神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

黒岩比佐子

「本のすき間」から石塚右玄と合著を出した塩田宗沢を発見

日本の古本屋メールマガジンで南陀楼さんが「『本のすき間』を探る人」と名付けてくれた。これは、物理的に本と本の間に挟まった小冊子等を掘り出すという意味だけでなく、雑書や日記の記述の中から研究者も気付いていない情報を見つけるという意味も含めてい…

女優及川道子の父にしてキリスト教社会主義者の及川鼎寿とシーラ倶楽部

黒岩比佐子さんが亡くなる前、「あと10年生かしてくれれば」と泣いておられたと思う。黒岩さんには執筆予定の作品が幾つかあった。ヘレン・ケラー、婦人記者下山京子である。他にも、「忘れられた美人女優及川道子と堺利彦夫妻」のコメント欄にあるように女優及…

黒岩比佐子さんを好きになった人達

黒岩比佐子さんが亡くなられて7年が過ぎた。日々の雑事に追われて思い出すことも少なくなってしまった。それでも、大阪古書会館の古書展で黒岩さんを古本道に導いた中島俊郎先生にお会いすると黒岩さんのことが思い出されたりする。その他、最近黒岩さんの名…

黒岩さん、ありがとう

善行堂経由で某先生の論文抜刷りをいただいていて、御礼を言わないといけないなあとずっと思っていた。先生は古書展でよくお見かけする常連の一人なので声をかける機会は何度かあったのだが、なかなか面識のない人に話しかけるのは難しいものであった。今日…

『こころ』の特集「自伝・評伝を愉しむ」に黒岩比佐子さん

『こころ』12号の特集は、「自伝・評伝を愉しむ 「人間」を読むこと、書くこと」で、西木正明氏と梯久美子さんの対談「「人間」を描くということ 小説とノンフィクションのあいだ」が掲載されている。そこで梯さんが黒岩比佐子さんに言及している。 梯 『パ…

すごいぞ、鳥取県立図書館の橋浦泰雄関係文書

以前「発見された売文社の機関誌『パンとペン』創刊号」で紹介した『パンとペン』創刊号発見の件。『トスキナア』13号、2011年5月の「うわさの風」欄の「【『パンとペン』は何処にありや!】」(中岡)で公表されたものである。引用すると、 売文社の宣伝用…

ツヴァイクに伍する黒岩比佐子さん

以前猫猫先生に御教示された安宅夏夫「夏目漱石と堺利彦」『群系』26号を読んだ。黒岩さんの『パンとペン』に讚嘆した次第が書かれていて、最後には、 在野の歴史家として、また評伝作家として、黒岩比佐子は、かのツヴァイクに伍していける人であった、と思…

黒岩比佐子と花田紀凱

石井光太責任編集『ノンフィクション新世紀 世界を変える、現実を書く。』(河出書房新社、2012年8月)の「ノンフィクションベスト30」は、柳田邦男、角田光代、鎌田慧、上杉隆ら様々なジャンルの16人の表現者がベストノンフィクションを選出。そのうち、花…

黒岩さんだからこそ書けた『パンとペン』

『寄せ場』24号、2011年5月に中西昭雄氏による黒岩比佐子『パンとペン』の書評*1。 こんにちまで、堺については、幸徳秋水や大杉栄といったラジカルな存在に比べると語られることが少なかったことも、黒岩のようなフリーランスのライターにしてはじめて「売…

黒岩比佐子さんと売文社を巡る戯曲

『トスキナア』13号、2011年5月に大和田茂氏による黒岩比佐子『パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い』の書評が掲載されている。氏は、同書の特色として、次の二点をあげている。 ・文士「堺枯川」の具体的姿を従来の伝記や研究にない貴重な資料…

中森明夫から見た黒岩比佐子『パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い』

KAWADE道の手帖『大杉栄 日本で最も自由だった男』の鎌田慧と中森明夫の対談に黒岩さんが出てくる。 中森 大逆事件で実際に爆弾投げる準備をしたのって、管野スガと数名くらいと言われていますよね。だから、あれは冤罪なのだ、法律上おかしいから再審をして…

黒岩比佐子さんと東京堂書店店長佐野衛

昨日黒岩さんの命日だと、ユクノキたんに教えてもらうまで、すっかり失念していた。遅ればせながら、黒岩さんに関する文献を紹介。 (2010年) 6月25日 工作舎から『古書の森逍遥』を出版された黒岩比佐子さんが来店。体調がすぐれないと聞いているので、ど…

古書展で奮闘する黒岩比佐子さん

『日本古書通信』10月号の「鼎談・古書即売会の魅力」に、黒岩さんの名前が登場。 司会(樽見博) 残念ながら病気で亡くなられたけれど黒岩比佐子さんも珍しい女性の即売会の常連で、入手したものを見事にブログで紹介していましたね。 真田(幸治) 黒岩さ…

オタどんと黒岩比佐子さんのファースト・コンタクト

黒岩さんの名前を最初に目にしたのは、『『食道楽』の人 村井弦斎』(岩波書店)だと思っていたが、それより前だったことが判明した。弦斎の英訳書『Hana』に関する新聞記事の切り抜きを持っていることは頭の片隅にあったのだが、ようやく実物が出てきた。平…

国文学界に黙殺された黒岩比佐子と小谷野敦

『出版ニュース』3月下旬号の小谷野敦「凍雲篩雪」に、 あるいは私は、『里見弓享伝』とか『久米正雄伝』とか、初めての伝記を出しているのだが、国文学の学術誌はみごとに黙殺である。私だけではなく、村井弦斎や国木田独歩の伝記を書き、若くして亡くなっ…

「『食道楽』の人、村井弦斎」を見ちゃう、聴いちゃう、食べちゃう

8月4日(土)、5(日)アートガレーカグラザカで「黒岩比佐子の遺した「世界」 「『食道楽』の人、村井弦斎」を見て、聴いて、食べる」が開催されるという。詳しくは、「古書の森日記」(http://blog.livedoor.jp/hisako9618/lite/archives/52157371.html)…

本郷カフェー条項

斎藤光論文*1が出た後では、本郷カフェーについて語る意味も薄れた感があるが、とりあえず発見したことを報告しておこう。最近柏書房から刊行された芦田均日記だが、 明治38年2月6日 夕方前田中君と本郷カフエーに行く。 3月4日 帰つて本郷カツフエー行。 と…

森まゆみさんのブログに神保町のオタどん

我がyukunoki嬢の情報によると、森まゆみさんのブログ「くまのかたこと」にわすのブログが出てくるらしいので、見てみると、 神保町のブログを読んでいたら黒岩比佐子さんのことを何度も書いている方があった。 その蔵書はちゃんとしたところに収蔵されたと…

黒岩比佐子さんと佐藤卓己先生

黒岩さんと佐藤先生は、読売新聞の読書委員を2009年に入れ替わっておられるので、面識があったのだろうなあ、と思っていたら、やはり面識があったそうだ。佐藤先生の新刊『天下無敵のメディア人間 喧嘩ジャーナリスト・野依秀市』の「あとがき」によると、同…

黒岩比佐子蔵書が神奈川近代文学館へ

「古書の森日記」によると、黒岩比佐子さんの蔵書が神奈川近代文学館に寄贈されたとのこと。受け入れには、前館長の紀田順一郎氏の尽力もあったことだろう。蔵書が同館に納まればいいなとは、2011年2月7日にも書いたが、納まるべきところに納まってよかった…

黒岩比佐子さんと生井秀考氏

『みすず』の読書アンケートでは、生井秀考氏(政治社会学・映像論・地域研究)が黒岩さんに言及。 共通の知人があって何度も会合で挨拶したことがあったのに、ずいぶん経つまで、目の前のこの明るくはきはきした女性があの著者だということに迂闊にも気づか…

黒岩比佐子さんと梯久美子さん(その2)

「古書の森日記」の代筆が止まっているので、代わりに黒岩さんの顕彰をしていこう。 某女史から御教示いただいたが、『サンデー毎日』4月1日増大号の「読書の部屋」に、梯久美子さんが、黒岩さんについて書いている。 震災の前年の11月、ノンフィクション…

黒岩比佐子「人生最後の一冊」が『読書のとびら』(岩波文庫)に

読売新聞「よみうり堂から」は、14日にあった「語り継ぐ 黒岩比佐子の会」の話。 ・健康優良児時代の写真、遺著『パンとペン』の講演の際の完全原稿メモを公開。 ・小学6年の時に作った「わが生い立ちの記」が、400字詰め原稿用紙で135枚。写真、図版も織り…

小さなものへの視線を忘れなかった黒岩比佐子さん

黒岩比佐子『伝書鳩 もうひとつのIT』(文春新書)は、2000年12月刊行。同月27日付毎日新聞が早速「ひと」欄で、「「伝書鳩 もうひとつのIT」を出版した黒岩比佐子さん」を掲載している。そこには、例えば、 ・防衛庁の人に「こんなことを聞きにきた人は…

黒岩比佐子さんを偲ぶ社会主義研究者たち

黒岩比佐子『パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い』(講談社)についての最後の書評になると思われる書評が、『初期社会主義研究』23号に出た。大岩川嫩「軽妙にそして骨太に闘い抜いた堺利彦の生涯を描く」である。そこには、 文体は端正であ…

発見された売文社の機関誌『パンとペン』創刊号

黒岩比佐子『パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い』(講談社)で、黒岩さんが「残念ながら実物は発見されていない」とした売文社の機関誌『パンとペン』創刊号が、発見されたという。『初期社会主義研究』23号の小正路淑泰「堺利彦生誕一四〇年…

黒岩比佐子さんの著作に言及した最近の論文

黒岩比佐子さんの著作に言及したり、引用した論文を二つ読んだ。・小出治都子「高等女学校の美育からみる「少女」と化粧の関係」『Core Ethics』7号、2011年 この「少女」たちの生活について論じているのが、黒岩比佐子(原注)と川村邦光である。原注:黒…

上毛新聞社で伝書鳩に餌をやる草野心平

草野心平の『わが青春の記』の「詩への絶望感」に、草野が上毛新聞者校正部時代にしていたもう一つの仕事が書かれている。 (前略)大晦日のひるひなか、それは私の日課の一つだったので工場のはじっぽの梯子段をあがって屋根上に出た。そこには伝書鳩の鳩舎…

黒岩さんと唐沢隆三氏

『日本古書通信』7月号の大和田茂「追悼唐沢隆三氏 個人誌『柳』八六三号でついに終刊」にも黒岩さんの名が出ていた。57年間、月刊個人誌『柳』を発行していた唐沢隆三氏が5月6日93歳で亡くなったが、入院前には、親しく文通していた黒岩さんの『パンとペン…

黒岩さんと茅原健氏

『日本古書通信』9月号の茅原健「書架拾遺」75は「茅原崋山『銀杏の葉陰』」。この本は、黒岩比佐子さんのブログ「古書の森日記」2007年05月26日でも紹介されているが、茅原氏は、黒岩さんとは一度メールの交換をしたことがあるという。黒岩さんの『編集者国…