神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

2020-01-01から1ヶ月間の記事一覧

明治30年代後半の女学生におけるヴァイオリンブーム

木股先生のブログ「稲岡勝『明治出版史上の金港堂』: 表現急行2」に『THE RUSSO-JAPANESE WAR FULLY ILLUSTRATED』明治37年6月号に掲載されたヴァイオリンを弾く女学生の口絵(鏑木清方画)が紹介されていた。それでヴァイオリンを弾く女性の明治期の絵葉書を持…

柳田國男のあやすーぃ友人南聡行は、南才三だった。

『倉富勇三郎日記』大正10年4月に柳田國男の知人として、何やら怪しい南聡行なる事業家が登場すると「民俗学とは柳田國男そのものを研究する学問であるーー柳田と大和高取の南聡行とのあやすーぃ関係ーー - 神保町系オタオタ日記」で紹介した。一方、『柳田國…

高橋箒庵が見た閨秀画家野口小蘋と小蘋挿画『画法自在』(博文館)

日記の人名索引については、「おまいら、くだらないブログを書いてる暇があったら、索引をつくれ! - 神保町系オタオタ日記」で言及しことがある。谷沢永一クラスになると「人名索引より事項索引を」と言っていたが、わしクラスでは人名索引があればよい。ところ…

桜井小太郎が設計した日本最初期の鉄筋コンクリート造住宅としての和田維四郎邸

以前ジュンク堂の怪人さんが「大坪砂男の父、和田維四郎の邸宅の設計者はだれなんだろう? | ジュンク堂書店日記」で言及していた和田維四郎の住宅。「日本最初の本格的洋風個人住宅」だったらしいが、ググッたら設計者が判明。「材料からみた近代日本建築史 その…

『柳瀬正夢全集』4巻+別巻(三人社)が無事完結

京都の出版社三人社による『柳瀬正夢全集』の内容見本を三月書房から入手したのは、6年以上前の平成25年だった。内容見本を善行堂で見せると、これは是非うちでも取り扱いたい本だと言うので、差し上げた。その後、目の肥えた客が多い善行堂、既刊分をまとめ…

民俗学とは柳田國男そのものを研究する学問であるーー柳田と大和高取の南聡行とのあやすーぃ関係ーー

タイトルは冗談である。しかし、猫猫先生こと小谷野敦先生言うところの「民俗学者学」になると思うが、柳田國男の人生を調べると何かと面白い。精緻な『柳田国男伝』にも出てこないような人物、例えば増田正雄、織田善雄のような偽史運動家との関係については…

文学フリマ京都で『天狗倶楽部☆フォーエバー』を発見ーー大正8年高橋箒庵は彌次将軍吉岡信敬に出会ったかーー

みやこめっせの文学フリマ京都をのぞいてきた。いつも思うが、若い人が多いので、私みたいな爺さんが行くとやや場違いの感がある(´・_・`)冷やかしだけで買う積もりは無かったのだが、見本誌コーナーで、すとせかい『天狗倶楽部☆フォーエバー:明治奇人奇行…

高松宮宣仁親王が敗戦直前の日記を破り捨て隠した秘密とは

原武史『皇后考』(講談社、平成27年2月)はよく調べた力作と感心したものだった。ただ1カ所、『高松宮日記』の「謎の記述」(昭和20年6月9日の条)について原先生が高松宮の考えとしている点について、原武史『皇后考』で疑問に思ったこと - 神保町系オタオタ日記…

眞山青果と柳田國男のながーいお付き合い

平成28年12月から翌年1月まで国文学研究資料館で「眞山青果旧蔵資料展ーーその人、その仕事ーー」が開催された。残念ながら実見できなかったが、青田寿美先生から冊子をいただいた。ありがとうございます。冊子の内容は、その後一部修正の上、『真山青果とは何…

敗戦後に藤澤親雄『世紀の預言』を読む国学之徒の小原角男とは

藤澤親雄『世紀の預言』(偕成社、昭和17年3月初版・同年7月再販)は、社会人になってからどこかの均一台で見つけたと思う。いわゆるトンデモ本で、偽史とされる契丹古伝、竹内文献、上記、九鬼文献、ムー大陸説などを駆使している。竹内文献については、天津…

仏教者としての三角寛と浄土真宗本願寺派最乗寺住職の大原寂雲

昭和60年10月号から平成22年10月号まで300冊刊行された『彷書月刊』という本好きの人向けの雑誌があった。全冊蒐集しようとする人も多いようだが、特集形式なので先ずは総目次の付いた最後の2冊を入手して、それを見て自分の関心のある特集号だけ集めておけ…

研究者の皆様、公職追放と教職追放の違いには御注意!ーー大串兎代夫と石塚尊俊の事例からーー

最近読んだ本で公職追放の時期の誤りや公職追放と教職追放を混同しているのではないかと思われる事例があった。 1つ目は、國學院大學研究開発推進センター編・阪本是丸責任編集『昭和前期の神道と社会』(弘文堂)の宮本誉士「大串兎代夫の帝国憲法第三十一条解…

慶應義塾図書館の國分剛二と柳田國男の関係

『荘内』6号(荘内社、昭和13年7月)が手元にある。発行兼編輯人は斎藤恵太郎、荘内社は東京市芝区に所在。常田書店の300円を100円に下げた値札が貼ってあるので、西部古書会館で買ったのだろう。目次を挙げておこう。 柳田國男や國分剛二が書いているので、買…

二人の蒐集家赤星五郎(赤星鉄馬の弟)と赤星陸治を繋ぐ柳田國男

『昭和前期蒐書家リスト』がだいぶ出回ってきたようだ。研究者や好事家の皆様、一家に一冊必要ですよ。今回も、このリストを使って見よう。赤星五郎(蒐集分野:陶器に関するもの殊に朝鮮の焼物)と赤星陸治(蒐集分野:和歌、武道)という二人の赤星が載ってい…

大正2年鴎外が高橋箒庵に語った喜劇談

漱石や鴎外の全集未収録の逸文が発見されたというニュースが続く。随時追加されている国会図書館サーチや「ざっさくプラス」でも、本名や一時期使っていた別号も含めて丹念に検索すれば、文豪や評論家等の逸文を見つけられるかもしれない。もっとも、漱石や…

荻原井泉水も泊まった京都の文人宿萬屋

あけおめ。今年もよろしくお願いします。 明治45年1月4日荻原井泉水は新年早々京都へ向かった。読書好きの井泉水は車中でも本を読んでいた*1。 八時半ノ汽車ニテ新橋発。車中ニテハ午前中『刺青』(谷崎潤一郎)ヲヨム。(略) そして、翌日京都で泊まった宿が萬…