神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

黒岩比佐子さんを好きになった人達

黒岩比佐子さんが亡くなられて7年が過ぎた。日々の雑事に追われて思い出すことも少なくなってしまった。それでも、大阪古書会館の古書展で黒岩さんを古本道に導いた中島俊郎先生にお会いすると黒岩さんのことが思い出されたりする。その他、最近黒岩さんの名前を活字で見かける機会が多かった。たとえば、
東京堂書店の週間ベストセラーでいきなり文芸部門1位、総合2位となったカラサキ・アユミ『古本乙女の日々是口実』の書物蔵氏による解説「古本の新しい価値についてーープギュラタさんを見て思ふこと」にカラサキさんの先輩の女性古書コレクターとして黒岩さんが登場する。実は私も古書会館で黒岩さんの勇姿を見たことがある。名前に合わせたわけでもなかろうが黒いスーツ姿が多かった黒岩さんだが、その時はモスグリーンの上着で今も脳裏に焼き付いている(「古本の女神に出遭ふ」参照)。
村井弦斎著・村井米子編訳『食道楽』(中公文庫)の土屋敦氏の解説でエピソード紹介に使用した黒岩さんの『『食道楽』の人村井弦斎』が絶版なのは実に残念としている。
・昨日(10月14日)の京都新聞書評面の「ページをめくれば」欄に白山眞理氏が黒岩さんの遺作『パンとペン』を紹介する中で、黒岩さんが井上孝治の評伝を書くために白山氏の勤務する日本カメラ博物館に通ってきたことから懇意になったことや同書がずっと書棚にあるがまだ読むことができないことが書かれていた。
そして、梯久美子氏の『好きになった人』(ちくま文庫)に収録されている「黒岩比佐子さんの遺作『パンとペン』」。読売新聞の書評委員会で知り合い、執筆中だった『パンとペン』で扱っていた堺利彦を熱く語った黒岩さんとの時間を思い出している。なお、梯氏の書は『猫を抱いた父』を改題して文庫化したものである。『好きになった人』というタイトルに変えたのは良かった。私も黒岩さんのことが好きでした。