神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

ロシア文学者片上伸の海外逃亡?(その2)

秋田雨雀日記』に片上伸関係の記事を見つけた(その1は12月25日参照)。


大正7年6月17日*1 夜、片上君の印象記を新聞社に寄贈。片上君はいわゆる天才の人ではなくて努力の人であるということ、あの人の悪い性癖が努力によってりっぱになっていっていることを書いてやった。


大正11年11月10日*2 うちへ帰ると森川という新聞記者がきていた。竹内仁君が橋本夫妻(旧知の人、雑司谷学院の人)を殺して、自殺したそうだ。(略)阿部次郎君の「人格主義を難ず」を読んで、頭のいいのに驚いた人だ。どこか病的なところのある人じゃないかしら。橋本夫妻には下落合でごちそうになったことがあった。
(驚きを感じた日。片上君の弟が殺人をして、自分も縊死した。)


昭和5年3月5日*3 午後五時半から大隈会館へいく。片上伸君の三周記念の会合があった。片上君の先輩、友人、生徒が二十人ほど集まった。片上君の子供が一高の文科にいる。谷崎君、吉江君のあいさつにつれて、中村、西村、前田、市村の諸君が話した。子供が少し早熟すぎるので不快な感じがした。片上君に性格が似ている。谷崎、加能、原田(実)の三人とおそくまで街を歩いた。

大正7年6月17日の条の片上の「悪い性癖」って、まさかあの性癖ではないよね・・・
新聞にそんなことは書かないだろうなあ。
昭和5年3月5日の片上の三回忌に関する記述中の「加能」(加能作次郎であろう)については、別に書く予定。

*1:秋田雨雀日記』第1巻

*2:秋田雨雀日記』第1巻

*3:秋田雨雀日記』第2巻