神保町系オタオタ日記

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『北方人』38号(北方文学研究会)ありがとうございますーーかわじ・もとたか氏企画「大橋歩Vs水森亜土Vs本くに子」展開催ーー

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 盛厚三氏から『北方人』38号(北方文学研究会、令和4年4月)を御恵投いただきました。ありがとうございます。
 川口則弘「夏目千代はまったくの新人か。」は、昭和35年下半期の第44回直木賞候補者の一人だった夏目千代(本名鈴木照子)について、同じく候補者だった星新一の評伝(最相葉月著)が夏目と星を「まったくの新人」としていることに異議を唱えたもの。ゴシップ満載の自伝小説『花の放浪記』(朋友社、昭和31年)こそ、夏目の最大の輝きだという。同書の後半を盛り上げる巨人軍の投手沢村栄治との恋の行方が、面白そうだ。
 盛氏の「生涯青春」は、長谷川光二という不思議な人物を調べるため、長谷川と交友があった小宮山量平(理論社創業者)に連絡をとった盛氏が平成3年以後小宮山から届いた100通の手紙のうちから、小宮山の晩年の高踏な精神を知ることのできるものを紹介している。小宮山からの初めて手紙(平成3年2月14日付け)を引用しておこう。

(略)私の銀行給仕勤めの上長が渋沢敬三さんにて、この渋沢&長谷川の関係が一つの友愛ロマンです。加えてわが一橋での師上原専禄&長谷川光二は、正に「ライバル」としてのすばらしい知的典型で、その激しい息吹それ自体が、わが思想上の埋もれた宝物でしょう。(略)

 かわじ・もとたかさんの「装丁挿話」は順調に13回目。そのかわじさんが企画する「えっ!古本屋で展示会?」第5弾「『カワイイ』・『おしゃれ』・『ホッコリ』を描く装丁本展 大橋歩Vs水森亜土Vs本くに子」が今月箱根の本喫茶わかばで、来月西荻窪西荻窪モンガ堂で開催される。お近くの方や近くに行かれる方は、ぜひとも行きましょう。
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