Z書店の均一台で100円。「学者知遇記」に柳田国男登場。
柳田国男先生とはある会合のとき、自動車に同乗して以来、ときどき訪れるようになった。この先生は、わたしの祖父、父とも交流があった人で、わたしで三代目である。気むづかしい老人だが、研究慾は青年のように若々しく闘志にみちている。このくらいの老人になると多少傍若無人にふるまっても、誰も文句をいわないから得である。先般、湘南の避寒先の宿に先生をたずねたときは、大そう歓迎されてうれしかった。日本の米の系統及びこれにまつわる日本民族の系統について貴重なはなしをながながと伺った。
中村の父は成蹊学園の創設者中村春二、祖父は国文学者中村秋香らしい。
実はこの本を買ったのは、目次に「千里眼」とあったからだが、そこには、
教育者であったわたしの亡父などは この千里眼に非常に興味を感じたらしく、
「邪念、雑念を取りはらって、精神を統一すれば、このようなことは可能であるにちがいない」
と、考えていたようである。夕食の食卓を囲んで、千里眼のふしぎなはなしを、小さな子供だったわたしたちによく話してくれたものである。