秀文論文への補足

京都大学広報誌『紅萠』42号(京都大学総務部広報課、令和4年9月)が出てきた。表紙は京大のシンボルである時計台(大正14年竣工)とクスノキ。そう言えば、表紙に時計台が描かれた『時計台』という同人誌を持っていたことを思いだして、積ん読本から掘り出…

『柳屋』に登場する北村兼子と井上芳子「『美術と文芸』・『柳屋』について」への補足

『柳屋』39号「小唄の巻」(柳屋画廊、昭和5年3月)が出てきました。もう開催しなくなった水の都の古本展(中之島公会堂)で数年前にモズブックスから購入。数冊出ていた中から藤田嗣治の表紙のを選んだようだ。2千円位だったか。目次も挙げておく。 昨年44…

上方郷土研究会が主催した『好色一代男』250年記念西鶴忌

大阪古書会館の「たにまち月いち古書即売会」で『上方:郷土研究(復刻版)1』(新和出版、昭和44年7月)を購入した。古書ディック出品で300円。1冊300円の棚で上下2分冊だから600円かなと思ったが、函に300円のシールが貼られていて300円で済んだ。あり…

西田幾多郎記念哲学館で中田邦造展開催中ー中田邦造や東田平治に関する講演会もー

今や「居場所としての図書館」の筆頭として脚光を浴びる石川県立図書館(田村俊作館長)。同図書館の戦前における館長(昭和6~15年)として中田邦造がいた。西田幾多郎の門下生でもあったので、現在石川県かほく市の西田幾多郎記念哲学館で「図書館社会教育…

『京都大学大学文書館だより』45号に渡辺恭彦「教職追放を受けた京大教員」掲載

先日何十年か振りに哲学の道を歩いてきた。疎水にできた花筏や風に舞う花吹雪を味わいながら、私も京都学派の一員になった気分であった。そうすると、『京都大学大学文書館だより』45号(京都大学大学文書館、令和5年10月)に渡辺恭彦「教職追放を受けた京大…

パステル画家矢崎千代二と近角常観を繋ぐネットワーク

何となく面白そうと思って横田香世『パステル画家矢崎千代二:風景の鼓動を写す』(思文閣出版、令和5年6月)を読んでみた。そうすると、71頁に驚く記述を発見。大正8年に中国旅行から一旦帰国した画家矢崎が渡印の援助を求めた可能性のある人名の一覧に関す…

上林暁の妻徳廣繁子と徳正寺の井上正子ー京都第一高等女学校の同窓会誌『鴨沂会雑誌』ー

井上迅編『ためさるる日:井上正子日記1918-1922』(法藏館、令和5年11月)大正11年5月11日の条に鴨沂会が出てくる。鴨沂会は、正子が同年4月本科5年に入学した京都府立京都第一高等女学校の同窓会である。同会の機関誌『鴨沂会雑誌』を数冊持っているので、…

『京都吉田忠商報 きもの』へ寄稿した作家・詩人達ー大阪高島屋の今竹七郎と吉忠の上田葆の時代ー

平成17年10月から11月にかけて西宮市大谷記念美術館で、「生誕100年 今竹七郎大百科展」 が開催された。南陀楼さんがブログ「朝6時に大阪で、夜10時は神戸だった - ナンダロウアヤシゲな日々」で紹介されていたので、私も観に行ったと思う。図録を見ると、今…

静坐社に参加した福田與の旧蔵書が古書市場にー吉永進一さんの追悼としてー

3月31日は、吉永進一さんの命日でした。吉永さんが発見した静坐社の資料に係わる研究会が南山大学であるというので、のぞいてきました。発表は、栗田英彦「京都静坐社の人脈に見る宗教・文学・女性」と雲島知恵「静坐社資料に見る戦間期女性文筆家の国際ネッ…

『小林一三日記』全3巻が3月31日まで驚異の安価で発売中

昨年が小林一三生誕150年ということで、逸翁美術館では『小林一三日記』全3巻(阪急電鉄、平成3年6月)を2,900円(税込)で3月31日まで発売中。「日本の古本屋」では22,000円~33,000円で売っているので、驚異的な安さですね。→「【ミュージアムショップ】キ…

大学堂書店のおばちゃんは健在だったー京都新聞樺山聡記者が取材ー

3月26日の京都新聞*1に、大学堂書店の閉店について語る店主の髙井昌子さん(89)の記事。樺山聡記者の取材。仕事が早いですね。 河原町にあった大学堂書店については、旧ツイッターに店内の古本がリサイクル業者の車に運ばれる写真が投稿され、大騒ぎになっ…

大正15年上海に寄港した軍艦出雲から京都の友人へ出された軍艦郵便

平成27年みやこめっせの古本まつりで軍艦郵便の葉書が挟まった矢野峰人『近代英文学史』(第一書房、大正15年6月)を購入した。彙文堂の出品で1,000円ぐらいだったと思う。発信者は上海に寄港した岸本健雄で、消印は1926(大正15)年7月12日、MOJI(門司)局…

『近代出版研究』3号(皓星社発売)4月刊行ー創刊号の拙稿が木村悠之介・荻原稔研究ノートで言及されるー

『近代出版研究』(近代出版研究所発行・皓星社発売)が無事4月に刊行されるようだ。遅れるかと心配していたが、よかった。常連枠の拙稿は、「明治期における裏表紙のパブリッシャーズ・マークに関する一考察」です。全体の内容は、「近代出版研究 第3号 | …