河原町で行列のできる店というと、この間までは抹茶館で、いつ見ても100人以上並んでいたものだった。その後、6月にできた生タピオカの専門店モッチャムに人の波は移った。今はやや落ち着いて、並ぶ人の数も減っている。
ところで、テレビでも紹介されたという本ノ猪君(@honnoinosisi555)のツイートに、柳田國男もタピオカを食べていた(飲んでいた、ではない)というのがあった。出典は、柳田の『民間伝承論』(共立社、昭和9年8月)である。該当部分の写真をあげておく。
「(略)たとへば私の家の朝飯には、折としてタピオカを食ふことがある。それをたま/\来合せて心づいた学者が、日本人の食物は爪哇産の草の根の葛を煮た粥で、半透明のものだと報告したならばどうであらう。(略)」。『定本柳田國男集』別巻5の「総索引」に「タピオカ」は立項されていないが、この部分は重出立証法を説明した箇所で、その筋の人にはよく知られているらしい。
この本は、なぜか開催されなくなった弁天町オーク200の古本まつりで、100円均一台から購入。柳田の単行本が10冊以上出ていたと思う。特に貴重なものは出ていなかった。旧蔵者は「藤井」という人である。なぜわかるのかと言えば、「藤井氏蔵書」印が押されていたからだ。
写真をあげたが、答えを聞いても「藤」の字は「えーっ……」という人が多いだろう。わしも全然読めなくて、例によって蔵書印さん(@NIJL_collectors)に御教示いただいた。蔵書印さんが管理する国文研「NIJL 蔵書印データベース」中の「蔵書印DB検索画面」の「詳細検索」で、「蔵書印文」が「蔵書」、「印字文字数」が「5」、「印字行数」が「3」を検索すると、66件ヒットするが「山崎氏蔵書」などはあるものの、残念ながら「藤井氏蔵書」はなかった。皆さんも手持ちの古本で謎の蔵書印があったら、同データベースを使って解明したら面白いだろう。まさかと思うような旧蔵者の正体が判明するかもしれない。
さて、わしも柳田に負けじとタピオカ入りの抹茶ラテを買ってきて飲んだが、なんぢゃこれは……(´・_・`)
参考:「佐賀図書館長西村謙三の印が押された西周訳『性法説約』 - 神保町系オタオタ日記」