神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

2009-04-01から1ヶ月間の記事一覧

女の子を古本屋に連れ込んだ井上章一青年

初デートには失敗は付き物。しかし、京大に入ったばかりの井上章一青年のやらかした失敗はとんでもなく大きかった。「古書哀話」『京古本や往来』78号(1997年10月15日)によると、中学高校と男子校だったため、同年齢の女性と30秒以上会話をしたことがなか…

日記から見たスペイン風邪

90年前に発生したスペイン風邪(正確にはスパニッシュ・インフルエンザ)に言及した日記がないかと思っていたが、既に速水融『日本を襲ったスペイン・インフルエンザ』(藤原書店、2006年2月)でやられていた。同書では、原敬日記、秋田雨雀日記、善治日誌…

家で閉じこもろう。

何年も前からジュンク堂書店池袋本店の男性トイレには、「個室を長時間使用する人がいて困っています」というような注意書きが表示されていて、「困ったおっさんがいるもんだなあ」と思っていた。ところが、田口久美子『書店繁盛記』(ポプラ社、2006年9月)…

トンデモ本の殿堂狩野文京堂

林哲夫画伯の「daily-sumus」に出てた京都の狩野文京堂。初めて行った時、今で言うところのトンデモ本の山で驚いたものである。左側の入口から入った所の棚に、神代文字や反ユダヤ主義、日ユ同祖論などの本がてんこ盛りだった。酒井勝軍や包荒子*1らの本、『…

三角寛と人世坐

名古屋の上前津〜鶴舞間の古本屋は多すぎて、個別の情景は思い出せない。そんな中でも、上前津の海星堂書店で何年も売れ残っていた『日本探偵作家クラブ会報』の合本が印象的であった。さて、同誌の167号(昭和36年9月1日)の土田喜三(世文社社長)「『三角…

兎屋誠の偽閉店セール

『広告批評』へのオマージュとして。 赤川学『セクシュアリティの歴史社会学』は、猫猫先生がほめるくらいだから、多分名著である。名著の名著たるゆえんだろうか、註にまで極めて役に立つ情報が盛り込まれている。同書によると、兎屋誠が執筆した本として、…

岸田劉生と横山重

岸田劉生の没後八十周年ということで、美術雑誌では劉生やら麗子像の特集が組まれている。ところで、劉生の日記*1に横山という人が出てくる。 大正9年1月4日 横山といふ、鵠沼の四軒別荘にゐる文をやる人、宇野清之助[ママ]といふこの頃認められ出した文をや…

柳田國男と浅野和三郎

新聞の訃報欄で見落としたが、猫猫先生によると小林一郎先生が亡くなったらしい。さて、『田山花袋宛柳田国男書簡集』に明治42年12月5日付け柳田の花袋宛書簡が収録されている。この中に「浅野君よりビケラスを返してくれと申来候に付 何とぞ直接に御返送給…

巨大古本倉庫島田古書センター

なんか、「古本屋ツアー・イン・ジャパン」の懐旧編みたいになってきたが、某県の古書店の補足。この島田古書センターが、現存すれば、「書物蔵」さんや「はほへほ」氏に、Fブックスとセットでお勧めできたのだが。平屋だが、『全国古本屋地図』によると、…

里見とんの恩地孝四郎装幀本

便利な本があった。かわじもとたか『装丁家で探す本 古書目録にみた装丁家たち』(杉並けやき出版、2007年6月)によると、里見とんの本で恩地孝四郎により装幀がされたのは、『白酔亭満[ママ]記』感想小説集6 大正13年 新潮社 『里見弓享集』千部 昭和4年 春…

謎の樋口二葉(その2)

『学海日録』は索引があるので、もしやと思い、樋口二葉(新六)を探してみたら、出てきました。 明治22年12月26日 東西新聞の社員樋口新六来りて余に寄稿を請はれたり。去る日評劇の約ありしに、謝儀の事、約の如くならざりしかば暫く休みたり。もしその約…

Fブックスの2階

某県の古本屋といえば、Fブックス(正しくは、××××ブックス)は欠かせない。某氏の御用達でもあるらしい。そして、今や某女史にとって命の次に(?)大事なものとなったパッケージが発見されたのもここと思われる。某書にも載っているため、ミステリーファ…

引き続きオシノビ

オシノビじゃ。 「手塚治虫展」は今日から。「永井荷風展」は今日まで。 - 沼津で思い出した。市河彦太郎とか芹沢光治良の故郷でもある。黒岩さんの好きそうな、その名もずばり「明治史料館」なぞもある。駅前のデパート展(西武?)では、中村古峡の本とか…

お忍び

お忍び、お忍び。 - 安川書店は、店の最奥部の郷土資料が充実している。神保町系古書店というべきか。トンデモ系の本を見つけた覚えはないが、「某氏」は拾っているようだ。静岡駅から、戸田書店、江崎書店、谷島屋書店といった新刊書店*1をながし、安川書店…

三浦関造がアメリカで出会った神秘主義者たち

三浦関造はアメリカで反ユダヤ主義者ペリー以外にもトンデモない人に出会っていたようだ。 三浦の「世界が変つて来る話」『日本及日本人』昭和6年8月15日号は、三浦とおぼしきm君、n君(ロシア人らしい)、e君(米国人らしい)による鼎談の形式をとる一篇で…

秋庭俊彦とその友人たちの時代

青木正美『古本商売日記蒐集譚』によると、青木氏が所蔵する秋庭俊彦の日記に、 大正5年9月28日 K子の家から帰つて、F君の家にゆく。谷崎、広津、永代、光田[ママ]氏等来る。夜みんなでトランプをする。 とあるらしい。この頃、秋庭は相馬泰三と三浦半島の…

謎の樋口二葉

樋口二葉というふざけたような名前の作家がいた。ヨコジュンさんの「樋口一葉のSF童話」『古書ワンダーランド2』は、某古書店の目録に樋口一葉『理科新お伽』(晴光館書店、明治42年12月)を見付け、一葉のおとぎ話かと思い注文したら、二葉の誤植だった…

村井弦斎と『少女の友』

『少女の友』が100周年ということで、創刊号が復刻されたのかと思ってしまったが、そうではなかった(http://shojonotomo.jp/)。 馬静『実業之日本社の研究』によると、同誌の創刊号(明治41年2月11日発行)には、「閑院宮女王恭子殿下」「徳川公爵令嬢…

横浜開港記念館か横浜開港資料館か

黒岩さんが横浜に出現したから思い出したというわけでもないが、横浜に関する話題。吉村昭に『生麦事件』という作品があるが、この作品執筆のための取材に関して書かれた「郷土史家」*1という文章がある。 イギリスの新聞記者が横浜村に駐在していて、かれら…

芹沢光治良と小田秀人(その2)

勝呂奏『評伝芹沢光治良』によると、芹沢の『人間の運命』第二部第二巻「嵐のまえ」に小田秀人をモデルとする人物が出てくるという。 また、松木に絡めた天理教や知人で大本教の信者になった小川健人への言及も、作品の厚みを増す役割を果たしている。ここで…

読売新聞婦人記者平井満寿

読売新聞の婦人記者だった平井満寿、のちのマス・ケートの在社期間は、江刺昭子『女のくせに』所収の「女性記者名簿」によると、大正11年から昭和3年までである。また、菅野菊枝(のちの石島菊枝)のあと、婦人面を専門に担当。のち外国人と結婚して、「マス…

岸本葉子の古書展女一人旅

『かんだ』冬号(平成20年12月)の「神田つれづれ草(8)」で、岸本葉子さんが「古書ファンのお膝元、東京古書会館を覗く」を書いていた。武鑑の実物を見るのを第一目的、ふだん近寄り難い神田古書店の世界を覗くのを第二目的として、東京古書会館の古書展…

ムー大陸と横田順彌

奥泉光『神器―軍艦「橿原」殺人事件』には、天津教もどきの皇祖神霊教やムー大陸が出てくるらしい。ムー大陸については、ヨコジュンさんの「恐怖病」*1にも登場しているが、これが興味深い。明治39年12月23日に、村上濁浪が幸田露伴の家に赴くと、ミュー大陸…

今井兼次とお茶の水図書館

今井兼次という建築家がいる。早稲田大学図書館(現、 早稲田大学會津八一記念博物館)、早稲田大学坪内博士記念演劇博物館などの設計や、戦前からシュタイナー建築に注目していたことなどで知られている。この今井の昭和16年の絵日誌が公刊されている。 昭…

『来日西洋人名事典』

昨日のエラ・ケート(1865−1928)は『来日西洋人名事典』(日外アソシエーツ)にも出てくる人だった。ちなみに、グレン・ショーも載ってた。 - 今週の黒岩比佐子読売新聞読書委員の書評は中野三敏の『和本の海へ』でした。中野門下のくうざん先生もお喜びか…

シンクロした二つの論文

昨年3月、リシャール夫妻が登場する『秋田雨雀日記』を引用することによって、二つの論文がシンクロした。一つはもちろん、ハンドルネームをma-tangoという人の論文だが、もう一つは平井一弘「あるモダーン・ガールの昭和初期(3)−国際都市東京におけるケ…

岡田美知代と『実業之横浜』

『『実業之横浜』目次・索引 』(横浜開港資料館)で岡田美知代の作品を発見*1。 3巻2号(明治39年9月25日) 美知代「祝辞」 3巻3号(39年10月25日) 美知代「梅屋の二階」 3巻4号(39年11月25日) 美知代 同上 3巻6号(40年1月10日) 美知代「不孝児」 3巻7…

吉田山でエッチするバカ、しないバカ

節分大祭で有名な吉田神社が鎮座する吉田山。そんな神聖な場所で不埒な事をする輩がいたらしい。いや、今でもいるかもしれない。井上章一氏の『愛の空間』の「あとがき」によると、 名前はだすなと言われているので、あえて書かない。私と同じ京都大学をでた…