神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

これこそ国策会社の最たる昭和通商株式会社


昭和通商というあやすぃ〜戦前の国策会社(政府が直接出資したわけではないが)については、佐野眞一の『阿片王』に次のように書かれている。

昭和十四(一九三九)年四月、当時、陸軍軍事課長だった岩畔豪雄の命令で、「昭和通商」という軍需国策会社がつくられた。公的記録には一切出てこない謎の会社である。


この謎の会社の社員の名前を最近見かけた。
またまた、天羽英二の日記だが、

昭和18年3月13日 朝7時半 食前田中軍吉飛込ミ来ル、昭和通商西貢支店長、其後ノ経歴(1年余入獄 出征 中支 北満「ノモンハン」 昭和通商入社) 仏印事情 芳沢栗山更迭論 南内閣説等 少シ常規ヲ逸スル気味 小生仏印大使論ナド為ス 「皇兵」ヲ持参


田中の名前は、昭和通商の社員だった山本常雄による『阿片と大砲』では、ハノイ支店長として出てくる。
柴田善雅「陸軍軍命商社の活動−昭和通商株式会社覚書−」(『中国研究月報』2004年5月号)によれば、西貢(サイゴン)支店の設置が株主総会で可決されたのは、昭和18年12月20日とされる。しかし、実際には、それよりも前に支店としての活動が行われていたことが天羽の日記からうかがえる。


『戦時下日本文化団体事典』第3巻(底本:『日本文化団体年鑑 昭和十八年版)を見ていると、日本ビルマ協会の役員中に、理事として昭和通商株式会社専務堀三也の名前が見える。