神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

『近代出版研究』(皓星社)が4月創刊ーーオタどんもモダンガールの北澤秀一について執筆ーー

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 私も執筆している『近代出版研究』創刊号(皓星社)が4月に刊行される。目次は、次のとおりである。

・「巻頭言 小さい問題の登録」小林昌樹
・「研究座談会 明治期に活躍した出版社の近代性とは何か――稲岡勝を囲んで」稲岡勝・小林昌樹森洋介・河原努・藤巻修一・晴山生菜・楠本夏菜
・「「立ち読み」の歴史――それは明治二十年代日本の「雑誌屋」で始まった」小林昌樹
・「来たるべき独学書史のためのプログラム」読書猿
・「古本の記憶」大月隆寛
・「ハガキ職人系”民俗学者の奔放――宝塚文芸図書館員・辰井隆について分かったこと」菊地暁
・「奥付と消費税――書籍の消費税総額表示を契機に考えたこと」下平尾直
・「日記のすき間から掘り出す近代日本出版史」神保町のオタ
・「西洋初期近代における出版と読者を探るために」安形麻理
・「田中一貞の人柄と図書館論(前)」田村俊作
・「新聞濫読のすすめ」松﨑貴之
・「明治10年代「図書館」は「書籍館」に何故取って代ったか――「図書」の語誌に見る意味変化と東京図書館における「館種」概念の芽生え」鈴木宏
・「「幽霊版」(版数とばし)は大正初期に始まった?――フル本はルフ本」書物蔵
・「戸家誠著作リスト(令和四年一月現在)」戸家誠
・「楫取群馬県令と金港堂の『修身説約』出版」稲岡勝
・「書評『日本人物レファレンス事典 図書館・出版・ジャーナリズム篇』」鈴木宏
・「資料復刻 The biblio kids! ―1990年代前半の西洋書誌学通信紙」武者小路信和

 割と知り合いが多く、冒頭に挙げた写真は関係者の最近の編著である。ただし、『内田弥八の生涯』は解説を戸家誠氏、『レファレンスと図書館』は解説対談と索引作成を小林昌樹氏が担当した関係である(小林氏と鈴木宏宗氏は『公共図書館の冒険』の執筆者でもある)。
 私の「日記のすき間から掘り出す近代日本出版史」はぼやっとしたタイトルだが、日本における「モダンガール」という語の最初の使用者である北澤秀一の正体について書いた。ただし、千里眼事件を取材した『神通力の研究』の著者薄井秀一と同一人物であることや詳しい経歴は、拙ブログで既報である。今回新知見を追加した。今後、モダンガールの北澤秀一に言及する研究者は本稿を参考文献に挙げていただきたい。もう一つ私が紹介したのは、冒頭に挙げた稲岡氏の研究書が扱った金港堂が発行した雑誌『雅人』である。昨年知恩寺の古本まつりで三密堂書店から購入。国会図書館にもない号があったので、役に立った。
 稲岡氏、大月氏、田村氏、戸家氏ら、更には今をときめく菊地氏や読書猿氏と名前が並んで光栄である。もっとも菊地氏と名前が並ぶのは、最初で最後ではないかもしれない。
参考:「横田順彌先生に薄井秀一の経歴を解明したと報告したかった - 神保町系オタオタ日記