昨年だったか三条河原町の京阪書房の前を通ったら、『園藝界』(春陽堂、明治38年)が数冊出ていた。タイトルからいって普通はスルーするところだが、たまたま目次を見た。すると、牧野富太郎や五百城文哉による植物画の口絵が載っているので、明治38年1月号と3月号を購入。1冊100円。
茨城県生まれの画家五百城文哉については、Wikipediaを見られたい。わりと関心のある画家で、水戸まで展覧会を見に行ったと思う。牧野も関心のある学者で、冒頭の写真は国立科学博物館で買った本である。高知県立牧野植物園には行ったことはない。来年NHKの連続テレビ小説『らんまん』のモデルになるらしい。
口絵以外の記事は面白くないが、明治期のしかも春陽堂の発行なので出版広告が面白い。驚いたのは、第2年第1巻、明治38年1月掲載の春陽堂発行絵葉書広告の中に一條成美画『新粧』があることだ。『新粧』は木股知史先生が「一條成美と『新声』: 表現急行2」で調べていた一條の画集だ。先生が追いかけていたのは、新聲社発行の画集なので、発行所も内容も異なる。しかし、同名の作品なので新聲社の方も実際は絵葉書かもしれない。