神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

良いツンドクと悪いツンドク

柳田泉もツンドク(積ん読)について書いていた。「ツンドクもまたよし」*1。最近出た『柳田泉の文学遺産第二巻』所収。
良いツンドクは

しかし私は、ツンドク先生、必ずしもわるいとは思わない。それでへいぜいから新聞の書評などに注意して、好い書物を買っておく。(略)そうした買いおきの書物を、こうした機会(読書週間のこと−引用者注)にとり出して、一冊、二冊と読み進んでいく。


悪いツンドクは、

困ったツンドク先生とは、読む気がなくて書物を買いあさり、ただ所有を誇って得意がっているというツンドク先生である。こうした先生は、よろしく書物に恥ずる心を起こすべきであろう。


もはや悪いツンドクなどという概念は消滅し、「持っているが、もちろん読んでいない」と豪語する人が多い今日この頃である。


(参考)「積ん読」については、南陀楼綾繁積ん読フレンズ『山からお宝』(けものみち計画、2008年12月)所収の岡島昭浩「「積ん読」の語誌」に詳しい。また、前掲書には、柳田の「村井弦斎『日の出島』について」が収録されていて、解題で川村伸秀氏は黒岩さんの弦斎本に言及している。なお、川村氏と黒岩さんは、以前会社の同僚であったという。

*1:初出は『新潟日報』昭和38年10月28日〜40年5月14日の間だが、特定できず。