黒岩比佐子さんの著作に言及したり、引用した論文を二つ読んだ。
・小出治都子「高等女学校の美育からみる「少女」と化粧の関係」『Core Ethics』7号、2011年
・大坪利彦「国木田独歩 方法としての「小民」」『熊本大学社会文化研究』8号、2010年3月
帰京した独歩は微妙な立場ながら、矢野龍渓の招聘により近事画報社に入社することになる。その点について黒岩比佐子氏は、「独歩に大きなチャンスが到来する。矢野龍渓が新雑誌を発行することになり、その編集長に独歩を推挙したのである。おそらく独歩の窮状を見かねてのことだったのだろう。龍渓はその経緯について、ある人の依頼で近事画報社の設立から黒幕として相談を受けたので、編集担当者として独歩を推薦した、と述べている(『新小説』一九〇八年八月号)」(原注)としている。
黒岩さんは、前者はもちろん、後者も読む機会はなかったと思われる。