神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

三角寛と人世坐


名古屋の上前津鶴舞間の古本屋は多すぎて、個別の情景は思い出せない。そんな中でも、上前津の海星堂書店で何年も売れ残っていた『日本探偵作家クラブ会報』の合本が印象的であった。さて、同誌の167号(昭和36年9月1日)の土田喜三(世文社社長)「『三角寛さんのお仕事をめぐって』」によると、

去年の夏から山窩小説の三角寛さんとタイアツプして、かつて人世座[ママ]に起つた争議の経過を本にする仕事にかゝつていますが、この秋には上下二巻、各千枚位の原稿を出版する予定です。題は『春闘の騎士は全滅せり』−/略/仕事の都合で、三角さんがその間に挟んで『サンカ社会の研究』という、これも五百枚位の原稿を某大学から頼まれて書くことになり(非公開)、ことの序でに、それもお手伝いしているのですが、これにはまた驚きました。


この『春闘の騎士は全滅せり』は、結局世文社からは刊行されていない。上巻に相当すると思われるものが、三角寛サンカ選集第十五巻の『人世坐大騒動顛末記』として、近年刊行された。三角のこんな裏話の発見だが、これを面白がってくれるとすれば、『彷書月刊』の田村編集長くらいかしら。

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2ちゃんの諸君は本日の日経新聞を買いましょう。猫猫先生が、書評面の「あとがきのあと」に登場しているだす(『東大駒場学派物語』の紹介と顔写真付)。