神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

2010-12-01から1ヶ月間の記事一覧

神保町の茶房きゃんどると十返千鶴子

『かんだ』201号(かんだ会、平成22年12月)に「二〇〇号記念リバイバルエッセイ2」として、十返千鶴子「古本とコーヒー」*1が再録されていた。「きゃんどる」が出てくる。 (前略)銀座のコロンバンやトリコロールより、神田のきゃんどるやら、らんぶるな…

黒岩比佐子さんと巽孝之氏

黒岩比佐子さんは、『図書』2009年7月号の「村井弦斎とマーク・トウェイン」で、 世界的に著名なある作家が、日露戦争当時に『花子』を読んでいたのである。 その貴重な情報を知らせてくださったのは、慶應義塾大学教授の巽孝之氏だった。 と書いている。世…

『新はがき用文』の著者宇保野昆陽=野入佐次郎の根拠

黒岩比佐子『古書の森 逍遙』(工作舎)の書籍コード027は、宇保野昆陽『新はがき用文』(田村照春堂、明治34年10月初版)。 著者は宇保野昆陽とあり、もちろん聞いたことがない名前である。国会図書館で検索してみると、この筆名ではこの本一冊だけ、別名の…

黒岩比佐子さんと杏さん

杏さんがWebちくまに書いた「出会えなかった出会い」(http://www.chikumashobo.co.jp/new_chikuma/anne/18_1.html)が評判だ。「Atsuko」さんは読んで涙したそうだが、私はもはや涙が枯れ果てたのか、泣くことはなかった。杏さんは、 作家の黒岩比佐子さ…

黒岩比佐子さんと梯久美子さん

黒岩比佐子さんは、8月8日の『読売新聞』朝刊の「読書委員が選ぶ「夏休みの一冊」」で「私のイチオシ文庫」として、梯久美子『散るぞ悲しき』(新潮文庫)をあげていた。「改めて著者のきめ細かい取材と文章の冴えに目をみはった」という。また、『現代プレ…

読売新聞読書委員としての黒岩比佐子さん

今日の読売新聞は、「読書委員が選ぶ「2010年の3冊」」。生きておられれば、黒岩比佐子さんの読書委員としての最後の仕事になるはずだった。昨年、黒岩さんが読書委員になったのを発見したときの驚きを思い出す。同年1月11日に話題にすると、早速黒岩さんか…

集英社創業85周年記念企画・コレクション戦争×文学

集英社が『昭和戦争文学全集』を刊行してから約半世紀。創業85周年記念企画として、コレクション戦争×文学*1を刊行するという。全20巻+別巻1で来年6月上旬スタート。編集委員は、浅田次郎、奥泉光、川村湊、高橋敏夫、成田龍一、編集協力は北上次郎。…

川端康成と板垣鷹穂

安松みゆき「板垣鷹穂の日記」五十殿利治編『板垣鷹穂 クラシックとモダン』森話社、2010年11月を読む。昭和12年5月〜41年3月の板垣の日記が存在するという。この日記によると、12年8月19日の条に次の記述があるなど、板垣と川端康成は互いに自宅を行き来す…

昔「三銭均一食道楽おとわ亭」、今「キッチンジロー」

黒岩比佐子さんの「神保町にあった『食道楽』ゆかりの洋食屋−おとわ亭」『神田神保町古書街2009』(毎日新聞社、2008年12月)によると、 2006年秋、おとわ亭のことをすっかり忘れていた私は、何気なく、すずらん通りから三省堂書店と反対側の路地に入った。…

第一回「いける本大賞」の候補作に黒岩比佐子『パンとペン』

『いける本・いけない本』第13号(2010年12月)を読む。うるさ方の本好きのメンバーが選んだ「いける本」として、佐藤美奈子さん(フリー編集者)は黒岩比佐子『パンとペン』(講談社)を、永滝稔氏(有志舎)は関口良雄『昔日の客』(夏葉社)を、糸日谷智…

横田順彌『近代日本奇想小説史 明治篇』資料展が東京古書会館で

ピラールプレスの「ホームページ」を見てたら、横田順彌『近代日本奇想小説史 明治篇』刊行記念のトークイベント「横田順彌と奇想小説の世界」(長山靖生氏×北原尚彦氏)がある1月22日とその前日の21日に、東京古書会館で資料展もあるらしい。黒岩さんも、生…

講談社『雄弁』の記者・若林不比等

なぜか今頃、川上初枝=若林初枝=内山若枝=日高みほとその夫若林不比等に関するエントリーのコメント欄がにぎやか(2009年10月1日参照)。最後に話題にしたのは、今年4月7日だと思うが、その後幾つかの発見があったので報告。明治大学の卒業者名簿によると…

神保町の茶房きゃんどる

苅部直「変わらない風景」*1は、神保町の古書店街のはずれにあった珈琲屋「きゃんどる」について、次のように書いている。 この店に通うようになってからしばらくして、この店が、戦後文学の出発を支えた『近代文学』の同人たちや、石川淳などの作家が集った…

黒岩比佐子『パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い』(講談社)への補足記事一覧(該当ページ順)

黒岩比佐子さんの『パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い』(講談社)の五刷が決定したという(「古書の森日記」による)。その記念に同書に関連する記事を該当ページ順にまとめてみました。各ページの末尾の月日をクリックすると記事が読めます…

黒岩比佐子さんが追いかけようとしていた奇術研究家阿部徳蔵

『出版ニュース』2007年1月上・中旬合併号の「今年の執筆予定」に黒岩比佐子さんが書いた執筆予定の中に結局執筆されなかったと思われるものがある。 (4)奇術研究家の阿部徳蔵という興味深い人物のことを知り、調査中。近代の「奇術と霊術」に新しい切り口が…

横田順彌『近代日本奇想小説史』(ピラールプレス)刊行記念トークイベントと追悼・黒岩比佐子さんDVD上映会

東京堂書店で、ヨコジュンさんの『近代日本奇想小説史』(ピラールプレス、2011年1月)の刊行記念トークイベントがある。ヨコジュンさん本人は出られないようだが、楽しみ。←ヨコジュンさん本人も出席との追加情報あり。 『近代日本奇想小説史』(ピラールプレ…

黒岩比佐子『古書の森 逍遙』(工作舎)への補足記事一覧(書籍コード順)

黒岩比佐子『古書の森 逍遙』(工作舎)について書いた記事を書籍コード順に並べてみました。各コード末尾の括弧内の月日をクリックすると記事が見られます。 022 佐瀬得三『続々当世活人画』(春陽堂、明治33年4月)(6月28日、8月6日) 030 稲岡奴之助『獅…

黒岩比佐子さんとNHK「五木寛之 21世紀・仏教への旅」

黒岩さんが、2006年8月ブータンへ出張していたことはブログ「古書の森」に書かれている。これは、五木寛之『21世紀仏教への旅』シリーズ(講談社)やNHKの「五木寛之 21世紀・仏教への旅」プロジェクトの関係者としての参加であった。五木寛之『21世紀…

南陀楼綾繁書誌

んなもの作れるのは、誰ぞこと書物蔵氏と森洋介氏ぐらいかすら。当分亡くなる心配はない(?)が、本人が生きている間に作り始めた方がいいかもしれない。エロ雑誌、ミニコミ誌、フリペとかどうやって調べるのだらう。

2010年古本界隈10大ニュース(順不同)

・黒岩比佐子さんが亡くなられた ・猫猫先生が京都府南警察署の事情聴取を受ける*1 ・林哲夫氏の『ちくま』表紙絵担当終了 ・書物蔵氏が『文献継承』(金沢文圃閣)で「あったかも知れない大東亜図書館学」の連載開始*2 ・『彷書月刊』が300号で、『spin』が…

黒岩比佐子さんを支えた編集者たち

無名時代の黒岩比佐子さんを支えた編集者の名前こそ記憶されるべきだという気がするので、著作等のあとがき*1で謝辞を述べられているすべての編集者を記録しておこう。 ・『音のない記憶』(文藝春秋、1999年10月・角川ソフィア文庫、2009年5月) 文藝春秋:…

管野すがらの遺体を引き取った堺利彦ら

小谷野敦氏が、ブログで、 黒岩さんは、処刑されたあとの管野スガの遺体を、堺利彦がひきとったと、さらりと書いている。しかし、引き取ったのは荒畑寒村と安成貞雄で、このことは『寒村自伝』に詳しく書いてある。『寒村自伝』を見ていないはずはないし、堺…

平井金三に学んだのは英語か心霊学か

第一高等学校で英語を教えていた平井金三。教え子には、明治43年9月同校二部甲類に入学した森田浩一もいた。森田の日記が影印復刻されている*1。 明治44年2月27日 井川君が何か盛んに牛耳つているので聞けば同君は平井先生の所へ行つて催眠術にかゝつて来た…

岐阜新聞の連載「ぎふ快人伝」に飯野吉三郎

11月21日付岐阜新聞をたまたま見る機会があったのだが、「ぎふ快人伝」という連載があって、なんと「「大日本精神団」を組織、恵那市岩村町出身の宗教家 飯野吉三郎」の回だった。 恵那市内で飯野を研究する同市史料調査員の宮崎光雄さん(68)は「恵那市ど…

協調会職員としての藤澤親雄

法政大学大原社会問題研究所編、梅田俊英・高橋彦博・横関至著『協調会の研究』(柏書房、2004年2月)に、協調会の「主要職員人名録」が載っている。しかし、大正9年1月から4月まで副参事だった藤澤親雄*1の名がない。まあ、「主要職員」ではないとして省略…

久米正雄の噂をする谷崎潤一郎

宇野浩二の昭和28年11月18日付広津和郎宛書簡*1によると、 昨日(略)ちかくの『米村』に行つて、カンタンな食事をしたところ、新橋演舞場の文学祭の話が出て、その晩に来た火野君に一枚だけキツプをもらつたからといつて、夫婦に同伴をさそはれたので、第一…

横田順彌 『近代日本奇想小説史 明治篇』が来年1月ピラールプレスから刊行

「匿名」氏のコメント(10月20日参照)で教えていただいたのだが、ヨコジュンさんが『SFマガジン』で連載し休載中の「近代日本奇想小説史 または、失われたナンジャモンジャをもとめて」が、来年1月ピラールプレスから刊行されるようだ→http://www.pilar-…

円本全集の広告合戦と久米正雄監督の映画

11月10日に言及した改造社と久米正雄による文学者の日常生活の映画撮影は、猫猫先生が意地悪して(?)教えてくれなかったが、円本全集の広告用だった。武野藤介『文士の側面裏面』*1の「死後」に、 が、かの円本の各社の広告戦の時は、敵も味方も、恰かも資…

平井金三の「日本語=アーリヤ語説」をたたえた吉田巌

安成貞雄が平井金三の「日本語=アーリヤ語説」を批判したことは、2007年9月1日に紹介したところである。この説は、批判ばかりされたわけではなく、吉田巌などには参考になったようだ。『吉田巌日記第五』に、 明治41年11月29日 先日来拝借して来たまま遂一…

黒岩比佐子さんと猫猫先生

黒岩比佐子さんと猫猫先生*1の共通点と言うと、サントリー学藝賞受賞者であることぐらいだろうか。互いに面識はなかったと思われるが、このブログで2度ばかり交錯したことがある。一度目は、昨年2月(2009年2月24日参照)。『婦人公論』3月7日号の「BOO…