神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

図書館

大正6年慶應義塾図書館の閲覧室で開かれた福澤先生十七年忌晩餐会

福澤諭吉は明治34年2月3日逝去。今なお慶應の塾生・塾員(卒業生)から福澤先生と呼ばれているようだ。「日本の古本屋メルマガ」で「『図書館絵葉書』を発見した人」として紹介された書物蔵氏も慶應文学部卒で塾員である。その書物蔵氏は、大学図書館で学生嘱託と…

大正4年における富士屋ホテル文庫の蔵書

名著永嶺重敏『の誕生 明治30年代の活字メディアと読書文化』(日本エディタースクール出版部)が刊行されて15年。そろそろ文庫化してほしいものである。出すならちくま学芸文庫か講談社学術文庫か。解説はドカーンと書物蔵氏を抜擢してほしいなあ(*_*) わしも…

澁川驍の詳細年譜・著作目録が索引付きで刊行されていた

図書館で山﨑柄根編著『昭和の作家澁川驍 年譜・著作目録』(研成社、令和元年8月)を発見。偶然にも同日書物蔵氏も書店で見つけたらしい。戦前は帝国大学新聞社や東京帝国大学図書館、戦後は国会図書館等に勤めた澁川。拙ブログでも話題にしたことがある人物…

堀内庸村と共に青年日本社(青年文化振興会)を創立した東白陵

三密堂書店の100円均一台で東白陵という木津高校の教師であった画家の伝記を見つけた。牧野芳子『鹿背山の画教仙人東白陵』(平成12年7月)である。知らない画家だし、木津高校とは縁もゆかりもないが、略年譜の昭和7年の条に「堀内庸村氏と青年文化振興会[マ…

京都帝国大学附属図書館の兵働竹酔

冨山房の『国民百科大辞典』14巻(昭和13年4月)の「寄稿家名鑑」には、数名の図書館学・書誌学関係者が見える。 庄司浅水 [製本・書籍] 田中敬 大阪商大図書館嘱託 [図書学] 長沢規矩也 法政大学講師 [書誌学(支那)] 弥吉光長 丸善株式会社 [図書館] 著…

佐賀図書館長西村謙三の印が押された西周訳『性法説約』

吉岡書店で見つけた西魯人(西周)訳『性法説約』については、「吉岡書店で西魯人訳『性法説約』を」で言及したところである。最初に本書を発見した金子一郎氏の本には「宮尾」印が押されていたらしいが、実は私のにも印が押されていた。 読めなかったのだが、twit…

書砦・梁山泊京都店の本で知った御所内の京都府立図書館の状況

今年の下鴨納涼古本まつりも今日で終わった。初日は某書店の均一台に一番乗りしたがカラブリであった。まあ、そういうこともある。さて、古本まつり3日目に行った帰りに寺町の書砦・梁山泊京都店をのぞいてきた。ここは図書館のように広く、ずらりと書棚が並…

もう一人の満鉄調査屋流転ーー『印度資源論』の真の訳者に迫る検印の謎ー

なんか知らんうちに小林昌樹編・解説『満鉄調査部から国会図書館へーー調査屋流転』(金沢文圃閣)なる本が出てた。戦前満鉄の調査マンで戦後国会図書館の調査及び立法考査局長や副館長を務めた枝吉勇の自伝『調査屋流転』と併せて国会図書館職員名簿などの復…

謎の極東簡易図書館ーー下田歌子編『和文教科書』に押された蔵書印ーー

初日に古本猛者らと廻ったみやこめっせの古本まつりも最終日ということで、また行ってきました。ヨドニカ文庫の戦前期教科書300円コーナーでしつこく猟書。2月の京都古書会館の古本まつりの時に見つけたが結局買わなかった「極東簡易図書館蔵書」印のある源歌…

天理図書館の金子和正旧蔵『小汀文庫珍本展観入札目録』

四天王寺春の大古本祭5日目。東京から古本猛者が押しかけてくるというので、100円均一コーナーで待機していると、追加されたらしい箱を発見。目録・図録などが入っていて、『小汀文庫稀書珍本展観入札目録』(東京古典会、昭和47年)が2冊あった。一方には書…

大正4年お札博士フレデリック・スタールが京都府立図書館で見た納札集

上の絵葉書の中央に写っている外人が誰かわかるだろうか。先日ナンダカアヤシゲな人に見せたら、ズバリと「お札博士スタール」と解答していた。スタール博士は来日中着物を着ていたことで知られるが、この写真では洋服のようだ。私も中央の人物がスタール博…

内田文庫主任彌吉光長と霊感透視家山本精一郎の『民俗の風景』(朝日書房)

一昨年文庫櫂で『民俗の風景』2巻1号(朝日書房、昭和10年1月。以下「本誌」という)なる雑誌を発見。表紙に霊感透視家山本精一郎主宰というアヤシゲな表記があるので購入。32頁。昭和9年8月創刊の『古典風俗』を改題したようだ。目次の一部をあげると、 山村に…

大阪CIE図書館のアメリカ人館長と対立して辞めた動物学者筒井嘉隆

これまた尚学堂で見つけた牛尾桃里画・筒井嘉隆文『ニッポンの鳥』(童画社、昭和17年11月)。表紙に破れがあって、1500円。3万部発行されているが、児童書なので残存数は意外に少ないか。国際児童文学館と三康図書館が所蔵。冒頭筒井は「お母様方に」で、 (略)…

今なお大月健が遊びに来る善行堂

ぱる出版の『日本アナキズム運動人名事典』(平成16年4月)の増補改訂版が出るようだ。この事典の「荒川畔村」「小倉清三郎」「坂本紅蓮洞」「添田亜蝉坊」「武林無想庵」「辻潤」「脇清吉」などを書いたのは大月健である。大月没後刊行された評論集『イメージとしての唯一者…

「小村侯記念図書館」印の押された森宣次郎『日支条約改訂問題の研究と批判』(大阪屋号書店)

蔵書印の面白さを知ったのは、岡村敬二『「満洲国」資料集積機関概観』(不二出版、平成16年6月)だったか。その後、「蔵書印/出版広告」さん(@NIJL_collectors)と知り合ったり、岡村先生の『戦前期外地活動図書館職員人名辞書』(武久出版、平成29年7月)に書物蔵…

明治34年1月京都府立図書館へ通う山本宣治

今年は山宣こと山本宣治の生誕130年・没後90年らしいので、宣治と京都府立図書館の関係についてアップしてみよう。 『山本宣治全集』6巻(汐文社、昭和54年10月)で大正3年7月17日付け竹久夢二宛山本宣治書簡へ次のような注がある。 (略)夢二と宣治との交際は…

大正6年1月京都府立図書館でラブレターを書く土田杏村

大阪市平野区の古書からたちがtwitter(@kosyokaratachi)で『土田杏村全集』から杏村の書庫・書斎を紹介していたので、便乗して杏村ネタを。杏村の没後刊行された『妻に與へた土田杏村の手紙』(第一書房、昭和16年12月)には、大正5年5月から6年11月までに杏村…

バルザック研究家水野亮を生んだ信濃図書館

どこで入手したか、創元社の月報『創元』1巻5号(昭和15年8月)が手元にある。『神保町が好きだ!2018』の例の「出版社・書店等PR誌一覧」(飯澤文夫)によれば、昭和15年1月創刊、昭和17年12月終刊。高橋輝次『ぼくの創元社覚え書』(亀鳴屋、平成25年10月)には青…

明治41年京都御苑内の京都府立図書館で法学を勉強する若者がいた

京都府立図書館は明治31年6月京都御苑内の博覧会協会東館を借り受け、開設された。その後、明治42年4月に現在地の岡崎に移転して開館したので、今年で岡崎開館110周年ということになる。そのため、2月24日(日)まで同図書館で記念展示「京都府立図書館 岡崎110…

東京美術学校の小場恒吉に依頼した日比谷図書館の蔵書印

『上野直昭日記ーー東京芸術大学百年史東京美術学校篇第3巻別巻ーー』(ぎょうせい、平成9年3月)に都立日比谷図書館(現・千代田区立日比谷図書文化館)の蔵書印が出てきた。 (昭和二十一年) 六月十八日 (略)日比谷図書館伊沢万治来る。蔵書印の件也。小場をさ…

第6代関西学院大学図書館長東晋太郎が空襲から守った蔵書群

下鴨納涼古本まつりで竹岡書店の3冊500円コーナーから東晋太郎『夕靄』(歌集夕靄刊行会、昭和36年1月)を購入。219頁、私家版、上原専禄宛署名入り。歌集や句集には興味がないが、序文や年譜等をざっと見て面白いことが書いてあれば、買うことにしている。今…

CIE図書館が生んだ芥川賞候補作家久坂葉子

嵐山のロンドンブックスでだいぶ前に買った『久坂葉子の手紙』(六興出版、昭和54年9月)を読んでると、CIE図書館が出てきた。昭和25年1月26日付け川崎澄子(久坂の本名)から友好安子宛の書簡で、 (略) 今、一人の女性をかいてます。 C、I、Eで、昨日、一…

福岡県立図書館の女性出納手にして俳人の竹下しづの女

最近刊行された柳与志夫・田村俊作編『公共図書館の冒険ーー未来につながるヒストリーーー』(みすず書房、平成30年4月)第5章は河合将彦氏の「図書館で働く人々ーーイメージ・現実・未来ーー」である。ここに出納手という図書館員の職種が出てくる。 「出納手…

昭和17年8月シンガポールで交錯したジャワ派遣の大木惇夫と日米交換船の鶴見和子・俊輔

書砦・梁山泊京都店で掘り出した(つもり)の『井上照丸追憶録』(井上照丸追憶記刊行会、昭和44年4月)。昭和43年4月に亡くなった元満鉄の調査マン井上の追悼本。わしは饅頭本が好きで、古本市などで面白いものを見つけると安ければ買ってしまう。ただ、饅頭本…

趣味人をつなぐ豊橋趣味会の舟橋水哉

大谷大学博物館では、しばしば大学に関係した仏教者の展覧会が開催される。昨年1月11日から2月10日まで開催された「仏教典籍の宝庫 三舟文庫舟橋水哉コレクション」では、三舟文庫の旧蔵者舟橋水哉(1874-1945)が登場。全然知らない人だったが、展示のパネル…

拝啓 壽岳文章様ーー菊地暁「拝啓 新村出様」を読んでーー

菊地暁先生が『国立歴史民俗博物館研究報告』165集(2011年3月)に発表した「拝啓 新村出様ーー柳田国男書簡からみる民俗学史断章ーー」。だいぶ前にいただきましたが、ありがとうございます。面白いので何度も読み返している。菊地論文を読んで幾つか気付いた…

古本屋だった川柳家麻生路郎

『麻生路郎読本』(川柳塔社、平成22年9月)を読む機会があった。川柳家として著名な人らしいが、知らなかった。年譜を見ると、古本屋葵書店を経営するなど面白い経歴だったので、一部を抜き書きしてみよう。 明治21年7月 広島県尾道市生。本名幸二郎 43年3月 …

俳人野田別天楼宛多田莎平の葉書を拾う

天神さんで拾った野田別天楼(武庫郡御影報徳商業学校)宛の多田莎平(尼崎市営住宅)の絵葉書。野田が学校の先生らしいことと名前が面白いので買ってみた。報徳商業学校は西宮にある報徳学園高等学校の前身。消印は年不明だが、8月25日。「郵便はかき」で仕切線…

帝国図書館の癪に障る下足番

「「図書館文学」傑作撰」と帯にある日比嘉高編『図書館情調』(皓星社、平成29年6月)に菊池寛の「出世」『新潮』32巻1号、大正9年1月が収録されている。上野の図書館(帝国図書館のこと)を久し振りに訪問し、そこにいた二人の下足番を回想する小説である。 二…

日本喫茶店史の重要史料『井泉水日記青春篇』(筑摩書房)

グーグルブックスで「帝国図書館 満員」を検索して見つけた『井泉水日記青春篇』上下巻(筑摩書房、平成15年11・12月)。まだ上巻しか読んでいないが、久しぶりにゾクゾクするような日記だった。次のような点が色々使えそうな日記である。 ・話には聞いていた…