神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

大阪府立図書館における戦前期の展覧会活動ーー『大阪図書館第二回図書展覧会列品目録』(明治39年)ーー

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 『大阪図書館第二回図書展覧会』(大阪図書館、明治39年4月)は、4年前に神戸の古書つのぶえで入手したようだ。17頁、300円。明治期の小冊子が安いとつい買ってしまうが、本書は今なら買わないかもしれない。出品目録なので、書名、発行年などの書誌事項しか記載がなく面白くはない。ただ、大阪図書館所蔵本だけの出品ではなく、多くの蒐集家が出品していて、その名前が興味を引く。磯野秋渚、小山田竹次郎、渡辺霞亭、内藤湖南、村山龍平、上野理一、幸田成友、水落露石、鹿田静七、平瀬露香、本山彦一らである*1。これらは、初代館長今井貫一の人的ネットワークに属するメンバーである。第一回図書展覧会(明治37年5月)の列品目録を収録した宮里立士編集・解説『大阪府立図書館稀覯書展覧会目録』第1巻(ゆまに書房平成26年3月)の解説によると、今井は後の明治42年9月に西村天囚、霞亭、永田有翠(好三郎の号)、露石、角田浩々、静七らと文化サロン的な「人文会」を創立している。
 大阪府立図書館が実施した展覧会は、『中之島百年:大阪府立図書館のあゆみ』(大阪府中之島図書館百周年記念事業実行委員会、平成16年2月)の「展示一覧」にまとめられていて、大正14年2月には「蒐集趣味展覧会」(大阪図書館協会主催)が開催されたことが分かる。こういう戦前期の図書館の展覧会活動も調べたら面白そうである。大阪府立図書館同様に初代館長市島春城以来の歴史を有する早稲田大学図書館については、ネットで読める松下真也「図書館と展覧会」に「早稲田大学図書館展覧会年表」が掲載されている。大正期に竹久夢二の個展を開催した京都府立図書館については、展覧会の開催一覧は存在するだろうか。

*1:個人以外の機関としては、東大寺仏教図書館、大阪朝日新聞、大阪史編纂係など