神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

大正14年三村竹清が目撃した柳田國男に同行する謎の西洋人の正体が判明

柳田國男全集』別巻1の年譜を読んで最も驚いたのは、次の記述。

(大正一四年)
一一月 このころの秋の一日、国際連盟で知り合いとなったオーストラリアから来日中のウィルソンが、工業が盛んな近郊の農村を見たいというので、為正を連れ八王子市内から百草丘陵を歩く。

出典は記載されていないが、柳田為正『父柳田國男を想う』(筑摩書房、平成8年4月)のようだ。このウィルソン、「柳田國男と謎の西洋人 - 神保町系オタオタ日記」で言及した三村竹清(本名清三郎)が國男と遭遇した時に同行していた謎の西洋人だろう。三村の日記大正14年11月23日の条を再掲すると、

八王子にて大義寺を尋ねて元横山町を曲れは かなたより洋服きたる二人連来る 見覚えありつるやうに思ふ近より見れは 柳田國男氏なり 不しきの処にてといへは この西洋人か田舎をみたしといふまゝに 丁度こゝまての汽車ありけるまゝに来りし也と云 わかれて大義寺へゆく

為正が出て来ないが、年月と八王子という場所が一致する。これで、謎の西洋人の正体が判明した。民俗学者の諸君、やはり三村の日記を読みましょう。
参考:「柳田読みの柳田知らずーー『柳田國男全集』第34巻中「旅の文反故」解題への補足ーー - 神保町系オタオタ日記