神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

黒岩比佐子

毎日新聞の長山靖生選「この人・この3冊」に黒岩比佐子さん

本日の毎日新聞書評欄「この人・この3冊」は、長山靖生選による黒岩比佐子さんの本3冊。・『「食道楽」の人 村井弦斎』(岩波書店) ・『編集者国木田独歩の時代』(角川選書) ・『パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い』(講談社)冒頭を引…

読売新聞「異才列伝」に村井弦斎

読売新聞日曜版の連載「異才列伝」は、松本由佳さんによる「村井弦斎」。 戦前の弦斎は、山中で仙人のような生活も試みる。当時は奇人扱いされたが、震災後の今、身をもって「自然へ帰れ」と訴えた彼の生き方には親近感を覚える。「また一つ、予言*1が当たり…

自笑軒と号した田端の杉本僖平

木村捨三編『千里相識』(集古会、昭和10年9月)は集古会の会員名簿だが、それを見てたら、 杉本僖平 明治十七年四月十四日生 一出生地:日本橋区伊勢町壹番地 二現在住所:東京市瀧野川区田端町三百四十三番地 三職業:懐石料理 四研究の事項:料理ト茶道 …

独歩の通夜の翌日も一騒ぎ

独歩の通夜の日における茅ヶ崎館での田山花袋と小栗風葉・真山青果との騒ぎについては、黒岩比佐子『編集者国木田独歩の時代』(角川選書)317頁に書かれているところである。実は、その翌日にも騒ぎがあったことが、岩野泡鳴の日記に出てくる。 大正2年4月1…

黒岩比佐子『編集者国木田独歩の時代』(角川選書)への補足記事一覧(該当ページ順)

「黒岩比佐子『古書の森 逍遙』(工作舎)への補足記事一覧(書籍コード順)」(2010年12月15日)と「黒岩比佐子『パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い』(講談社)への補足記事一覧(該当ページ順)」(2010年12月18日)が一部で好評だったの…

黒岩比佐子さんの遺稿「歴史と人間を描く」が西日本新聞で連載開始(その4)

第10回は「心残り」*1。直接的には年譜作成のために行った井上孝治への取材が心残りなものだったことを表すタイトルだが、50回を予定していたこの連載や、次作として予定していたヘレン・ケラーなどの評伝などが未完で終わることが心残りであることを示すよ…

神保町の「人魚の嘆き」さん、お疲れ様でした

連休のドタバタにまぎれて、神保町のバー「人魚の嘆き」が閉店していたことを知らなかった。今日の読売新聞「本よみうり堂」の待田晋哉「著者来店」(石田千『並木印象』平凡社)に、 写真は、先月末に閉店した東京・神保町のバーで撮った。著者も「遊び」で…

黒岩比佐子さんの遺稿「歴史と人間を描く」が西日本新聞で連載開始(その3)

第4回は「評伝」。膨大な資料を調査するために多くの経費と年月を費やしても、評伝が売れない日本の現状を嘆く黒岩さん。最初の評伝は、百万円ほどの赤字になったという。しかし、それでも、誤解や偏見に満ちたイメージを抱かれたり、過去の優れた業績を成…

黒岩比佐子さんの遺稿「歴史と人間を描く」が西日本新聞で連載開始(その2)

第3回は「時間」。黒岩さんは、歴史を書くためには、少なくとも半世紀から百年くらい離れた時間が必要と考えて、およそ百年前の日本とそこに生きた人物を描こうと心に決めた。これが、テーマを明治時代に決めた理由だった。しかし、 明治のことなどほとんど…

黒岩比佐子さんの遺稿「歴史と人間を描く」が西日本新聞で連載開始

黒岩比佐子さんの遺稿となった「歴史と人間を描く」が9日から『西日本新聞』で連載を開始した。第1回は「肩書」。井上孝治さんの写真も掲載され、10回分が予定されている。「著者のことば」によると、 この連載では評伝を書こうと思ったきっかけから、評…

小泉八雲から見た村井弦斎

黒岩比佐子さんに「関田かをる『小泉八雲と早稲田大学』(恒文社、1999年5月)に村井弦斎のことが出ている」と教えたことがあった。 黒岩さんの感想(2007年7月5日)は、 Hisako 2007/07/05 10:44 先日教えていただいた関田かをる『小泉八雲と早稲田大学』の…

横田順彌『近代日本奇想小説史 明治篇』(ピラールプレス)を編集した川村伸秀の悲しみ

『本の窓』5月号の「私の編集した本」で、川村伸秀氏が横田順彌『近代日本奇想小説史 明治篇』について書いている。 柳田(泉)の研究を正統派とするなら、本書は異端の小説研究と位置づけることができる。僕の頭のなかで二つは表裏一体だった。今回、漸くも…

大橋秀子『金子喜一とジョセフィン・コンガー』(岩波書店)の刊行

黒岩比佐子さんは、2007年古書展で二冊の意外な本に出会ったという。一冊は、東京古書会館で見つけたクロポトキン著、幸徳秋水訳『麺麭の略取』。新渡戸稲造の『武士道』に偽装され、荒川義英の署名があったことなどについては、『パンとペン 社会主義者・堺…

売文社社員で満洲映画協会常務理事の茂木久平の経歴

売文社の社員だった茂木久平について、黒岩比佐子『パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い』(講談社)は、 早稲田の学生時代には大杉栄に心酔し、『近代思想』を愛読していた茂木が、その大杉を虐殺した犯人とされている甘粕と深い関係を持つよ…

黒岩比佐子さんの「近況報告」

昨年亡くなられた黒岩比佐子さんは筆まめな人で、日本ペンクラブの会報の「会員短信」で近況報告を見ることができる。 ・最近、古本蒐集にはまってしまい、部屋中古本に占領される日も遠くなさそうです。それにしても、百年も前の本の方が装幀などすばらしい…

ようやく「ETV特集 思い出の街が甦る 写真家・井上孝治の世界」放送

地震の発生で延期されていた「ETV特集 思い出の街が甦る 写真家・井上孝治の世界」が今日NHK教育午後10時から放送だ。 井上の写真集『こどものいた街』(河出書房新社、2001年4月)に黒岩さんは、「音のない記憶」と「井上孝治年譜」*1を執筆してい…

とりあえずググれ

「とりあえずググる」世代ではなく、「とりあえず事典を見る」世代なので、「yukunoki-a」さんに聞かれた小口みち子(平民社の常連客、『へちまの花』の執筆者)の読み方を色々事典類などで調べてしまった。*「おぐち」とするもの 『日本近代文学大事典』、…

早稲田大学中退の茂木久平

黒岩比佐子さんが、『パンとペン』で茂木久平について早稲田大学中退としている*1のは、尾崎士郎の「売文社員」『青春記』の次の記述が根拠かもしれない*2。 小石川の護国寺裏に住んでいる江木久太は、六十すぎた母親と妹との三人暮しで、一次郎と同じ二十才…

黒岩比佐子さんが追いかけようとしていた奇術研究家阿部徳蔵(その2)

松山光伸『実証・日本の手品史』(東京堂出版)は、昨年9月発行。黒岩さんが目にする機会はあっただろうか。もし、もっと生きておられたら本書を書評にとりあげていたのではなかろうか。 天海と同年の明治22年(1889)に生まれ、天勝と同年の昭和19年(1944…

堺利彦と「例の会」

佐々木味津三が大正14年6月17日付読売新聞に書いた「新日本主義断片(上)」によると、 その頃吾々不逞日本人の間に、尤も中に支那人は二人、朝鮮人が一人交つてはゐたが、とにかく吾々不逞学生の間に、誰が名付親だつたか「例の会」といふ少しばかり穏やか…

黒岩比佐子さんとヘレン・ケラー

3月13日(日)の22:00〜に、NHK教育テレビのETV特集で「思い出の街が甦る〜写真家・井上孝治の世界〜」が放送されるとのこと。黒岩比佐子さんは、次作としてヘレン・ケラーの評伝を考えていたとされるが、デビュー作『音のない記憶 ろうあの天才写真…

黒岩比佐子さんの次作(その2)

読売新聞の「よみうり堂から」によると、先日の読売文学賞贈賞式で、黒岩比佐子さんの実母が明らかにしたとして、パソコンに、ヘレン・ケラーをはじめ執筆予定の5人の名前が入力されていたという。某婦人記者を含めて、3作予定されていたことは、昨年11月21…

「古書の森日記」ゆかりのブログ

黒岩比佐子さんの「古書の森日記」ゆかりの二人が、ブログを始められました。御活躍を期待しております。 「雀隠れ日記」(http://d.hatena.ne.jp/yukunoki-a/) 「核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ」(http://blogs.yahoo.co.jp/fktouc18411906/MY…

黒岩比佐子さんと「くうざん先生」と「神保町のオタどん」のセッション

昨日の放送(http://p-man.tv)*1の中で、春陽堂の円本全集に村井弦斎が収録されたという話があったと思うが、それをめぐって、黒岩比佐子さんと「くうざん先生」とわしとで、話題にしたことがある。江見水蔭の春陽堂編集局宛書簡に、「校正で見ますると、私…

武林無想庵と天羽英二

これは黒岩比佐子さんの生前から持っていたネタだが、あまり深みがないので、ほおっておいたもの。結局、黒岩さんに見てもらえる機会はできなかった。天羽英二の日記に、武林無想庵が出てくる。 昭和12年8月27日 来 水野錬太郎 武林無想庵 無想庵は、娘のイ…

『堺利彦獄中書簡を読む』に黒岩比佐子さんの遺稿「「「楽天囚人」から「売文社社長」へ」

初期研BBS(http://9027.teacup.com/kanriiinkai/bbs)によると、堺利彦獄中書簡を読む会編『堺利彦獄中書簡を読む』(菁柿堂、2011年1月)に、黒岩比佐子さんの遺稿*1「「「楽天囚人」から「売文社社長」へ」が収録されている。堺利彦獄中書簡を読む (Edi…

虹色の名取洋之助と大川周明

『大川周明日記』にこんな記述があった。 昭和20年2月3日 午後三品中佐及び山田璋君紹介の名取洋之助君来訪。真面目な人物。 三品中佐は、当時支那派遣軍参謀(報道部長)だった三品隆以だろう*1。三品は、『虹色のトロツキー』にも出ていたらしい。名取と大…

渋沢史料館で「法学者・穂積陳重と妻・歌子の物語」展

渋沢史料館で「法学者・穂積陳重と妻・歌子の物語」展を3月5日から5月8日まで開催。 歌子の「日記」や、陳重と歌子婚礼の「料理次第心覚」なども展示されるようだ。歌子の日記も活用して、『『食道楽』の人 村井弦斎』を書いた黒岩比佐子さんも、見に行きた…

読売新聞「読売文学賞の人びと」に黒岩比佐子さん

読売新聞「読売文学賞の人びと4」は、評論・伝記賞の黒岩比佐子さん。鵜飼哲夫氏による記事で、実弟の「受賞を、本人に聞かせてあげたかった」や、母親の「ありがたいことですが複雑。できれば娘に帰ってきてもらいたい」という声を紹介。「残り少ない日々…

『みすず』二〇一〇年読書アンケート特集で黒岩比佐子『パンとペン』を選んだ人

『みすず』1・2月合併号は、「二〇一〇年読書アンケート」特集。黒岩比佐子さんの『パンとペン』(講談社)をあげた人は、 ・名和小太郎(情報システム論) ・原武史(思想史) ・鎌田慧(ルポライター) ・長谷正人(映像文化論) ・松尾尊兌(日本近現代…