神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

芥川龍之介の死と谷崎潤一郎


昭和2年7月24日、芥川龍之介自殺。芥川の通夜・葬式における谷崎の目撃記録が残されている。


野上彌生子の日記*1には


昭和2年7月26日 お通夜で谷崎潤一郎が浴衣がけで床柱をしよひ、若造を相手に駄焔をあげてゐた。山猫といふのが彼の仇名さうなが、全く山猫らしいどうもうな点がある。アクッぽく、臭く、野獣らしい臭ひがしさうである。


また、秋田雨雀の日記*2には、


昭和2年7月27日 午後、谷中の斎場へ行く。会集数百名。泉鏡花里見紝菊池寛、南部修太郎、谷崎潤一郎君たちの顔をみた。菊池の弔詞をよみながら泣いたのは当然な感じをあたえた。外では、吉井勇北原白秋の諸君に逢った。


芥川の通夜で「浴衣がけで床柱をしよひ、若造を相手に駄焔をあげてゐた」谷崎というのは、どんなのだろう。


同月、『食道楽』の人、村井弦斎も亡くなっているが、著名人の日記で村井の死に言及したものにはまだ出会えていない。


追記:『論座』2月号には、岡崎武志氏による向井透史『早稲田古本屋街』の書評あり。ということで、だれぞは、BIGBOXへトチゲキか!?

*1:『野上彌生子全集』第Ⅱ期第2巻、岩波書店、1986年12月

*2:秋田雨雀日記』第2巻、未來社