神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

黒岩比佐子さんが追いかけようとしていた奇術研究家阿部徳蔵

出版ニュース』2007年1月上・中旬合併号の「今年の執筆予定」に黒岩比佐子さんが書いた執筆予定の中に結局執筆されなかったと思われるものがある。

(4)奇術研究家の阿部徳蔵という興味深い人物のことを知り、調査中。近代の「奇術と霊術」に新しい切り口が見出せれば、何か書いてみたい。

阿部については、谷崎潤一郎が「三つの場合」*1で、阿部とは大正時代横浜に住んでいた頃知り合い、昭和19年7月24日鵠沼の阿部を見舞いに行き、魔術に関する蔵書を見せてもらったことを書いている。黒岩さんは何か新知見を見出していたのだろうか。黒岩さんの阿部伝を読んでみたかった気がする一方、霊術のような分野に深入りしなかった事は黒岩さんにとってよかったと思ったりもする。

(参考)野上彌生子の日記に、阿部かと思われる奇術師が出てくる(2007年2月7日参照)。黒岩さんの予定していた次作については、先月13日参照。

                              • -

深川いっぷくでの第1回黒岩比佐子追悼番組における発言で、『音のない記憶』から『古書の森 逍遙』までの十冊のうち、むのたけじ氏への聞き書きと連載物の一冊を除いて、書下ろしは八冊というのがあったと思う。しかし、むの氏への聞き書き『戦争絶滅へ、人間復活へ』を数に入れるのであれば、共著の『津村重光の本』も入れないとおかしいのと、連載物は二冊(『食育のススメ』と『歴史のかげにグルメあり』)である。

*1:中央公論昭和35年9月、11月、36年2月号。