神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

アジア復興レオナルド・ダ・ヴィンチ展を4回も観ていた戦時下の前衛画家吉井忠と民俗学

あれからもう2年も経つのか。2年前京都文化博物館の「さまよえる絵筆:東京・京都 戦時下の前衛画家たち」展を観ていたオタどんは、たまげた。前衛画家吉井忠に関する展示の中に、『アジア復興レオナルド・ダ・ヴィンチ展覧会解説』(日本世界文化復興会、昭和…

下田歌子校長追悼記念号の『姫小松』11号(順心高等女学校、昭和12年)

写真を挙げた『姫小松』11号(順心高等女学校、昭和12年6月)は、「下田先生追悼記念号」。「下田先生」は、下田歌子校長である。下田は、大正7年4月順心高等女学校の前身である順心女学校の校長に就任して以降その職にあったが、昭和11年10月8日に亡くなった。…

京都新聞の美術記者になっていた朝鮮創作版画会同人多田毅三ーーデジコレで辻千春『空白の美術史』(中日新聞社)へ補足ー

辻千春『空白の美術史:植民地下「朝鮮」で見る創作版画』(中日新聞社、令和2年2月)を借りてきた。借りてきたが、これは買っておいた方が良さそうである。目次を挙げておく。 「第一章 日本人美術家による京城における創作版画の展開」に多田毅三という新聞記…

京都学・歴彩館にない本ーー俚謡誌『絵日傘:俚謡正調』第2号(円窓会、昭和2年)ーー

『国立国会図書館月報』に「国会図書館にない本」という好企画があった。令和元年5月号の鈴木宏宗「戦前の全集月報附録類」などがその例だが、最近はやってくれないようだ。今回のタイトルは、それに倣って「京都学・歴彩館にない本」とした。 『絵日傘:俚…

フェルメール《青いターバンの少女》を表紙に載せた照雨荘旧蔵『傅記』昭和23年2月号

『傅記』2巻2号(菁柿堂、昭和23年2月)は、表紙にフェルメール《青いターバンの少女》(今は《真珠の耳飾りの少女》と呼ぶのかな)が載っていたので、購入したと思う。蔵書印が押されていて、「照雨荘」とある。 実は、この蔵書印は読めなかったが、平成28…

館界では名を残さなかったが、折口信夫学に名を残した拓殖大学図書館員牛島軍平

『青野季吉日記』(河出書房新社、昭和39年7月)昭和20年1月29日の条に、拓殖大学図書館員だった牛島軍平らしき人が出てくる。これは、「拓殖大学図書館員牛島軍平 - 神保町系オタオタ日記」で紹介したところである。牛島は、館界には足跡を残しておらず、『…

第3回歯に関する趣味の展覧会に結集した加賀紫水ら愛知県の趣味人ーー『よはひ草』第3輯(小林商店広告部、昭和4年)からーー

四天王寺春の古本まつりで、シルヴァン書房が30%オフをやってくれた台に『よはひ草』第3輯(小林商店広告部、昭和4年3月)があった。昭和3年4月10日から18日まで小林商店(ライオン歯磨本舗)が名古屋松坂屋で開催した「第3回歯に関する趣味の展覧会」の記録…

大正2年信仰物理学者日下部四郎太が創立した東北帝国大学理科大学の散歩会と田辺元ーー『自修会々報』創刊号からーー

先日東京古書会館の和洋会2日目では、1冊だけ購入。『自修会々報』創刊号(東北帝国大学理科大学自修会、大正4年4月*1)である。東北帝国大学理科大学の校友会自修会の会誌で、98頁。きたむら書店の出品で、1,000円だった。 古本市2日目の昼でも残っていたの…

『あのな』の肥田弥一郎「掬水庵日誌抄録」を駆使する塚田嘉信『日本映画史の研究』(現代書館)

股旅堂の古書目録27号に『あのな』第1~12号(楓文庫、大正13年)が出ていた。私は、掬水庵渓楓(肥田弥一郎*1)の個人誌である本誌昭和5年3月号を入手して、平成29年12月Twitterで言及したことがある。股旅堂の目録を見て、この雑誌に載った肥田の日記「掬…