神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

昭和3年12月柳宗悦が京都基督教青年会神学校で行った宗教学の講義

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 今月10日に開催された平安蚤の市で、ナンブ寛永氏が200円均一の箱を出してくれた。良さげな小冊子や雑誌があったので燃えた。今回紹介するのは、そこで見つけた『京都青年』155号(京都基督教青年会、昭和3年12月)である。ボロボロで200円でも迷った。しかし、「浅草十二階の設計者バルトンの孫娘鳥海たへ子の遺歌集 - 神保町系オタオタ日記」で言及した京都日出新聞記者鳥海一郎が「芭蕉のことなど」を執筆しているので買ってみた。鳥海については、その後『顔:鳥海一郎遺稿』(鳥海たへ・誠・幸子、昭和37年10月)も入手しているが、別途紹介します。今回は、同誌「宗教部から」に載っていた京都基督教青年会神学校の話を。

 十二月は三日の月曜から柳宗悦氏の宗教学の講義に入り、十七日夜まで三回つゞく。聴講生は只今四十六名、信者未信者、学生、勤務の人、凡ゆる人士を混ぜてゐるが、皆緊張してゐる。

 これによると、柳宗悦の講義が昭和3年12月3日から17日までに3回実施されたようだ。しかし、『柳宗悦全集』22巻下(筑摩書房、平成4年5月)の年譜には、昭和3年12月10日から20日の間外村吉之介の依頼で京都YMCAで連続講演とある。また、外村『民芸遍歴』(朝日新聞社、昭和44年11月)の「民芸の父を訪ねたころ」には、「昭和三年十二月二十日/青年会で開いた先生の連続講座は今夜で終った」とある。講義の最終日は12月20日が正しいようだ。講義の初日については、同誌の印刷日*1昭和3年12月10日とあるので「宗教部から」にある12月3日が正しいような気がする。全集の年譜が12月10日とする根拠が分からない。
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 京都基督教青年会神学校の昭和3年度における講義内容を示すチラシも挟まっていたので、写真を挙げておく。タイトルに「京都基督教青年会神学校冬季学期(昭和四年一月ー三月)とあって紛らわしいが、講義欄には一年分の講義内容が記載されている。柳に講演を依頼した外村は当時京都基督教青年会宗教部主事で、明治31年生、大正14年関西学院神学部卒、戦後倉敷民芸館長、熊本国際民芸館長になっている。「イエスの生涯と人格」を担当した室町教会牧師日高善一については、「京大三高基督教義研究会と『フランダースの犬』最初の訳者日高善一牧師 - 神保町系オタオタ日記」で紹介したところである。このチラシには「毎週月曜日」とあるので、柳の講義は昭和3年12月3日(月)、10日(月)、17日(月)に開催されているはずだが、少なくとも最終日は前記のとおり20日(木)に開催されたようだ。

*1:発行日は欠けて不明