神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

謎の極東簡易図書館ーー下田歌子編『和文教科書』に押された蔵書印ーー

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初日に古本猛者らと廻ったみやこめっせの古本まつりも最終日ということで、また行ってきました。ヨドニカ文庫の戦前期教科書300円コーナーでしつこく猟書。2月の京都古書会館の古本まつりの時に見つけたが結局買わなかった「極東簡易図書館蔵書」印のある源歌子編『和文教科書』2之巻がまだあった。せっかくなので拾っておく。
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「大野一朗氏寄贈」とあるラベルや「有野図書館印」もある。発行年の記載はないが、ネットで読める久保貴子「下田歌子の『和文教科書』考ーー「六之巻 更科日記」を中心にーー」によれば、源歌子は下田歌子で2之巻は明治19年4月発行、21年11月再版である。また、日本図書館協会から復刻版が出た『全国図書館に関する調査』(文部省普通学務局、大正11年10月)の「一覧表」(大正10年3月31日現在)によると極東簡易図書館は見当たらないが、兵庫県私立図書館に有野図書館があり、明治40年9月設立である。これらのことから推測すると、極東簡易図書館→大野一朗→有野図書館という来歴だろうか。大野は極東簡易図書館の関係者だったかもしれない。それにしても、極東簡易図書館がどこにあって、どういう図書館だったのかまったく謎である。