黒岩さんと佐藤先生は、読売新聞の読書委員を2009年に入れ替わっておられるので、面識があったのだろうなあ、と思っていたら、やはり面識があったそうだ。佐藤先生の新刊『天下無敵のメディア人間 喧嘩ジャーナリスト・野依秀市』の「あとがき」によると、同書の元となった『季刊 考える人』への連載が始まった同年春頃、仕事で一緒になり、その後、黒岩さんから古書市で入手した「原内閣擁護」パンフレットを渡されたという。また、黒岩さんがガンで闘病になると、佐藤先生の連載は、一人の読み手を強く意識するものになった。そして、
御遺作『パンとペン』の文献目録、その最後尾にあがっているのは「二〇一〇年夏号」、つまり本書の第六章までである。黒岩さんから戴いた最後のメールは二〇一〇年一〇月一〇日付だが、「『考える人』の連載は、これからもずっと読ませていただきます」と書かれていた。黒岩さんがお亡くなりになったのはその約一ヶ月後である。
末期ガンの苦痛と闘っていた黒岩さんがどういう思いでメールを打っていたかと思うと、涙を押さえることはできなかった。
天下無敵のメディア人間―喧嘩ジャーナリスト・野依秀市 (新潮選書)
- 作者: 佐藤卓己
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/04
- メディア: 単行本
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