神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

神保町の茶房きゃんどると十返千鶴子

『かんだ』201号(かんだ会、平成22年12月)に「二〇〇号記念リバイバルエッセイ2」として、十返千鶴子「古本とコーヒー」*1が再録されていた。「きゃんどる」が出てくる。

(前略)銀座のコロンバントリコロールより、神田のきゃんどるやら、らんぶるなどの名を口にするほうが、ちょっと通のような気取りがあった。きゃんどるが、まだ一ツ橋会館の手前の横丁にあった戦前の話である。
戦後、すずらん通りを三省堂の方からいって左へ入ったところの、小さな店でやっていたころ、マダムを訪ねて二、三度行ったことがあったが、もう彼女も亡くなった。いかにも戦前の神田の喫茶店街の話題の人らしく、神秘的な妖しさをそなえた女性であった。

十返千鶴子十返肇の妻。「きゃんどる」については、今月19日参照。

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出版ニュース』1月上・中旬合併号は、恒例の執筆予定。猫猫先生が、正式に(?)『久米正雄伝』の執筆宣言。ぽしゃった某新書は、別の新書として日の目を見るとのこと。今度は、無事に出ることを祈っております。佐藤卓己氏、田中貴子さん、長山靖生氏らの予定もあり。例年登場する岡崎武志氏、安藤礼二氏はなぜか見当たらず。『京大西部講堂物語』(人文書院)を予定している人がいた。

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『出版ダイジェスト』12月21日号の「句読点」に、東浩紀編集長の新雑誌『思想地図β』について、

(前略)編集作業もユニーク。会社立ち上げから創刊のドタバタまでをツイッターユーストリームダダ漏れ(今年の私的流行語大賞)させながら進行する様子は、プロセスをさらすという意味でとてもスリリングでした。(中略)個人的には『思想地図β』の成否が今後の出版のあり方を占うような気がしています。というわけで、オレは若い人についていくことに決めました。

とあった。『週刊読書人』一面でも「東浩紀氏ロングインタビュー」が大きく出ていた。売れ行きは良好のようで、ジュンク堂書店新宿店では、29日に行くと25日現在売り切れ御免の表示があったが、30日には29日緊急入荷とあった。ほえ〜、2500円近くもするのに。次回の『週刊読書人』の猫猫「論潮」でどう言及されることか。

思想地図β vol.1

思想地図β vol.1

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2010年はアクセス数112万9千件台で終わりそうだ。今年一年、見に来てくれた方やコメントをいただいた方、ありがとうございました。来年もよろしくお願いします。

*1:初出は同誌2号、昭和37年