神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

上毛新聞社で伝書鳩に餌をやる草野心平

草野心平の『わが青春の記』の「詩への絶望感」に、草野が上毛新聞者校正部時代にしていたもう一つの仕事が書かれている。

(前略)大晦日のひるひなか、それは私の日課の一つだったので工場のはじっぽの梯子段をあがって屋根上に出た。そこには伝書鳩の鳩舎がある。私は鳩たちに伝書の技術は教えなかった。知らなかったから。そしてまたその要もなかった。伝書鳩を使う新聞社としての用意も小さな新聞社としては何もなかったから。私の仕事はただ豆をやることだけだった。

伝書鳩ではなく、ただの鳩だったようだが、それでは上毛新聞社は何のために飼っていたのだろうか。

伝書鳩というと、黒岩さんの『伝書鳩』だが、福岡伸一氏が次のような文章を書いていた。

私は黒岩さんと何度かお話する機会があり*1、また温かい書評を書いていただいたりもした*2ので、とても悲しい思いをしました。
その黒岩さんの名著に、『伝書鳩 もうひとつのIT』(文春新書)があります。(略)こういう「発掘もの」こそが黒岩さんの面目躍如たるところです。

ブログ「めぐり逢うことばたち」の「「伝書鳩」が飛び立つものなら」に、

Commented by Atsuko at 2011-04-30 12:20 x
五月の朝のしののめ うら若草のもえいづる心まかせに(萩原朔太郎「旅上」)きままなる旅にいでてみたい季節ですね。
妻と別れて子を連れて郷里に帰っていた傷心の朔太郎と、東京で食い詰めて友人に誘われて越してきた前橋で極貧生活をしていた草野心平は、徒歩数分の距離に暮らし、交流がありました。
心平は地元の上毛新聞社に職を得ます。校正兼伝書鳩の飼育係でした。
黒岩さんの『伝書鳩――もう一つのIT』読んでみたいです。

とコメントしたAtsukoさんは、その後読んだだろうか。

(参考)「草野心平の前橋時代と煥乎堂の高橋元吉

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アキバで古本合戦!
じゃなかった、「書評合戦 ビブリオバトル首都決戦2011」というのがあるようだ。
10月30日 12:00〜17:00
会場:ベルサール秋葉原住友不動産秋葉原ビル)1F・B1F)
ゲスト:猪瀬直樹わたせせいぞう東浩紀 ほか

*1:福岡氏は2008・2009年読売新聞読書委員、黒岩さんは2009・2010年同委員。

*2:2010年7月11日」参照。