2022-01-01から1年間の記事一覧
昨年の知恩寺秋の古本祭りで玉城文庫の3冊500円台には、一番目に張りついた。そこでは、中川四明が主宰した句誌『懸葵(かけあおい)』(懸葵発行所、明治37年2月創刊)が数冊出ていた。句誌には関心がないので、散々迷って何回目かのチェックで購入。京都で発行…
平安蚤の市でナンブ寛永氏の200円均一箱から、『西洋近世名画集』(近事画報社、明治38年10月)を購入。黒田清輝、小山正太郎、浅井忠が選んだ絵葉書を使って西洋名画を紹介した本である。同月から毎月発行され、39年5月までの8冊が確認されている。絵葉書が外…
昨年10月に開催された京都古書会館のまちなか古本市は初日が四天王寺秋の大古本まつりと重なった。両方回る元気はないので、初日は四天王寺、2日目は京都古書会館にした。京都古書会館では、2日目のためか1冊だけ購入。500円均一だったかで、佐野實『佐野誉…
西田彰一『躍動する「国体」筧克彦の思想と活動』(ミネルヴァ書房、令和2年2月)が昨年第15回日本思想史学会奨励賞を受賞した。おめでとうございます。記念に同書の補足(というほどのものではないが)をしてみよう。9頁に次のようにある。 学問の世界において評…
大谷大学博物館で「大谷大学のあゆみ 清沢満之と真宗大学」を観てきた。5月14日まで。展示品の中に「真宗大学東京移転記念集合写真」(明治34年)があり、一部の人には氏名が記されていた。清沢のほか、南条文雄、関根仁応、曽我量深、金子大栄、朝永三十郎らと共…
『月刊大和路ならら』令和3年12月号(なら文化交流機構)を御恵投いただきました。ありがとうございます。黒岩康博先生の連載「新大和人物志」第17回「新藤正雄」が載っているので、Twitterで「奈良まで買いに行かねば」とつぶやいたところ、回り回っていただくこと…
月日の経つのは早いもので、京都国立近代美術館で「分離派建築会100年:建築は芸術か?」展が開催されてから、1年以上過ぎた。久しぶりに分離派建築会作品展ネタをアップしよう。1年前に作家や芸術家の日記から作品展を観覧した記述を見つけようとしたが、結局…
『紅燈新聞』(紅燈新聞社)の16号(昭和8年8月25日)と22号(9年11月25日)は、4年前に東寺ガラクタ市で入手。2号合わせて100円だった。各4頁。喜び勇んで、ブックス・ヘリング、古書善行堂、文庫櫂にお見せしたっけ。こういうのを見慣れたベテラン文庫櫂では、「…
『真山青果とは何者か?』(星槎グループ発行・文学通信発売、令和元年7月)255頁に、寺田詩麻先生により青果の昭和3年12月から5年3月にかけての日記が紹介されている。日記好きの私としては読みたいなと思っていたら、やってくれました。機関リポリトジ「WE…
盛厚三氏から『北方人』38号(北方文学研究会、令和4年4月)を御恵投いただきました。ありがとうございます。 川口則弘「夏目千代はまったくの新人か。」は、昭和35年下半期の第44回直木賞候補者の一人だった夏目千代(本名鈴木照子)について、同じく候補者だった…
拙ブログの何割かは特定の人向けに書かれたネタで、12年前に亡くなられた黒岩比佐子さんがその一人だった。そして、黒岩さんに村井弦斎考案のタラ根湯薬のパッケージを贈ったのが、吉永進一さんである*1。パッケージは、吉永さんが藤枝ブックスで見つけたも…
岡崎のブックス・ヘリングで入手した冊子『教化問題並に悪思想防止策:文部大臣に建言書の写』(皇道普及会事務所、昭和4年4月)については、「大連にあった皇道普及会の会長大石萬壽ーー昭和4年日本の古典神典を翻訳して猶太民族に配れと文部大臣に提言ーー - …
『大阪図書館第二回図書展覧会』(大阪図書館、明治39年4月)は、4年前に神戸の古書つのぶえで入手したようだ。17頁、300円。明治期の小冊子が安いとつい買ってしまうが、本書は今なら買わないかもしれない。出品目録なので、書名、発行年などの書誌事項しか記…
吉永さんに頼まれた原稿が手を離れたので一安心。ようやく昨年四天王寺秋の大古本まつりで入手した日記を調査した。300円均一の和本台から見つけたもの。冒頭の写真の左側の日録である。なお、右側のチラシは記事とは直接の関係はないが、4年前に大谷大学博…
今月10日に開催された平安蚤の市で、ナンブ寛永氏が200円均一の箱を出してくれた。良さげな小冊子や雑誌があったので燃えた。今回紹介するのは、そこで見つけた『京都青年』155号(京都基督教青年会、昭和3年12月)である。ボロボロで200円でも迷った。しかし…
一昨年国際日本文化研究センターが公開した「吉田初三郎式鳥瞰図データベース」は、人気があるようだ。私は吉田初三郎の鳥瞰図は戦後に注目されて蒐集する人が増えたと思っていた。しかし、「「趣味の旅行」が盛んになった昭和初期における東海道自動車旅行ー…
私も執筆している『近代出版研究』創刊号(皓星社)が4月に刊行される。目次は、次のとおりである。 ・「巻頭言 小さい問題の登録」小林昌樹 ・「研究座談会 明治期に活躍した出版社の近代性とは何か――稲岡勝を囲んで」稲岡勝・小林昌樹・森洋介・河原努・藤巻…
京阪書房の均一台で見つけた『園藝界』(春陽堂)については、「牧野富太郎や五百城文哉の植物画掲載の『園藝界』(春陽堂、明治38年)ーー一條成美の絵葉書『新粧』の広告もーー - 神保町系オタオタ日記」で紹介したところである。奥付の編輯者は、前田次郎であ…
円山公園内にあった仏教児童博物館(昭和6年10月開館)については、「『仏教児童博物館第二回年報附資料分類目録』(仏教児童博物館事務所、昭和5年5月) - 神保町系オタオタ日記」や「『田代善太郎日記』に風俗研究会や仏教児童博物館、はたまた嵯峨断食道場 …
今年がプラトン社の創立100周年というのは、本おや(本は人生のおやつです‼)の坂上さんから聞いたのかな。どこかでイベントをやってくれないものか。本おやが堂島に残っていれば何かやってくれたかもしれない。しかし、兵庫県朝来市に移ってしまったしなあ。 …
昨年11月の大阪古書会館で「井上先生校閲」とある『妖怪変化之本性:理化応用』(中村天神堂、明治32年4月)を発見。妖怪関係で井上先生と言ったら井上円了だし、表紙にある「哲斈会」(哲学会)は円了が明治17年に創立した団体で『哲学会雑誌』の発行所なので、…
昨年だったか三条河原町の京阪書房の前を通ったら、『園藝界』(春陽堂、明治38年)が数冊出ていた。タイトルからいって普通はスルーするところだが、たまたま目次を見た。すると、牧野富太郎や五百城文哉による植物画の口絵が載っているので、明治38年1月号と…
『教化問題並に悪思想防止策:文部大臣に建言書の写 附仏人「ポールリシヤール」の七つの歌 我国体の真解』(皇道普及会事務所、昭和4年4月)は、岡崎のブックスヘリングから入手。非売品、18頁。発行所は大連市聖徳街4丁目に所在、編輯兼発行人は同住所の大石萬…
『商船パック』2号(大阪商船株式会社運輸課、明治44年5月)という全頁カラー(2色刷を含む)の小冊子が手元にある。非売品、15頁、横13.5cm×縦19cm。編輯兼発行人は堀啓次郎、印刷人は大阪パック社の長尾倉吉。堀は、当時大阪商船の副社長。長尾は、当時漫画雑…
書物蔵氏がTwitterで諸岡存についてつぶやいていた。黒岩比佐子さんがお元気だった頃に3人で諸岡が主宰した東洋精神研究所の事業「パーマネントを廃しみづらの提唱」を話題にしたことがあった*1。その後、諸岡が反ユダヤ主義団体とされる大直会の主幹者で、白…
ミネルヴァ日本評伝選は平成15年から刊行が開始され、令和元年に200冊に達した。その後も順調に刊行されている。本年1月現在刊行が予定されている本で、関心があるのは 樋口一葉、与謝野晶子、新島八重の3冊(佐伯順子) 泉鏡花(東郷克美) 萩原朔太郎(エリス俊…
1月7日の朝日新聞夕刊にも、花園大学図書館で発見された東本願寺南方美術調査隊が撮影したアンコールワット遺跡の写真に関する記事(久保智祥記者)が掲載された。大澤広嗣先生のコメントも載っている。その大澤先生が調査隊について書かれた「アンコール遺跡と…
これもオタどんの一箱古本市に出たかもしれない一冊。南坊城志乃夫・堀池もろは編『鈴蘭詩集第一輯』(鈴蘭草舎、大正13年11月)。146頁、頒価40銭。どこの図書館にも無いようだ。発行者は京都市上京区の鈴木覚太郎で、発行所である鈴蘭草舎の所在地も鈴木の住…
昨日の京都新聞に、京都市歴史資料館で開催中の特別展「岩倉具視と米欧回覧」に関する記事(日山正紀記者)が出ていた。昨年が150周年だった岩倉使節団に焦点を当てた展覧会である。13日まで開催中(月曜・祝日休館)。私も一時期岩倉使節団に興味があったので、こ…
石井敦先生の『簡約日本図書館先賢事典:未定稿』(石井敦、平成7年3月)の向こうを張って、「オタどん編著『簡約大日本図書館先賢事典 未定稿』 - 神保町系オタオタ日記」をまとめたことがある。その後、館界でこれに刺激を受けたか(まさか)、日本図書館文化史…