神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

日本発禁本大事典の必要性

これまた、河上肇の日記から引用。

(昭和十三年)
四月二十一日 警察よりこれまで発売禁止になつた著書名を知らしてくれとて阿部氏来たる。二階に通して面会。

発禁処分をしたのは内務大臣(実務は内務省警保局図書課)とはいえ、処分庁側の警察職員が被処分者に処分の内容を聞くとは情けないものである。『禁止単行本目録』や『出版警察報』のバックナンバーなどから自分で探せばいいのにと思うが、人名索引はないから探すのは面倒かもしれない。『発禁本3』(平凡社)の人名索引で調べると、河上の個人雑誌『社会問題研究』や『第二貧乏物語』(『改造』昭和5年11月号付録)が発禁になっている。また、国会図書館OPACによると、ブハーリン著、河上肇・大橋積訳『労農ロシアの社会主義的建設:社会主義への道』(弘文堂書房、昭和2年6月)が請求コード特501から始まるのでこれも発禁本のようだ。
かつて、寿岳文章は「発禁本図書館」を提唱し、城市郎氏も「発禁本図書館」を夢見た。いや、城氏は今も夢見ているかもしれない。しかし、中々発禁本専門の図書館までは難しそうなので、書名・人名索引の完備した発禁本大事典の刊行が待たれるところである。