神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

2007-06-01から1ヶ月間の記事一覧

名古屋の図書館司書美添紫気

大佛次郎の自伝*1を読んでいたら図書館ネタがあった。 ある時、西五軒町の通りを歩いたら格子戸をしめたしもた家で「少年図書館」と書いた小さい木札を出してあるのを偶然に認めた。美添さんと言うひとの家である。本好きになった私のことだから、無関心で居…

瀧川政次郎と谷崎潤一郎

さて瀧川政次郎だが、若い頃から谷崎潤一郎のファンだったようだ。 林達夫の大正12年8月1日付け谷川徹三宛書簡*1によると、 先日瀧川政次郎が来て、自分は専門上古事記を読んでゐるが、近藤栄一の小説は実に下らぬ、それにひきかへ潤一郎の歴史小説は、実に…

小谷野的シンクロニシティ

『R25』の「R25的ブックレビュー」で、 小谷野敦編『恋愛論アンソロジー』(中公文庫)が紹介されている。 ついでに言えば『L25』では「ネット恋愛」ネタが・・・ おっと、いけない、猫猫先生にとってはシンクロニシティなんてオカルトだったか。

村岡伊平治なるオジサンは本当に実在したか

先日の某紙に、どこかで見たことのあるオジサンの写真が載っていて、よくよく見ると村岡伊平治だった。講談社文庫版『村岡伊平治自伝』(以下『自伝』という。)裏表紙には、 明治時代の中頃、海外雄飛を夢みてシンガポールに渡り、女郎屋を開業。その後セレ…

三角寛以前のサンカ小説

沖浦和光『幻の漂泊民・サンカ』(文藝春秋、2001年11月)によると、 大正期には、柳田*1が手がけたような目ぼしいサンカ論は見当たらないが、当時の社会主義運動のリーダーであった堺利彦が、一九一六(大正五)年に『山窩の夢』と題する小論を発表している…

藤澤親雄に盗作疑惑

唐沢俊一、じゃなかった、藤澤親雄に盗作疑惑が発覚! 矢部貞治の日記*1によると、 昭和16年8月30日 一日静かに藤沢親雄を読む。読む前は例の如く神がゝり式の偏狭と独断であらうと考へてゐたが、読んで見ると割に温[ママ]健でいゝ本だ。併し現代政治思想の…

東京社の柳沼沢介と天羽英二

天羽英二の日記に柳沼沢介が出てくる。 昭和16年7月19日 朝 柳沼沢介(婦人画報)来訪 小生尊敬セル由述ベ 城戸元亮 太田耕造ト会見方勧ム。 7月28日 夜6時 柳沼沢介招待 下谷清梶 太田耕造 城戸前大阪毎日主幹等政治談 時局談 松岡評 近衛評等 18年7月1日 …

櫻井書店の組坂若松

昭和15年3月に設立された櫻井書店の編集部には秋元重男、広瀬得主、組坂若松、山本夏彦が勤めていた(櫻井毅『出版の意気地−櫻井均と櫻井書店の昭和』)。このうち山本夏彦については、山本伊吾『夏彦の影法師』(新潮社、2003年9月)によれば、社員としては…

武侠社の諸岡弘と吉村貞司

無名(?)の編集者シリーズは続く。 『三好十郎の手帳』(金沢文庫、昭和49年6月)によると、 1932.8*1−カッコ内は了 ○諸岡弘、「犯科」芝区南佐久間町2ノ18武侠社、9月10日前。11-12、3-5なら在社。* (略) ○「恐るべき夜盗□野金八」22枚、武侠社…

これこそ国策会社の最たる昭和通商株式会社

昭和通商というあやすぃ〜戦前の国策会社(政府が直接出資したわけではないが)については、佐野眞一の『阿片王』に次のように書かれている。 昭和十四(一九三九)年四月、当時、陸軍軍事課長だった岩畔豪雄の命令で、「昭和通商」という軍需国策会社がつく…

二人のアナキスト、荒川義英と中山忠直は出会ったか?

『橋浦時雄日記』第1巻(雁思社、1983年7月)に荒川義英が出てきた。 大正4年10月8日 やるせなさに、午后百瀬君*1を訪う。宮嶋[原注:資夫]、荒川[原注:義英]等の客があった。 10月22日 帰って、『早稲田文学』の荒川[原注:義英]君の「漂ふがまゝに」を読…

東方社顧問、天羽英二

『岩波茂雄への手紙』(岩波書店、2003年11月)を見ていたら、林達夫の昭和18年9月9日付け書簡に面白い記述がある。 かくて幸、岡正雄(民族研究所総務、岡書院の令弟)岩村忍(民族研究所員 新進東洋史家)茂森唯士、中島健蔵(帝大仏文講師)鈴木清(陸軍…

中山忠直と竹内文献

SF詩人にして、日ユ同祖論者だった中山啓(中山忠直)の周辺には、澤田健や小谷部全一郎、三村三郎など、竹内文献がらみの人がいることはわかっていた。 しかし、思っていたより早い時期から同文献に接触していたことが判明。 大内義郷『神代秘史資料集成解…

戦時下のトンデモ・ダ・ヴィンチ展

昨年の5月20日に紹介した戦時下のダ・ヴィンチ展。 高松宮は感想を記録してくれなかったが、天羽英二が日記に書いてくれていた。 昭和17年7月11日 午後2時乃至4時 和子ト共ニ上野産業館「レオナルドダヴインチ」展覧会 日本世界復興会 情報局 陸海軍主…

長尾真治ではなく尾島真治だった

5月12日に言及した日ユ論同祖論の関係者、「長尾真治」は正しくは、「尾島真治」という人であった。 三村三郎の『ユダヤ問題と裏返して見た日本歴史』によると、中山忠直が『シオン通信』*1第4号に「毒殺を計られたコト」を書き、明治41年の『福音新報…

同志社大学図書館のラーニング・コモンズ

『ミネルヴァ通信』6月号の井上真琴「これからの図書館を探して」第2回は、「学習と知の創造空間−ラーニング・コモンズ(前)」。 今、同志社大学図書館は、「ラーニング・コモンズ」設置の議論で沸いているらしい。「ラーニング・コモンズ」とは、「学習…

谷崎潤一郎責任編輯の雑誌

會津八一の昭和21年9月25日付け結城信一宛書簡*1によると、 先日谷崎潤一郎君の責任編輯といふ某雑誌の創刊号に歌をもとめられしも歌なしとして称して謝絶を致し候。もしありても谷崎氏の文学に比して拙者断じて下位にあるものとも思はれざる故謝礼は谷崎氏…

吉祥寺さかえ書房と金子光晴

『おに吉』に載っている吉祥寺の「さかえ書房」の広告には、「金子光晴の書による看板が目印」と書かれている。 『金子光晴全集」第15巻(中央公論社、昭和52年1月)所収の「日録(2)」*1を見ていたら、「さかえ書房」が出てきた。 某月某日 午後から吉祥…

大本教の櫻井重雄と八雲邸の怪談の会

『會津八一全集』第11巻(中央公論社、昭和57年10月)によると、 昭和29年1月20日 もとの大本教の櫻井重雄来訪。もと早中につとめし人にて、早大にて高田保等と同期なりしよし。小泉八雲邸にて怪談の会を開きしこと、また俳句会を開きしことなど思出噺をなし…

中山忠直と谷崎潤一郎を結ぶ線

『定本佐藤春夫全集』第36巻(臨川書店、2001年6月)所収の昭和7年(推定)4月24日付け添田知道宛の「辻潤後援会」の案内状に発起人として、 佐藤春夫 谷崎潤一郎 北原白秋 武者小路実篤 新居格 宮島[ママ]資夫 室伏高信 宮川曼魚 西谷勢之介 井沢弘 田中貢…

今成覚禅と九鬼文献

4月3日に言及した今成覚禅は、三村三郎『ユダヤ問題と裏返して見た日本歴史』(日猶関係研究会、昭和28年8月)に出ていた。 先日も福井市孝顕寺(松平春嶽、慶民等の菩提寺)の今成覚禅和尚がきて、氏一流の「新神道論」を聞かして下さつたが、その時の話…

Wanted! 武田麟太郎

『朝日ジャーナル』1962年1月7日号の座談会(正宗白鳥・広津和郎・小林秀雄・高見順)「明治・大正・昭和三代の文学・人間・社会」を読む。 高見 ぼくらの学生時分、たとえば下宿なんかなんにも払わないでいて、友だちが来ると客膳を出してもらってね、借金…

大直会とはいったいどんな団体だったのだろうか。

マッドサイエンティストだったのではないかと私が疑っている諸岡存博士が、創設した「大直会」なる組織。 諸岡の公職追放該当事項は、「大直会主幹者皇国運動同盟理事」。 諸岡と共に創設に関わった白鳥敏夫(A級戦犯)のそれは、「戦犯大直会有力幹部興亜青…

禁メタボファシズム

腹回り85センチという基準では、大抵のおっさんは引っかかってしまうと思うのだが。メタボ、メタボとうるさい今日この頃。そのうち、見た目が不快とか、場所をとって邪魔とか言って、「メタボ乗車禁止車両」とか、「メタボ路上遊歩禁止区域」(笑)とかが…

谷崎潤一郎・坪内逍遥を騙る倉田啓明

細江光『谷崎潤一郎 深層のレトリック』によると、『東京日日新聞』(大正6年12月13日、同月17日)に、倉田啓明なる悪文士が、8月15日、坪内逍遥の紹介状を偽造して『黒潮』に「結搏葛城の神」を売りつけようとしたり、谷崎潤一郎の名も騙っていたことが記さ…

久しぶりの村井弦斎

長山靖生『奇想科学の冒険 近代日本を騒がせた夢想家たち』(平凡社新書)で、久しぶりに村井弦斎の名前を見た。当然ながら参考文献として、黒岩比佐子『『食道楽』の人 村井弦斎』が挙がっていた。

謎のスメラ教育研究会

『発禁年表』を見ていたら、スメラ教育研究会編『青年科学』(スメラ教育研究会、昭和15年11月16日発行)なる本が、同年11月20日に「蘭印問題並に支那事変処理に政府及び軍部の方策を攻撃 10、13頁削除)として発禁になっている。 このスメラ教育研究会は、…

諸岡存の『快食快眠快便』はトンデモ本に非ず

G.C.W.氏(6月7日分参照)によると、『快食快眠快便』(諸岡存著,実業之日本社,1939.5月初版)は、トンデモ本ではなかったようだ(参照:6月1日)。 追記:今日は、路面電車の日だったらしい。

毎日新聞記者としての中山忠直

馬場孤蝶の日記に中山啓、本名中山忠直の名前が出ているようだ。 紅野敏郎「『馬場孤蝶日記(新資料)の意義』(『文学』1982年1月号)によると、大正9年5月29日の条に 五月二十九日 土曜 晴 安藤来る。レエニンの論文の筆記を頼む。午後その続きを訳し、午…

何用あってフロイトを読む坪内逍遥

なぜかフロイトを読む坪内逍遥*1。 大正9年10月4日 Erotic Motive in Literature*2を読む 9年10月29日 Psycho Analysis 研究 9年11月19日 此頃中 折々Freud 及び其版のPsycho analysis 研究 *1:『未刊・坪内逍遥資料集』第2巻 *2:アルバート・モーデル(精神…