神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

トンデモ

天才的頭脳の仲小路彰も騙された源義経=ジンギスカン説ーー天神さんの古本まつりで入手した『成吉思汗戦史』(戦争文化研究所)からーー

天神さんの古本まつりも本日で終了した。いつものことながら、特に100円均一台が素晴らしかった。今回は、駱駝屋から200円で買った仲小路彰『成吉思汗戦史』(戦争文化研究所発行・世界創造社発売、昭和14年3月)を紹介しよう。「世界興廃大戦史」シリーズの東洋…

土俗研究者にして日本学術探検協会理事長の三吉朋十もチャーチワードのムー大陸に騙された。そして、三島由紀夫も?ーー森谷裕美子「三吉朋十と土俗学」への補足ーー

平成8年6月『歴史を変えた偽書:大事件影響与えた裏文書たち』(ジャパン・ミックス)が刊行された。ここに掲載された藤野七穂「偽史と野望の陥没大陸“ムー大陸”の伝播と日本的受容」には戦前ムー大陸に言及した未知の文献が多く引用されていて、感心したもので…

九鬼隆治の皇道宣揚会による皇道図書館計画ーー並木軍平による皇道図書館の前史?ーー

並木軍平が群馬県に仮文庫を創立した皇道図書館については、その目録『皇道図書館蔵書目録第1輯』(皇道図書館創立事務所、昭和18年12月。以下「蔵書目録」という)が小林昌樹編・解題で金沢文圃閣から復刻されている。同図書館の名誉顧問は、日本大学皇道学院…

幼子を亡くし、心霊の世界へ向かう阿部次郎ーーオリバー・ロッジやメーテルリンクの心霊書を読む大正教養主義の阿部次郎ーー

一柳廣孝『〈こっくりさん〉と〈千里眼〉:日本近代と心霊学』(講談社、平成6年8月)は、身内の病、死などを通じて心霊学に関心を抱いた人物として、浅野和三郎、豊島与志雄、土井晩翠を挙げている。これに、大正8年11月15日長男で数え5歳の晃を結核性腹膜で…

東亜連盟期の石原莞爾と霊術家石川清浦ーークリントン・ゴダール「日蓮主義と日本主義との衝突」『近代の仏教思想と日本主義』(法藏館)を読んでーー

『近代の仏教思想と日本主義』(法藏館)中のクリントン・ゴダール「日蓮主義と日本主義との衝突ーー日中戦争期における東亜連盟運動ーー」を読んでみた。石原莞爾について、「石原という人物のネットワークと、その昭和初期における思想的研究はあまりなされてい…

上原清二の飛騨神代遺跡研究会と『中外日報』の真渓蒼空郎ーー尾崎翠・萩原朔太郎・山村暮鳥が載る『中外日報』ーー

武田崇元氏の八幡書店から刊行された上原清二『世界の神都 飛騨高山』(昭和60年10月)に『飛騨神代遺跡研究会提唱の辞』が覆刻されている。そこに第1回から第3回までの研究会の出席者名簿が載っている。第1回分だけ挙げておこう。 天津教の信奉者とされる人が…

日本最初のムー大陸紹介者三好武二と友松円諦の雑誌『真理』(全日本真理運動本部)

法藏館刊行の好著、大谷栄一・吉永進一・近藤俊太郎編『近代仏教スタディーズ:仏教からみたもうひとつの近代』(法藏館、平成28年4月)の坂本慎一「ラジオ説教の時代」に、友松円諦(1895-1973)が出てくる。これによると、昭和9年3月ラジオで新番組『聖典講義…

日猶同祖論の聖地、太秦広隆寺「いさら井」の戦前期絵葉書ーー家蔵の宗教絵葉書からーー

日猶同祖論とか秦氏ユダヤ人説を知ったのは、『地球ロマン』復刊1号(絃映社、昭和51年8月)だったか。全体の目次、資料目次と参考文献の一部を挙げておく。 この濃さ、レベルの高さ。参考文献に挙がっている本を古本屋で必至に探して、入手すると✓するのが楽…

昭和7年における友清歓真とチャーチワードのムー大陸の遭遇ーー古書からたちで買った『神界の経綸と天行居の出現』からーー

神道天行居の友清歓真がチャーチワードのムー大陸に言及していたことは、「日本における「ムー大陸」受容史 - 神保町系オタオタ日記」で紹介したところである。あらためて読むと、日本における最初のムー大陸紹介者とされる三好武二が「MU(ルビ:ミユウ),」と…

日本におけるムー大陸受容史ーー「日本オカルティズム史講座」第4回への補足ーー

「日本オカルティズム史講座」第4回の吉永進一「日本のピラミッドと超古代の夢:1930年代」を拝聴。戦前のトンデモない人物はたいてい知っていると自負していたが、未知の怪しい人達が大分出てきたので驚いた。それでも、最も驚いたのは三浦関造の上海での活動の…

大正生命主義と宮本百合子ーーあったかもしれないムー大陸と宮本百合子ーー

ヘッケル『宇宙の謎』(大正5年1月2日) スターバック『宗教心理学』(大正5年1月7日) メーテルリンク『死後は如何』(大正5年9月18日) デゼルチス『心霊学講話』(大正5年9月8日購入[同月金銭出納簿]) 加茂熊太郎『迷信と科学』(大正6年2月22日) 速水滉『現代の…

大場磐雄『楽石雑筆』に酒井勝軍と上原清二ーー1月23日第4回「オカルティズム史講座」開催ーー

1月23日午後1時からZoomで第4回「オカルティズム史講座」が開催されるようだ。 吉永進一「日本のピラミッドと超古代の夢:1930年代」 ヤニス・ガイタニディス「出版スピリチュアリティ:精神世界の出版社と翻訳者」 吉永さんの日本のピラミッド関係は、特に熱の入…

契丹古伝と竹内文献を繋ぐムー大陸幻想ーー「言説のキャッチボール」で拡大する偽史大系ーー

明日『ユリイカ』12月号の「特集偽書の世界」が出るようだ。私は一時期偽書、特に竹内文献等の超古代史物にハマっていたので、『歴史読本』の特集や原田実氏*1の著作は必ず買っていた。最近は、あまり関心もなくなり関係書もほとんど買わなくなってしまったが…

昭和初期に秋田県内で「発見」された巨石遺跡群ーー『秋田考古会々誌』(秋田考古会)からーー

「秋田県立秋田図書館横手分館旧蔵の『秋田考古会々誌』(秋田考古会)ーー柳田國男が顧問を務めた秋田考古会ーー - 神保町系オタオタ日記」で言及した『秋田考古会々誌』(秋田考古会)の2巻1号,昭和3年2月中の「余白録」に注目すべき記述があった。 (略) 田圃の中…

小谷部全一郎『日本及日本国民之起原』(昭和8年普及版)へ寄せられた読者の声ーー住谷天来、金子白夢、フレデリック・スタールーー

書物蔵氏が、Twitterで「明治、大正期の文芸書の後刷りの末尾には書評も掲載されていた」とつぶやいていた。それで、トンデモ本にも書評が載ってたなあと、普及版である小谷部全一郎『日本及日本国民之起原』(厚生閣、昭和8年1月)を取り出してきた。元版は、昭…

敗戦後に藤澤親雄『世紀の預言』を読む国学之徒の小原角男とは

藤澤親雄『世紀の預言』(偕成社、昭和17年3月初版・同年7月再販)は、社会人になってからどこかの均一台で見つけたと思う。いわゆるトンデモ本で、偽史とされる契丹古伝、竹内文献、上記、九鬼文献、ムー大陸説などを駆使している。竹内文献については、天津…

日本大学総長山岡萬之助が主宰した宗教雑誌『宇宙』(宇宙社)と大東信教協会

先日の人文研における古本バトルに引っ張り出されて、『宇宙』など3誌を紹介。『宇宙』についてはあまり調べずに臨んでしまったが、その後色々判明したので補足しておこう。『宇宙』8巻3号(宇宙社、昭和8年3月)を見つけたのは、今年の知恩寺の古本まつりに行…

満洲の唐木順三とスメラ学の前波仲尾

古田晁と臼井吉見とともに昭和15年筑摩書房を創業した唐木順三の評伝である澤村修治『唐木順三ーーあめつちとともにーー』が、昨年ミネルヴァ書房から刊行された。読んでみると、トンデモネタがあって驚き。唐木は、昭和5年5月三木清の斡旋で満洲教育専門学…

50年後の太平洋と1万2千年前のムー大陸を夢見た三好武二

昨年知恩寺の古本まつりで買った友松円諦主幹の『真理』1年5号(全日本真理運動本部、昭和10年5月)。全体的に折れ曲がっていて状態はよくなくて500円だが、三好武ニ「南方熊楠研究」が載っているので購入。三好武ニといっても、その名前にビビビと来るのは、…

戦前期朝鮮における生気療法家秋田春蔵

福田與『満点の星を仰ぎて』(福田図書室、昭和61年10月)に福田の長姉糸野の夫である秋田春蔵という人物が出てくる。朝鮮の京城で漁具製造販売の卸問屋を表看板でするほか、自動車の路線を購入して不便な奥地に車を走らせたり、禿げ山を購入して盛んに植樹な…

財団法人佐藤新興生活館生活図書館旧蔵の仏教社会学院編『新興類似宗教批判』

東京古書会館の何展で買ったか不明だが、水平書館の千円の値札が残っている。大東出版社から昭和11年2月発行。 目次は、 新興宗教批判 椎尾弁匡 邪教は何故繁盛するか 高島米峰 擬似宗教は人心を□毒す 加藤咄堂 謂る邪教の教学的批判 石津照璽 精神病学から…

岡田播陽の娘がはまった関東断食寮

岡田誠三『自分人間』(中央公論社、昭和52年1月)に岡田播陽の娘で、誠三の妹に当たる照子が昭和13年9月列車から転落死した話が出てくる。残された日記によると、 上京した照子はかねて予定していたように、東海道線国府津の町外れの海べりにある断食寮で数回…

国際政経学会常務理事増田正雄の敗戦前後

「戦時下のユダヤ研究会と丸山敏雄の日記」で紹介したユダヤ研究会と丸山の関係は、昭和19年から始まっている。『丸山敏雄全集』17巻(倫理研究所、昭和54年5月)に次のようにある。 (昭和十九年) 五月六日(土)猶太研究会 (略) 午後一時より読売五階講堂にて山…

下鴨納涼古本まつりでは藤井会編『藤井療法の真価と輝く寿像』を

今年の下鴨納涼古本まつりも終わってしまって、次の青空古本まつりは来月の天神さんと四天王寺である。さて、上記は竹岡書店の3冊500円のコーナーで発見。この1冊が欲しかったが、1冊売りはしないということで後2冊探すのに苦労した。最終日は10冊500円にな…

天神さんの古本まつりで拾った村雲龍三『革身術』

昨年天神さんの古本まつりの100円均一コーナーで拾った一冊。昔、井村宏次先生の霊術本や田中聡氏の健康法本を愛読していたので、今でも戦前の怪しそうな療術本を見かけるとつい買ってしまう。本書は、大阪市住吉区天王寺町の村雲革身術普及会から昭和2年11…

田多井四郎治のウエツブミ研究会と田中治郎左衛門

今日は某先生の書庫に唖然・騒然・愕然とした一日であった。 さて、『丸山敏雄全集』17巻(倫理研究所、昭和54年5月)にウエツブミ研究会が出てくる。 (昭和十七年) 五月二十三日(土)晴 (略) 一時に飯田橋から下りて、営林局会議室で、ウエツブミ研究会に出席…

戦時下のユダヤ研究会と丸山敏雄の日記

久しぶりに驚愕の日記を発見。『丸山敏雄全集』日記篇(社団法人倫理研究所)だが、この日記が凄い。増田正雄のユダヤ研究会、田多井四郎治のウエツブミ研究会、契丹古伝などがボンボン出てくる。未知のトンデモ本にも言及されていてたまげました。とりあえず…

宮田昌明『西田天香』(ミネルヴァ書房)に日ユ同祖論

山科にある一燈園の西田天香については、『天華香洞録』に村井弦斎のタラコン湯が出てくることを紹介したことがある*1。しかし、西田そのものについては、真っ当すぎて面白くなさそうだと思って、伝記を読んだりはしてこなかった。今回、ミネルヴァ日本評伝…

酒井勝軍の孫が小説の主人公になる時代

その昔、『地球ロマン』復刊全6号や『迷宮』全3号という雑誌で取り上げられた戦前のトンデモない人達も、今や小説や漫画の登場人物となり、身近な(?)存在となっている。 安彦良和『虹色のトロツキー』の安江仙弘、大塚英志氏の木島日記シリーズの藤沢親雄ら…

京都大学鞍馬山UFO研究会の女性会長

田口ランディ『マアジナル』(角川書店、平成23年5月)に京都大学鞍馬山UFO研究会の初代会長岡田淳子という女性が出てくる。年に一度の鞍馬の星祭りに山の頂上で部員らとピンク・レディーの「UFO」を踊ると、空飛ぶ円盤がやって来たという。京大で実在したの…