藤澤親雄『世紀の預言』(偕成社、昭和17年3月初版・同年7月再販)は、社会人になってからどこかの均一台で見つけたと思う。いわゆるトンデモ本で、偽史とされる契丹古伝、竹内文献、上記、九鬼文献、ムー大陸説などを駆使している。竹内文献については、天津教事件の関係で名前を出すと発禁になるおそれがあったと思われ、「或る太古史の文献」などと具体名を伏せている。しかし、家蔵の本には「竹内文献」との書き込みがあった。
この旧蔵者は蔵書印から、小原角男という人とわかる。書き込みから昭和21年9月4日に入手又は読み始め、同月11日に読了している。「国学之徒」との書き込みもあった。
調べて見たが、小原という人物の経歴は不詳であった。敗戦後、猫も杓子も民主主義やマルクス主義を持てはやしていた時期に、藤澤親雄の本を読み、国学之徒と称する小原。その後、どのような人生を歩んだだろうか。