『広告批評』へのオマージュとして。
赤川学『セクシュアリティの歴史社会学』は、猫猫先生がほめるくらいだから、多分名著である。名著の名著たるゆえんだろうか、註にまで極めて役に立つ情報が盛り込まれている。同書によると、兎屋誠が執筆した本として、『懐妊避妊自由自在法』(由己社、明治13年)が存在し、「兎屋(望月)誠については、『広告批評』一九九六年一二月号に「日本の広告をつくった五〇人」の一人として、紹介文がある」という。同誌を見てみると、
二重三重の価格、店頭でのバーゲン商法、内容のチンプさと製本のズサンさ。これらが重なって急速に売上げが落ちていく。追い詰められた望月は、苦しまぎれにとんだアイデアを思いつく。そして、これが結果的に、息絶えだえの兎屋にとどめを刺すことになってしまうのだ。
「廃業に付ての見切り売」。いまなら閉店セールで閉店しなくても、怒る人はいないが、このときは事情が違った。みんなを買いに走らせておいて、次の広告で「実はウソでした」なんてケロリと告白したものだから、総スカンを食うハメになった。
広告で生まれ、広告で死す。広告のすごさとこわさを一身に体現しつつ、兎屋は自然消滅した。
この記事には新聞の紙影も掲載されており、最初の廃業広告は『東京日日新聞』明治20年7月10日、「次の広告」は9月29日である。虚偽の閉店セールなんていうのは、現在でも怒る人はいるだろう。なお、兎屋はこの偽広告の後にすぐに廃業したわけではなく、明治24年、25年頃までその存在は確認できる。
(参考)昨年8月31日、11月17日、同月20日。先日、『広告批評』のバックナンバーフェアーをジュンク堂書店新宿店でやっていた。今は、池袋本店でやっている(?)。
オタどんが同誌を初めて買ったのは確か黒岩涙香特集号で、何かの参考文献として挙がっていたのをジュンク堂書店京都店で買ったのだと思う。
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オタどん ナンダロウさんのスクープ*1見ますた!「古本屋ツアー・イン・ジャパン」氏の正体が明らかにされたね。
書物蔵さん わすも見た、見た。せどり師のライバルかと思っていたら、違っていたので安心しただす(笑)。オタどんの予想は四十代の方だけ当たっていただすね。
オタどん 某出版社の人かすらと思ったけど違っていたね。それにしても本当に驚愕の正体だったね。次は、書物蔵さんの番かしら。
書物蔵さん わすは、ただのせどり師だす。明日はみちくさ市、あさっては四天王寺だす。