書物蔵氏がTwitterで諸岡存についてつぶやいていた。黒岩比佐子さんがお元気だった頃に3人で諸岡が主宰した東洋精神研究所の事業「パーマネントを廃しみづらの提唱」を話題にしたことがあった*1。その後、諸岡が反ユダヤ主義団体とされる大直会の主幹者で、白鳥敏夫の公職追放該当事項の一つに「大直会有力幹部」があることが分かり*2、私の関心は大直会の方に移った。
この大直会という団体に関する史料がさっぱり見当たらず、近現代史の研究者にチャレンジしてほしいと書いたことがある。しかし、まだ誰も見つけていないようだ。なお、大直会の読みについて書物蔵氏が「おおなおしかい」又は「おおなおびかい」説を出したことがある。最近気付いた公職追放の対象となる団体を指定した「昭和二十二年勅令第一号公職追放に関する就職禁止、退職等に関する勅令の施行に関する命令」(昭和22年閣令内務省令第1号)別表第1の3には、アルファベット順で大直会はDの位置にあるので、「だいちょくかい」と読まれていたと解される。ただし、実態ではなく常識読みをされた可能性はある。
諸岡は、一般的には茶に関する本の著者として評価されているようだ。岩間眞知子氏により、「茶研究の先駆者・諸岡存」が『茶』平成20年1月号~5月号に掲載されている。私も数ヶ月前の大阪古書会館の古本市でシルヴァン書房から『喫茶新養生記』(諸岡存、昭和5年9月初版・同年11月再版)を入手している。非売品、文庫サイズ48頁で200円だった。諸岡の本でも茶では興味がないが、表紙に「渡邉一保堂」とあったので購入。現在も寺町二条にある享保2年創業の日本茶専門店一保堂の旧蔵書である。
「序」によると、諸岡は昭和4年11月丸の内仏教修養会創立一週[ママ]年紀年講演会で行った「脳の鍛錬法」で、飲酒の害と茶の効用に言及した。友人藤原楚水の勧めで、『實業之日本』昭和5年1月号に「喫茶新養生法」として発表。本書は、その増補訂正版だという。諸岡は医学博士だが、茶の効用を強調するあまり「若しも吾々が、毎朝、梅干一個に煎茶一杯を喫するならば、口中は清潔となり、臭気がとれる計りでなく、其日一日、殆んど伝染病に罹る恐れがない」と書いている…
参考:「諸岡存と高村智恵子 - 神保町系オタオタ日記」