あるいは私は、『里見弓享伝』とか『久米正雄伝』とか、初めての伝記を出しているのだが、国文学の学術誌はみごとに黙殺である。私だけではなく、村井弦斎や国木田独歩の伝記を書き、若くして亡くなった黒岩比佐子も、国文学界では無視なのだ。そういう体質を一向に改善する気がないのだから、今では「国文学」ではなく「日本文学」なのだなどと言っても誰も信用しなく、国文学の大学院を出て一門に属していなければ認めない式の閉鎖的集団なのだろうと、思うほかない。
とあった。黒岩さんは、猫猫先生と違って、そんなことは気にしていなかったのではないかなあと思うが、直接訊いた訳ではないので、何とも言えんか。