神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

眞山青果日記の翻刻が進む

『大佛次郎随筆全集第3巻』(朝日新聞社、昭和49年2月)中「未刊随筆」として、「美人の町」が収録されている。ここに、真山美保が出てくる。 (略)真山美保は、真山青果の遺児で、日本全国のいなかを回って理想のある芝居を見せて歩いている特志の女性であ…

須田国太郎が表紙絵を描いた京都三中の同人誌『時計台』:橋秀文論文への補足

京都大学広報誌『紅萠』42号(京都大学総務部広報課、令和4年9月)が出てきた。表紙は京大のシンボルである時計台(大正14年竣工)とクスノキ。そう言えば、表紙に時計台が描かれた『時計台』という同人誌を持っていたことを思いだして、積ん読本から掘り出…

『柳屋』に登場する北村兼子と井上芳子「『美術と文芸』・『柳屋』について」への補足

『柳屋』39号「小唄の巻」(柳屋画廊、昭和5年3月)が出てきました。もう開催しなくなった水の都の古本展(中之島公会堂)で数年前にモズブックスから購入。数冊出ていた中から藤田嗣治の表紙のを選んだようだ。2千円位だったか。目次も挙げておく。 昨年44…

上方郷土研究会が主催した『好色一代男』250年記念西鶴忌

大阪古書会館の「たにまち月いち古書即売会」で『上方:郷土研究(復刻版)1』(新和出版、昭和44年7月)を購入した。古書ディック出品で300円。1冊300円の棚で上下2分冊だから600円かなと思ったが、函に300円のシールが貼られていて300円で済んだ。あり…

西田幾多郎記念哲学館で中田邦造展開催中ー中田邦造や東田平治に関する講演会もー

今や「居場所としての図書館」の筆頭として脚光を浴びる石川県立図書館(田村俊作館長)。同図書館の戦前における館長(昭和6~15年)として中田邦造がいた。西田幾多郎の門下生でもあったので、現在石川県かほく市の西田幾多郎記念哲学館で「図書館社会教育…

『京都大学大学文書館だより』45号に渡辺恭彦「教職追放を受けた京大教員」掲載

先日何十年か振りに哲学の道を歩いてきた。疎水にできた花筏や風に舞う花吹雪を味わいながら、私も京都学派の一員になった気分であった。そうすると、『京都大学大学文書館だより』45号(京都大学大学文書館、令和5年10月)に渡辺恭彦「教職追放を受けた京大…

パステル画家矢崎千代二と近角常観を繋ぐネットワーク

何となく面白そうと思って横田香世『パステル画家矢崎千代二:風景の鼓動を写す』(思文閣出版、令和5年6月)を読んでみた。そうすると、71頁に驚く記述を発見。大正8年に中国旅行から一旦帰国した画家矢崎が渡印の援助を求めた可能性のある人名の一覧に関す…

上林暁の妻徳廣繁子と徳正寺の井上正子ー京都第一高等女学校の同窓会誌『鴨沂会雑誌』ー

井上迅編『ためさるる日:井上正子日記1918-1922』(法藏館、令和5年11月)大正11年5月11日の条に鴨沂会が出てくる。鴨沂会は、正子が同年4月本科5年に入学した京都府立京都第一高等女学校の同窓会である。同会の機関誌『鴨沂会雑誌』を数冊持っているので、…

『京都吉田忠商報 きもの』へ寄稿した作家・詩人達ー大阪高島屋の今竹七郎と吉忠の上田葆の時代ー

平成17年10月から11月にかけて西宮市大谷記念美術館で、「生誕100年 今竹七郎大百科展」 が開催された。南陀楼さんがブログ「朝6時に大阪で、夜10時は神戸だった - ナンダロウアヤシゲな日々」で紹介されていたので、私も観に行ったと思う。図録を見ると、今…

静坐社に参加した福田與の旧蔵書が古書市場にー吉永進一さんの追悼としてー

3月31日は、吉永進一さんの命日でした。吉永さんが発見した静坐社の資料に係わる研究会が南山大学であるというので、のぞいてきました。発表は、栗田英彦「京都静坐社の人脈に見る宗教・文学・女性」と雲島知恵「静坐社資料に見る戦間期女性文筆家の国際ネッ…

『小林一三日記』全3巻が3月31日まで驚異の安価で発売中

昨年が小林一三生誕150年ということで、逸翁美術館では『小林一三日記』全3巻(阪急電鉄、平成3年6月)を2,900円(税込)で3月31日まで発売中。「日本の古本屋」では22,000円~33,000円で売っているので、驚異的な安さですね。→「【ミュージアムショップ】キ…

大学堂書店のおばちゃんは健在だったー京都新聞樺山聡記者が取材ー

3月26日の京都新聞*1に、大学堂書店の閉店について語る店主の髙井昌子さん(89)の記事。樺山聡記者の取材。仕事が早いですね。 河原町にあった大学堂書店については、旧ツイッターに店内の古本がリサイクル業者の車に運ばれる写真が投稿され、大騒ぎになっ…

大正15年上海に寄港した軍艦出雲から京都の友人へ出された軍艦郵便

平成27年みやこめっせの古本まつりで軍艦郵便の葉書が挟まった矢野峰人『近代英文学史』(第一書房、大正15年6月)を購入した。彙文堂の出品で1,000円ぐらいだったと思う。発信者は上海に寄港した岸本健雄で、消印は1926(大正15)年7月12日、MOJI(門司)局…

『近代出版研究』3号(皓星社発売)4月刊行ー創刊号の拙稿が木村悠之介・荻原稔研究ノートで言及されるー

『近代出版研究』(近代出版研究所発行・皓星社発売)が無事4月に刊行されるようだ。遅れるかと心配していたが、よかった。常連枠の拙稿は、「明治期における裏表紙のパブリッシャーズ・マークに関する一考察」です。全体の内容は、「近代出版研究 第3号 | …

吉永進一さんの三回忌に静坐社史料に関するワークショップ開催

『図書』3月号(岩波書店)に、鼎談「現代に生きる仏教と仏教学ー『岩波 仏教辞典 第三版』二十一年ぶりの改訂」掲載。出席者は、大谷栄一・菊地大樹・末木文美士各先生である。一部を引用すると、 末木 グローバル化していく近代仏教について、お話しいただ…

日本美術報国会による陸軍省及び海軍省への必勝絵馬献納

日本画家土肥蒼樹宛葉書は、4枚所蔵。そのうち1枚は「竹内栖鳳門下の土肥蒼樹と新しき村の上田慶之助・高橋信之助 - 神保町系オタオタ日記」で紹介済みである。今回は、昭和19年3月□日消印の社団法人日本美術報国会*1からの葉書を紹介しよう。 文面は、同会…

京都古書会館の古本まつりで河合卯之助の葉書を

先月の京都古書会館の古本まつりには、一時間ほど遅刻。それでも、シルヴァン書房から葉書2枚と本1冊を購入できた。今回紹介する昭和10年6月30日付け河合卯之助から高槻の吉田健治宛葉書は、300円。 文面は一部しか解読できないが、「昨暁の大雷雨」がすさま…

「聖戦技術協会」改め「常民生活科学技術協会」と渋沢敬三ー公文書館を使おうー

@wogakuzuさんが《大川町の柳は大大阪の夢を見るか?》 https://twitter.com/wogakuzu/status/1751923395170857416# をポスト。大大阪時代に淀屋橋南詰から西へ土佐堀川沿いにあった大川町遊歩道について調べて漫画にしたもので、とても面白くかつ勉強になっ…

牧野富太郎より知名度が高かった鳥居龍蔵の小学校退学問題

平安蚤の市で独学修養会『名士成功実話:立志奮闘』(独学修養会、昭和8年4月初版・15年4月10版)を200円で購入。よくある独学者達の成功物語だが、田山花袋、私が私淑する鳥居龍蔵、最近旧蔵書が古書市場に出て話題の長谷川伸などが載っているので購入。非…

竹内栖鳳門下の土肥蒼樹と新しき村の上田慶之助・高橋信之助

数年前から寸葉さん(骨董屋)の所に、徳岡神泉宛書簡が出ている。ただ、これはというものがなくて私は買っていない。同じく竹内栖鳳門下で神泉に比べると知名度が劣る土肥蒼樹宛の書簡も以前から寸葉さんで見かける。こちらは数枚持っているので、今回その…

へちま倶楽部の『金曜』創刊異聞ー忍頂寺務宛の増田五良・西村貫一書簡がネットで読めるよー

『みなと元町タウンニュース』(みなと元町タウン協議会)では、平野義昌「海という名の本屋が消えた」が引き続き連載中。「元町の月刊タウン誌「みなと元町タウンニュース No.368」発行|みなと元町タウンニュース|元町マガジン|神戸の良さが元町に、神戸…

『上方』創立期の南木芳太郎と建築家池田谷久吉

1月13日みやこめっせで開催された文学フリマ京都で、『上方:お化け研究』(上方お化け研究会、令和5年12月)を購入した。表紙や目次が見事に南木芳太郎が主宰した『上方:郷土研究』へのオマージュとなっている。 上方郷土研究会編『上方』は、南木により昭…

三高生の文芸同人誌『素描』(昭和2年)にティー・ルームカナリヤの広告

昨年秋、知恩寺の古本まつりでは、例によって竹岡書店の均一台でくろっぽい雑誌や小冊子を拾えました。今回紹介する『素描』2号(素描社、昭和2年6月)もその内の1冊である。表紙に「デツサン」とあるので美術雑誌かと思ったら、文芸雑誌であった。 発行所の…

志ある司書は取りあえず『帝国図書館コレクション案内』(近代出版研究所)を買っとけ!

近代書誌懇話会編著『帝国図書館コレクション案内:請求記号から見た蔵書構成』(近代出版研究所、令和5年12月)を御恵投いただきました。ありがとうございます。 「本書の意義」によれば、「本書は現在、国会図書館(以下、NDL)が所蔵する本(国会本)の請…

国教宣明団から酒井勝軍『太古日本のピラミツド』発行の案内状ー皇明会の四宮憲章宛ー

昨年12月平安蚤の市で酒井勝軍『太古日本のピラミツド』(国教宣明団、昭和9年7月)発行の案内状を購入した。pieinthesky氏からで、1,000円。近代ピラミッド協会創立のきっかけとなった武内裕『日本のピラミッド』(大陸書房、昭和50年12月)がセンセーショ…

無銭探検家中村直吉とパリ滞在中の和田英作との接近遭遇

昨年縁があって、『神保町 本の雑誌』(本の雑誌社、令和5年11月)に「なぜ『神保町のオタ』を名乗るのか」を寄稿しました。そこでは中学生の時に買った『SFマガジン』世界は破滅する!特集(早川書房、昭和49年10月)でヨコジュン(故横田順彌*1)の連載…

玉川大学出版部の前身イデア書院が創刊した『児童文学』ー玉川大学出版部100周年ー

今年も後2日ですね。年内にどうしてもアップしておくべきネタが残ってました。ジュンク堂書店池袋本店で2月19日まで「イデア書院→玉川学園出版部→玉川大学出版部100周年フェア」(honto店舗情報 - 【4F人文】玉川大学出版部100周年フェア)を開催中。玉川大…

雑学王吉永進一と雑学博士土屋元作が交錯したシカゴ万国宗教会議ー『岩波仏教辞典第三版』刊行ー

中村元・福永光司・田村芳朗・今野達・末木文美士編『岩波仏教辞典第三版』(岩波書店)が刊行された。内容案内には「新規項目例」として、「中外日報」、「ラジオ説教」、「赤松連城」、「暁烏敏」、「大谷光瑞」、「友松円諦」、「曽我量深」、「万国宗教…

鳥居龍蔵の長女鳥居幸子の夫としての仏文学者萩原弥彦

鳥居龍蔵の一部の研究者は知っているだろうが、龍蔵の長女幸子の夫は仏文学者の萩原弥彦であった。私が気付いたのは、和田博文監修「ライブラリー・日本人のフランス体験」第3巻(柏書房、平成11年7月)として復刻された『あみ・ど・ぱり』2巻1号(巴里会、…

『古本イエーZINE』7号に「谷澤永一が青猫書房に注文?した古書のリスト」を寄稿

『古本イエーZINE』7号(狂言屋、令和5年11月)に「谷澤永一が青猫書房に注文?した古書のリスト」を寄稿しました。谷澤永一に送られた青猫書房古書目録の封筒に谷澤が注文したと思われる古書の番号が記されていたので、その極一部をリストにして話題にしま…