神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

京都新聞THE KYOTO「京都・左京区研究」で「からふね屋印刷所」の回を希望


 先日の「たにまち月いち古書即売会」(大阪古書会館)では、久しぶりに古本横丁の和本均一400円台から購入。そのうちの1冊が、杉浦三郎兵衛編『雲泉荘山誌:家蔵松会板之書目』別冊第4(雲泉荘、昭和9年7月)である。「はしがき」によれば、5月に知友に乞われて家蔵の松会板書籍を閲覧に供したところ、目録の作成を要請され刊行したものである。松会板とは、徳川家の御用書肆だった松会市郎兵衛が承応頃から元禄頃までの50年程の間に200種も発行した典籍らしい。
 目録そのものにはまったく興味がないが、趣味人丘園*1の蔵書目録であることと、印刷人がからふね屋印刷所の堀尾幸太郎だったからである。同印刷所は、現在も株式会社からふね屋として左京区東山仁王門にある。
 私が入手した印刷物の発行順にブログのエントリーを一覧にしておく。

大正14年9月『書物礼讃』 『書物礼讃』を印刷した唐舟屋印刷所の堀尾幸太郎・緋紗子兄妹ーー高橋輝次『古本こぼれ話〈巻外追記集〉』への更なる追記ーー - 神保町系オタオタ日記
大正15年11月 『アートクラブ第十二回例会松本幸四郎公演会』大正末期に松本幸四郞や宝塚少女歌劇の公演を主催した都ホテル内のアートクラブとからふね屋印刷所 - 神保町系オタオタ日記
昭和9年1月『瓶史』 古書からたちで『美楚羅』『加羅不禰』(からふね屋印刷所)の載った古書目録に出会う - 神保町系オタオタ日記
昭和14年4月『洛味』 京都スターブックス出品の戦前版『洛味』で美術記者黒田天外の没年を特定 - 神保町系オタオタ日記
昭和25年6月『書之燈』 京都における戦前の合同古書目録『書燈』と戦後の合同古書目録『書之燈』 - 神保町系オタオタ日記
昭和28年4月『京都』 からふね屋印刷所の堀尾幸太郎と白川書院の臼井喜之介 - 神保町系オタオタ日記

 国会デジコレで創業時の社名「唐船屋印刷所」を検索すると、先月閉店した大学堂書店が発行していた書物雑誌『書物礼讃』第1号(杉田大学堂書店、大正14年6月)が最も古い印刷物であった。ただし、あくまで国会図書館所蔵分の中での話で、また、創業は大正10年とされるのでもっと古い本が存在するはずである。
 いずれにしても、色々エピソードの多い印刷所なので、「江口榛一から臼井喜之介宛献呈『故山雪:歌集』ーTHE KYOTOで「京都・左京区研究」始まるー - 神保町系オタオタ日記」でも言及したが京都新聞THE KYOTOの「京都・左京区研究」で取り上げてほしいものである。

*1:トム・リバーフィールド編、書物蔵監修・解説『昭和前期蒐書家リスト:趣味人・在野研究者・学者4500人』(トム・リバーフィールド、令和元年11月)によれば、本名三郎兵衛。集古会の一員で、蒐集分野は「伝記、人類、民族」