神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

芸艸堂が発行した謎の西洋芸術叢書

寿岳文章が『美』23巻3号(芸艸堂、昭和4年9月)に「ブレイクの画論」を書き、それが西洋芸術叢書として刊行されたらしいことは、「壽岳文章と芸艸堂 - 神保町系オタオタ日記」で紹介した。百万遍知恩寺の秋の古本まつりで『美』のその号を拾った。玉城文庫の1冊20…

朗報!『昭和前期蒐書家リスト 趣味人・在野研究者・学者4500人』が金沢文圃閣へ注文可に

今日の京都新聞にはビックリ。1面に松本清張が「火の路」(原題「火の回路」)執筆に際して、手紙で教えを請うた京都の古代史家藪田嘉一郎に関する記事。連載開始直後の清張の手紙には、「『藪田ゼミナール』に入っているような気持がします」とあるらしい。詳細は、…

小林法雲(小林法運?)の気合術を「軍艦金剛航海記」でステルマする芥川龍之介

栗田英彦・塚田穂高・吉永進一編『近現代日本の民間精神療法 不可視なエネルギーの諸相』(国書刊行会)は、柄谷行人氏の書評も朝日新聞に出たし、好評のようだ。今回は、同書の「民間精神療法主要人物および著作ガイド」関係の話。一時期は数万人いたと言われる…

西荻モンガ堂でかわじ・もとたか企画「個人名のついた研究会会誌の世界」展

岡崎武志さんに「だまされて」古本病にかかってから古書店を開業するまでの経緯が『週刊朝日』で紹介された西荻モンガ堂。そこで12月2日(月)から22日(日)まで(水曜休、12時~20時)「個人名のついた研究会会誌の世界」展が始まる。かわじ・もとたかさんの企画で、…

清野謙次教授による窃盗事件の報に接した浜田耕作京都帝大総長の心情

森さんのコメントで思い出したが、最近刊行された『羽田亨日記』(京都大学大学文書館、平成31年3月)に医学部教授清野謙次がしでかした経典等の窃盗事件に関する記述がある。本件については、「『長與又郎日記』(小高健編)から - 神保町系オタオタ日記」で東…

「蒐める人」を4500人も蒐めちゃった『昭和前期蒐書家リスト 趣味人・在野研究者・学者4500人』が凄すぎる件

自称「人間グーグル」のわしが、戦前の趣味人、コレクター、奇人などを調べる時にまずお世話になるのが、反町茂雄『一古書肆の思い出』全5巻(平凡社ライブラリー)である。ただし、人名索引があって便利ではあるが、各巻ごとの索引の上、著名なコレクターしか出…

では小林昌樹「戦時期ガラパゴス化の果てに見えた日本図書館界の課題」に補足してみようーーもう一つあった皇道図書館ーー

金沢文圃閣から『戦時下日本主義の図書館ーー『日本図書館学』・皇道図書館』が刊行された。本書は、京都帝国大学附属図書館で同僚だった三田全信と小川寿一が創刊した『日本図書館学』『池坊華道文庫報』と並木軍平が創立した皇道図書館の目録を復刻したも…

数寄者高橋義雄の日記『萬象録』を使って稲岡勝『明治出版史上の金港堂』に補足

文久元年生まれで、慶應義塾卒業後時事新報を経て、三井銀行で活躍し、茶の湯を趣味とした高橋義雄(箒庵)という財界人・文化人がいた。その日記が『萬象録』(思文閣出版)として刊行されている。この日記は、政治家・実業家・趣味人・宗教家が多く出てくるが…

たまには失敗だす!光風館書店の上原才一郎から牧野武夫宛暑中見舞い

だいぶ前にシルヴァン書房から千葉県北条町の牧野武夫宛の暑中見舞いの葉書を400円で買った。昭和7年7月30日付け消印で、差出人は光風館書店の上原才一郎である。この牧野は、中央公論社の社員を経て牧野書店を興す牧野だろうと思って購入。しかし、『出版文…

奇人記者小川定明が日露戦争を報じた明治38年の『大阪新報』を発見

三密堂書店の100円均一台から掘り出したトンデモない本の幾つかは、 「明治期の京都における染織図案史の修正を迫る『京都図案会誌』を発見 - 神保町系オタオタ日記」 「最初期の仏教唱歌集、西村義嶺編『仏教唱歌』(井上教山、明治23年9月) - 神保町系オタオタ…

古書鎌田から芝川ビルの意匠設計をした本間乙彦の饅頭本『忍び草』

天神さんの古本まつりに古書鎌田やモズブックスが目録参加のみで出店しなくなったのは、非常に残念である。さて、一昨年に同まつりで古書鎌田が全品300円、500円、800円のどれかというセールをやってくれた件については、「京都時代の金尾文淵堂と製本所真英…

昭和13年渡仏する宮本三郎画伯を見送る三角寛

三角寛のサンカ小説と挿絵を描いた宮本三郎については、「ようやく解けた謎の宮本三郎『サンカ画集』 - 神保町系オタオタ日記」で紹介したところである。私は世田谷にある宮本三郎記念美術館は何回か行ったことがあるが、「宮本三郎と三角寛のサンカ小説展」のよ…

『真山青果とは何者か?』(星槎グループ)を読んでみた。

星槎グループ監修、飯倉洋一・日置貴之・真山蘭里編『真山青果とは何者か?』(星槎グループ、令和元年7月)を読んでみた。青果の旧蔵書・資料・原稿用紙類を星槎グループが所蔵していることが判明し、それらを利用した展覧会及びシンポジウムが平成28年に開催…

詩誌『骨』同人大浦幸男先生の父大浦八郎

百万遍知恩寺秋の古本まつりの初日、座って何やら雑誌を読んでいる某先生。声をかけると、「これ読んでると色々載っていて楽しい」と。『會報』、三高(第三高等学校)同窓会の会誌である。神戸古書倶楽部で小松左京の講演か何かが載った号を買った覚えがある。…

煩悶する明治の青年達が読んだ桑原俊郎『精神霊動 第一編 催眠術』

明治大学中央図書館ギャラリーで「城市郎文庫展ーー出版検閲とその処分」が11月17日(日)まで開催中である。発禁処分を受けた偽書、藤村操著・岩本無縫編『煩悶記』(也奈義書房、明治40年6月)が展示されているらしい。明治36年5月に自殺した藤村操の影響を受け…