神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

天神さんの古本まつりで拾った村雲龍三『革身術』

昨年天神さんの古本まつりの100円均一コーナーで拾った一冊。昔、井村宏次先生の霊術本や田中聡氏の健康法本を愛読していたので、今でも戦前の怪しそうな療術本を見かけるとつい買ってしまう。本書は、大阪市住吉区天王寺町の村雲革身術普及会から昭和2年11月に発行、182頁。大阪時事新報主筆土屋大夢の「序にかへて」によると、土屋が「革身術」の命名者。革身術の渊源については、

聞けば遠き昔から氏の宗家には一種独特の按腹療法が伝へられてあつて、その療法を以て氏の一族は皆よく健康を維持してをられ、且つ広く他家の病弱者も救つてをられたさうである。氏はこの宗伝の療法を本として、医学にも出入し、十文字大元氏の自彊術、中井房五郎氏の揉療法等を研究の材料とし、遂に新しい村雲流の一派を創始されたと申すことである。

革身術には治療法(他力)と運動法(自力)の二方法があり、治療法は、「術者が、被術者の腹部、背部、上肢、下肢、頸部、頭部、胸部、腰部、肩部の各部に渉つて、独特の手技を施し、筋骨、関節を柔軟にし、骨骼を矯正し、血液及淋巴液の流通を促し、新陳代謝を盛んならしめ、内蔵の機能を旺盛にし、白血球を増加せしめて、病原を退散死滅せしむる」ものだという。療法自体は怪しくなさそうだ。もっとも、肺結核や子宮病などにも効果があるというから、その辺りは怪しくなってくる。
ところで、命名者の土屋大夢は本名元作で、ウィキペディアにも立項されている。前記「序にかへて」によると、30余年前米国で十文字と懇意になったとか、岡田虎二郎とも米国から帰り未だ静坐法を始めざる時に知り合ったとか、抵抗養生法の高野太吉は旧友とかあり、面白そうな人物である。60代半ばで亡くなっているのでそれほど長生きできなかったわけだが、革身術の創始者村雲は幾つまで生きたのであろうか。