神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

2016-01-01から1年間の記事一覧

『二級河川』16号の「戦時の企業整備により誕生した出版社一覧(附・被統合出版社名索引)」が超便利

『二級河川』16号(金腐川宴游会)をいただいた。特集は「必殺必中グルメ漫画稼業」。特集の他には、堀川秋海「四分割・江見水蔭伝」、トム・リバーフィールド「戦時の企業整備により誕生した出版社一覧(附・被統合出版社名索引)」など。後者の一覧がとても有…

大正11年今日も旅する小川千甕

昨年12月から今年1月まで京都文化博物館で展覧会が開催された小川千甕(せんよう)。「柴田宵曲翁日録抄(7)」『日本古書通信』昭和57年1月号に出てきました。 (大正十一年) 曇 雨 十一月一日 行くさ省線にて小川千甕氏がりに、あづかりし幅をとゞく。旅行中の…

石丸梧平の『団欒』に「関西文士録」

100年前の1916年(大正5年)に数え26歳だった土田杏村。その土田の『妻に与へた土田杏村の手紙』(第一書房、昭和16年12月)を読書中。扶桑書房の200円の値札が貼ってあるので、東京古書会館で買ったか。大正5年5月から6年11月までの間に波多野千代子に送った書…

鹿島茂先生もビックラちょ!?新美南吉が見た田沢画房の田沢千代子

大正から昭和戦前期にかけて神保町に田沢画房という名曲喫茶があった。これについては、鹿島茂先生が『ちくま』に連載した「神田神保町書肆街考」で、飯島正、渡辺一夫や玉川一郎が通ったと言及している。そして、鹿島先生が田沢画房の娘で舞踏家だった田沢…

昭和三年全国古本屋・見立番付

読売新聞昭和3年7月14日朝刊に「昭和三年全国古本屋・見立番付ーー公募入選佳作(但本社図書室校訂)ーー」が載っている。東方は、 横綱 東京 文求堂 大関 東京 浅倉屋 張出大関 東京 村口 小結 東京 琳琅閣 前頭 東京 南陽堂、東京 一誠堂、東京 巌松堂、東京…

「2016全大阪古書ブックフェア」の目録にコンデルさん(ジョサイア・コンドル)の手紙か

全大阪古書ブックフェア(12月16日ー18日)の目録をいただきました。ありがとうございます。ほすーぃと思ったのは、古書鎌田出品の「画家・遠藤茂平資料一括 216,000円」。 遠藤は、幕末ー明治期に活躍した京都の画家。明治初年に太政官日誌の版下、会計局紙幣…

松原成信と水谷星之介(和夫)の同人雑誌『憧憬』

グーグルブックスによると、松原成信と水谷星之介が『滋賀県史 昭和篇』6巻(滋賀県、昭和60年3月)に出てくるらしい。早速見てみると、 蒲生郡金田村(現近江八幡市)の松原成信は、水谷星之介と共に、総合文芸誌、『憧憬』を発刊、一〇号まで続いたが、戦時下…

『きけわだつみのこえ』の松原成信が遺した『憧憬精神』

大阪古書会館にて200円で拾った松原成信編『憧憬精神ーー彼の亡霊がさ迷ひ帰らざらんがためにーー』(磯田克爾、昭和18年12月)。非売品、285頁、カバー付きの単行本。同志社大学図書館が所蔵。目次は、 創刊の言葉 松原成信 痴歌 水谷星之介 新約 島林武 ふる…

日本発禁本大事典の必要性

これまた、河上肇の日記から引用。 (昭和十三年) 四月二十一日 警察よりこれまで発売禁止になつた著書名を知らしてくれとて阿部氏来たる。二階に通して面会。 発禁処分をしたのは内務大臣(実務は内務省警保局図書課)とはいえ、処分庁側の警察職員が被処分者…

河上肇が通った臨川書店と一信堂

河上肇は戦時中昭和16年12月からは京都市左京区聖護院中町に、18年4月からは吉田上大路町に住んでいた。その間の日記*1には、進々堂でパンを買ったり、ナカニシヤで本を買ったり、古書店に通ったりしたことが記録されている。そのうちの古書店について紹介し…

『京都古書組合総合目録』29号に狩野文京堂旧蔵品

吉村大観堂から『京都古書組合総合目録』29号(京都府古書籍商業協同組合、平成28年11月)を頂きました。ありがとうございます。 美術品・古典籍が多いのであまり縁がないのだが、驚いたのは、 2996)名靈通 天行居 昭和28年 狩野栄三写本 30,000円 狩野栄三は…

今年最後の「たにまち月いち古書即売会」で見つけた本

18(金)から20日(日)まで開催された大阪古書会館の「たにまち月いち古書即売会」で拾った本を報告。 今回は、古書あじあ號の200円均一コーナーが特に良くて、次の3冊を購入。 福来友吉『精神統一の心理』(日本心霊学会、大正15年7月再版) 三浦関造『詩集祈れ…

350冊もあった小菅刑務所内の橘孝三郎文庫

河上肇の『獄中日記』を読んでたら、同じ小菅刑務所に入っていた橘孝三郎が出てきた。 (昭和十一年) 十一月一日(日) (略)四十五房の橘孝三郎氏(略)同氏の室には図書が天井へ届くほど三、四列に積み上げてあり、身辺の小卓には大きな外国語の辞書が載せられた…

ワークショップ「日本心霊学会から人文書院へ 新資料の中間報告」で編集者清水正光関係の発表

12月17日(土)午後1時30分から5時まで、京大人文科学研究所本館でワークショップ「日本心霊学会から人文書院へ 新資料の中間報告」があるとのこと。詳しくは、「JAPANESE NETWORK FOR THE ACADEMIC STUDY OF ESOTERICISM」参照。出版史、文学史、霊術史から見…

京都共生閣の創立者田村敬男

土屋祝郎『予防拘禁所』(晩聲社、昭和63年8月)に、 私は廃人の群れにも似たその集団のなかに見覚えのあるふたりの顔を見つけた。ひとりはたしかに黒木(重徳)である。昭和六、七年当時、私が三高生だったとき、彼はすでに京大を卒業し、京大北門の百万遍で共…

古本屋ツアーVS神保町のオタ

小山力也『古本屋ツアー・イン・京阪神』(本の雑誌社)をつらつら読んでるとわすの知らない古本屋がいくつも出てきて驚いた。善行堂で購入した本書にはサインとともに「夜行バスバンザイ!!!」とあるが、夜行バスで来てはダッシュで古本屋廻りをされていた…

知恩寺秋の古本まつりで拾った100円均一本

てっきり100円均一コーナーはないと思っていた知恩寺秋の古本まつり。10月30日から11月2日までやってましたね。古本まつりの会期の初日である10月29日と最終日である11月3日を外してあるので、知らなかった人や行けなかった人も多いんじゃないかな。わしが拾…

東京予防拘禁所旧蔵、岡崎文規『印度の民俗と生活』

知恩寺秋の古本まつりだ。林哲夫氏ほどは凄い本が拾えてないが、100円均一コーナーでそこそこ拾い物はあった。本書は、その100円均一コーナーではなく、津田書店で400円。千倉書房から昭和17年8月発行。普通ならタダでもいらない本だが、扉に「東京豫防拘禁…

与謝野寛の親友だったパリ在住の変人内藤丈吉

グーグルブックスで「内藤丈吉」を検索すると、拙ブログの「岡本太郎を小僧呼ばわりした元第一高等学校教授の内藤丈吉」のみがヒットする。今回、『木下杢太郎宛知友書簡集』上巻(岩波書店、昭和59年7月)所収の(大正10年)5月26日付け与謝野寛の木下宛書簡中…

『小山完吾日記』に見る昭和天皇の憲法観

神津真人の迫水久常宛献呈署名入の『小山完吾日記』(慶應通信、昭和30年11月)を入手。小山は、「著者略歴」によると、明治8年生、34年慶應義塾卒、時事新報記者、衆議院議員を経て、明治生命常務、時事新報社長等を歴任。大正8年パリ講和会議には首席全権西…

桑原天然の弟子だった(?)日本心霊学会の渡辺藤交

その昔天下茶屋にあった井村宏次の生体エネルギー研究所には何度か行ったことがある。場所柄から帰りに怖い目に会ったのも今ではいい思い出である。さて、井村の名著『新・霊術家の饗宴』(心交社、平成8年12月)266頁によると、 天然の死後、彼の影響をうけた…

星新一が『祖父・小金井良精の記』に書かなかったこと

届いたばかりの『盛林堂の本棚 盛林堂書房古書目録』第3号のトップは星一『三十年後』(新報知社、大正7年5版)12万円である。だからというわけではないが、星一の妻と息子でSF作家の星新一の話を。『小金井良精日記 大正篇』(クレス出版、平成27年12月。以下…

藤澤衛彦主宰『伝説』の編集者竹内道之助

風俗資料刊行会や三笠書房を創立した竹内道之助は、それ以前に藤澤衛彦の『伝説』(日本伝説学会)の編集をしていた。このことは、『談奇党』3号(洛成館、昭和6年12月)の「現代猟奇作家版元人名録」に書いてあるらしい(金沢文圃閣の復刻版あり)。『伝説』自体…

美術印刷株式会社の皆川省三

股旅堂の目録から『皆川省三君を偲ぶ』(市川憲次、昭和17年10月)購入。非売品、276頁。皆川の略歴は、同書の年譜から要約すると、 明治23年3月24日 長野県飯田町皆川家の二男として生まれる 44年 日本新聞社に入社 45年 日本新聞社を辞し、松下伝吉の雑誌「…

レイキ・ハンドで(ウソ)『臼井霊気療法及公開伝授説明書』を発見

山本善行氏が善行堂を開店して古本行脚を引退(?)する前は、その掘り出し物を見つける神業をゴッド・ハンドと呼ばれていたものである。これに対して、同じ『sumus』同人で僧籍を有する扉野良人氏はブッダ・ハンドと言われたりしていた。では、善行氏に代わっ…

松竹を追われた病弱な美人女優及川道子

戦前の女優及川道子については、「忘れられた美人女優及川道子と堺利彦夫妻」などで言及したところである。『新派名優喜多村緑郎日記』第3巻(八木書店、平成23年3月)にも晩年の及川が出てきたので紹介しておこう。 (昭和十一年) 十月二十九日 晴曇雨 (頭注欄…

西式強健術で健康維持に努めた獄中の蔵原惟人

蔵原惟人『藝術書簡』(青木文庫、昭和27年9月)は「瑞香書房」の値札が付いているので、西部古書会館で買ったのだろう。蔵原の署名入り。読んで見たら、獄中の蔵原が西式強健術をやっていた。昭和7年7月21日付け蔵原惟郭宛書簡によると、 昨日身体検査の時目…

戦時下における諸岡存の評判

諸岡存が古在由重の「戦中日記」*1に出てきた。 (昭和十九年) 七月二十二日(土) (略) 午後から諸岡存氏(医学博士)が茶についての話をしにきた。あまり品のない老人だ。 この頃、古在は四王天延孝の大日本回教協会に勤めていたので、諸岡はそこに来たのだろう…

森茉莉の帰還

山田珠樹と妻茉莉の帰国については、「山田珠樹・森茉莉夫妻の帰国」で茉莉の年譜にある大正12年8月ではなく同年7月だろうと推測したところである。これは『小金井良精日記 大正篇』(クレス出版、平成27年12月)でも確認できた。 (大正十二年) 七月二十六日 …

寸葉会で『温知図書館図書目録』(温知図書館)を

250円で見つけた図書目録。と言っても冊子ではなく、縦23cm、横61cmの一枚物。温知図書館は名古屋市東区蒲焼町四丁目の東洋倶楽部内に所在。発行年の記載はないが、「温知図書館新刊図書紹介(大正四年七月)」として36冊挙げているので、同年中の発行か。新刊…