神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

柳田國男と谷崎潤一郎のファースト・コンタクト


柳田の告別式に真紅のバラを贈った谷崎(12月15日参照)。二人の最初の出会いはいつ、どのような形であったか?
吉井勇*1によれば、


その後谷崎君の記憶として私の頭に残つてゐるのは、明治四十二年の十一月に有楽座で催された自由劇場の帰りのことである。(略)大詰の幕が下りた後、この劇場の食堂で、柳田国男蒲原有明島崎藤村中沢臨川正宗白鳥等のイプセン会の人達とともに祝杯を上げてからも、谷崎君をはじめ、和辻哲郎後藤末雄木村荘八等第二次「新思潮」の連中に私も交じつて、市川左団次小山内薫の両氏を擁するやうな形で、銀座の方へ繰り出して行つた。

追記:『ミネルヴァ通信』(ミネルヴァ書房のPR誌)1月号の「本をめぐる声」にジュンク堂書店池袋本店副店長の田口久美子さんが、「ある日の池袋本店」を書いている。お客の質問への対応や盛岡店(昨年12月開店)、新潟店(本年3月開店)の開店準備への対応でテンヤワンヤの1日だったようだ。ジュンク堂の怪人さんが、死に体のようなので代わりに紹介。

*1:初出:「若き日の谷崎君」筑摩書房現代日本文学全集』月報18、昭和29年9月。『定本吉井勇全集』第8巻所収