第一高等学校で英語を教えていた平井金三。教え子には、明治43年9月同校二部甲類に入学した森田浩一もいた。森田の日記が影印復刻されている*1。
明治44年2月27日 井川君が何か盛んに牛耳つているので聞けば同君は平井先生の所へ行つて催眠術にかゝつて来た相だ、そして色々平井先生が神霊学研究して居る話をする、何でも人を自由にしたりテーブルにダンスをさせたり病気をなほしたりすると云ふ
4月20日 英語平井先生は、日本人の礼儀に欠けて居ると云ふ事を話された、就中君等は将来日本国民の上に立つものだから最も之の点には注意してほしいと米国へ行つて見て来た彼の国の人の道徳心の厚い事を例に引いて云はれた、大変為めになつた
6月1日 平井先生の時は例の如く盛んに医者不用説を云ふ
44年2月27日に出てくる「井川君」は後の恒藤恭(戦後、大阪市立大学の初代総長)。2007年8月15日に言及したが、再度井川の日記を引用すると、
明治44年2月27日 五時半ごろ出て、石原、後藤、外に二部の某君と、平井サンのところへゆく。(略)
やがて平井サンが出られ、時候のはなし、紀念祭の余興のはなしがすんだのち、心霊の研究のはなしをされる。/それから石原君が、催眠術をかけてもらふ。そのあとで、あとの三人も一緒にかけてもらふ。某君ハすぐかゝつた。
平井に催眠術をかけてもらった井川が早速友達にその話をしたことが、森田の日記でわかる。それにしても、平井先生から本当に学んだのは英語だったのか、心霊学だったのか・・・
*「平井金三」のカテゴリーを作りました。カテゴリーの一覧を見てたら、明治、文藝、新本とか広すぎて使いづらいものもあるなあ。
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