神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

黒岩比佐子さんと売文社を巡る戯曲

『トスキナア』13号、2011年5月に大和田茂氏による黒岩比佐子『パンとペン 社会主義者堺利彦と「売文社」の闘い』の書評が掲載されている。氏は、同書の特色として、次の二点をあげている。
・文士「堺枯川」の具体的姿を従来の伝記や研究にない貴重な資料を駆使して詳細に追っていること
・同書ほど売文社の仕事内容や人物交流を描いた伝記や研究を他に見ることはないこと
そして、氏は、最後に、次のように書いている。

ただ戯曲には二つあり、一つは本書にも出てくる木下順二の「冬の時代」(一九六四年初演)で、巻末の膨大な参考文献も『木下順二集6』として載っている。しかし、あと一つの戯曲、宮本研の「美しきものの伝説」(一九六八年初演)は本書には登場しない。(略)売文社百年を意識したかどうかはわからないが、昨年暮れと今年一月に、異なる劇団が埼玉と東京で上演した。私は新宿で文学座の芝居を観おわったとき、黒岩さんにもぜひ見てほしかった、そしてあの笑顔をたたえた口から感想を聞かせてもらいたかったと思った。

なお、同誌には、川口秀彦氏(古書りぶる・りべろ)による田村治芳、藤巻修一氏による能登恵美子(『ハンセン病文学全集』の編集者)の追悼文も掲載されている。

パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い

パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い